第9365回「世界一優美なワイン選び その10、ジンファンデル その11、ピノ・ノワール」 | 新稀少堂日記

第9365回「世界一優美なワイン選び その10、ジンファンデル その11、ピノ・ノワール」





 第9365回は、「世界一優美なワイン選び ジェラルド・アシャー著 その10、ジンファンデル(カリフォルニア) その11、ピノ・ノワール(オレゴン)」です。この2章は、いずれもアメリカ産のワインです。


「その10、ジンファンデル(カリフォルニア)」

 これまで、章につけられたサブタイトルはいずれも地域名称でしたが、今回のジンファンデルはブドウの種類を指しています。


 『 プリミティーヴォ (Primitivo) は、イタリア共和国南部のプーリア州とアメリカ合衆国カリフォルニア州を中心に栽培されている、赤ワイン用ぶどう品種である。ジンファンデル (Zinfandel) と呼ばれることも多い。


 クロアチアで栽培されていたマイナーな品種であるツーリエンナーク・カーステラーンスキー(Crljenak Kaštelanski)がアドリア海を超えてイタリア半島にもたらされて「プリミティーヴォ」と呼ばれるようになり、また別のルートでアメリカ合衆国に移入されたものが後に「ジンファンデル」と呼ばれるようになったと考えられている。


 イタリア語名のプリミティーヴォは、「最初の」、「一番目の」の意味からで、この品種が比較的早く熟すことによる。 』(冒頭の写真を含め、ウィキペディアすら引用)


 サブタイトルは、「秘蔵の地酒でキッチンパーティ」と付けられています。リーゾナプルな価格のワインをちょこっと開けて飲む・・・・、至福の一瞬です。私もジンファンデルには随分お世話になりました。著者のアシャーは、冒頭にこう記しています。


 『 わが家のキッチンには、小さな円卓がある。・・・・ キッチンで開けるワインは、どこの誰が造ろうが、ともかく気持ちがなごみ、人好きのするものがいい。妙に挑むようなものはご免で、飲み手を元気づけてくれなくては困る。その点、「上出来」のジンファンデルほど、この条件にズバリ当てはまるものはない。 』(塚本氏訳)


 20世紀前半、地域を問わず、アメリカの醸造家に待っていたのは禁酒法の壁でした。当然、大きな空白期間を作りました。そして戦後、ワインづくりに尽力してきた個別の具体的な栽培業者(=醸造業者)について紙数を費やして説明していきます。


 その中でも、著者が力説しているのが、ワインはブドウ種であるジンファンデルから決せられるのではなく、カリフォルニアと言う「風土」から特徴がにじみ出てくるものだ、ということです。そして、南北に長く広がるカリフォルニアにおいては、極めて多種多様なジンファンデル・ワインが生まれていると語ります。




「その11、ピノ・ノワール(オレゴン)」

 章のタイトルとなっている「ピノ・ノワール」は、ワイン用ブドウの一種です。ただし、対象としている生産地はオレゴンに特定しています。


 『 ピノ・ノワールは、葡萄の品種の1つで、時にヴィニフェラとも呼ばれるヨーロッパ・ブドウの系統であり、フランスのブルゴーニュを原産地とする。殆ど黒に近い、紫みを帯びた青色の果皮を持ち、主に醸造に使用され、赤ワインを造る代表的な品種の1つである。また、時としてこの品種から造られたワインそのものも指して呼ばれる。


 もう一つの代表的赤ワイン用品種である カベルネ・ソーヴィニヨン種とあらゆる部分に於て対照的な品種であり、ピノ・ノワール種を用いた赤ワインは比較的軽口で、渋み、タンニンが少ない。このため、カベルネ・ソーヴィニヨン種が上級者向けといわれるのに対し、ピノ・ノワール種は、テンプラニーリョ種と並んで、赤ワイン初心者向けと宣伝されることも多く、軽口で飲みやすいものが多い。 』(写真を含め、ウィキペディアから引用)


 章の冒頭部分を引用することにします。

 『 仕事柄、私はワイン業界の祭りや見本市などに顔を出すことが多い。見かけによらずしんどい稼業だが、中には文句なく楽しめる催しがある。オレゴン州マクミンヴィルで開かれる、国際ピノ・ノワール祭がそれ。87年以来、毎月7月の最後の週に行われる。


 会場は田舎町の片隅、木陰に覆われたキャンパスの中の赤レンガ建て大学校舎。とりわけ魅せられるのは、催しそのものが陽気で、かつ気どりがない点だ。ワイン、中でもピノ・ノワール酒をひたすら楽しく飲もうという雰囲気が町中にみなぎっている。・・・・ 』(塚本氏訳)


 そして、参加者はいずれも知的であり、世界各国から参加しているとのことです。ただ、日本人が参加したとは書かれていません・・・・。そして、肴として供されるのがオレゴン料理、土曜の夜にはランタンなどが吊り下げられるそうです。


 著者は西部開拓時代から書き起こして、オレゴンのワイン史について触れます。禁酒法の影響は比較的少なかったそうです。現在のボトルあたりの値段もリーゾナブルですし、飲みやすい「赤」かと思います・・・・。


 次回から、ワインの旅はふたたびヨーロッパに戻ります。


(追記) 「世界一優美なワイン選び」につきましては、随時取り上げていく予定です。過去に書いたブログに興味がありましたら、お手数ですがブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"アシャー"と御入力ください。