第9368回「創元・岩波ウェルズ傑作選 その5、ブラウンローの新聞、その6、ほか1作、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第9368回「創元・岩波ウェルズ傑作選 その5、ブラウンローの新聞、その6、ほか1作、ネタバレ」

 第9368回は、「創元・岩波ウェルズ傑作選 その5、ブラウンローの新聞、その6、イーピョルニスの島(エピオルニス島)、ストーリー、ネタバレ」です。


「その5、ブラウンローの新聞」(近未来、文明論的SF)

 ウェルズの一人称"私"で物語は語られます。便宜上、サブタイトルをつけさせていただきます。


『ブラウンロー氏に降りかかった椿事』

 「以下の話は説明のつけようのない奇妙な物語である」、ブラウンロー氏に何が起こったのか・・・・。ある日郵便ポストに配達された封筒に入れた新聞は、40年後の「1971年11月10日付」のものでした。あて先は、エヴァン・オハラあてになっていました。


 彼は一心に読みふけります。ですが、翌朝、その大切な新聞を家政婦が棄ててしまったのです。ブラウンロー氏の相談に預かったウェルズは、ごく一部残った新聞と氏の記憶に基づき、40年後の世界を再現しようと努めます。


『本編 来たるべき40年後の世界』

ウェルズがヒアリングからまとめた40年後の世界は次のとおりです。


1. ニュース・ネタとしての政治関連記事は掲載されていなかった。未来では政治に興味を失っている模様。また、ソ連とか、独仏関係、インドに関する記述もなかった。

2. 株式市況欄なども見かけなかった。経済にも興味を失っているようだ。

3. ブラウンロー氏が違和感を持ちながら読んだのが、「連邦議会」なる制度。

4. 内燃エンジンの時代は終わり、石炭掘削技術としてのボーリングにページを割いていた。

5. ファッション関係については、ブラウンロー氏自身の興味が希薄なため、記憶はあいまい。

6. 森林資源など、環境問題については関心が高く、地球温暖化への危惧なども掲載されていた。

7. 出生率の極端な低下、千人あたり7人(1931年当時は40人。日本の統計と単純比較はできませんが、日本の昨年の合計特殊出生率は1.43ですので、ほぼ同水準です)


 以上のことを聞き取りましたが、肝心の新聞がありませんので、ウェルズとしてもさらなる推論は不可能です。ところで、わずかに残った新聞紙から分析する限り、紙のベースにはアルミが使われていました。時間経過とともに劣化し粉末状になりました・・・・。


『エピローグ ウェルズの推論』

 ウェルズは、この騒動をこう推論します。時空を超えて、40年後のエヴァン・オハラに届けられる新聞がブラウンローに届けられ、ブラウンロー氏に届けられるはずの新聞が、今から40年後に間違いなくエヴァン・オハラに届けられるばずだと・・・・。これは、ウェルズの推理であり、予言です。





「その6、イーピョルニスの島(エピオルニス島)」(生物テーマ)

 創元版で既にブログに取り上げていますので、全文再掲することにします。


 『 ドードー鳥という、かつてモーリシャス島に存在した巨大な鳥がいました(絶滅種です。白人が羽を取るためだけに絶滅させたのです)。この物語では、著者はシンドバッドに登場すめロック鳥をイメージしています。孤島に取り残された船乗りが、3個の巨大鳥の卵を手に入れた話です。


 漂流中に、2個の卵は食べてしまうのですが、1個は孵化します。「ロビンソン・クルーソー」にちなみ、その鳥をフライデーと呼び、仲良く暮らすのですが、2年経った時、フライデーが急に凶暴化します。そのため、彼はフライデーを殺してしまいます・・・・。写真は、ウィキペディアから引用しています。 』


(追記) 「創元・岩波ウェルズ傑作選」につきましては、随時取り上げていく予定です。過去に書いたブログに興味がありましたら、お手数ですがブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"岩波ウェルズ"と御入力ください。