第9369回「トリック 山田奈緒子関連本 その5、ビックリ人間の正体 ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第9369回「トリック 山田奈緒子関連本 その5、ビックリ人間の正体 ストーリー、ネタバレ」





 第9369回は、「トリック 山田奈緒子関連本 その5、千里眼の男 ビックリ人間の正体 ストーリー、ネタバレ」です。


「千里眼の男(ビックリ人間の正体)」(既に書いているブログから全文再掲)

 『 今回の"枕"には、御船千鶴子をもってきています(写真はウィキペディアから引用)。帝大を巻き込んだ超能力事件に発展しました。マスコミのバッシングを受け、失意の内に、服毒自殺します・・・・・。


 「リング」貞子のモデルではないかと言われたこともありますが、プロットから考えましても、鈴木光司氏が主張していますように、直接の関係はないと思います。なお、仲間由紀恵さんも、映画化シリーズに出演していました。


 山田奈緒子(仲間さん)と言えば、"びんぼう"がすっかり定着しました。家賃の滞納は常習化しています。大家さんが持ってきたのは、一枚のチラシです。健康ランドで、びっくり人間大会が開催されると言うのです。その優勝者には、"伊香保温泉一泊旅行"が賞品となります。もちろん優勝すれば、大家の山田ハナとジャーミーが行くつもりです。


 会場は、浴衣姿のオヤジだらけです。特別審査員として上田次郎(阿部寛さん)も加わっています。「仕事を選べよ」、私も奈緒子の意見に同感です。奈緒子は、ボールの空中浮遊を演じますが、途中で糸が切れます・・・・・・。優勝したのは、"千里眼の男"桂木でした。


 桂木は、右眼に眼帯をしており、千里眼を発揮させる時、眼帯を上げます・・・・。客が書いた数字を、次々と当てていきます。上田が書いた四つの数字も当てました。さらに、奈緒子の部屋の間取りまでも当てたのです。桂木は、霊感商法まがいのビジネスを展開しています・・・・。


 極めて単純なトリックです。司会者がグルとなって、言葉を数値化していたのです。奈緒子の部屋の間取りが透視されたのは、宅配便の配達員が、奈緒子の部屋に入ったときに、観察した結果です。


 桂木のインチキを告発する老人の希望を受け入れ、上田と奈緒子は、桂木と対決します。奈緒子が絵を描き、間仕切り越しに桂木が、透視した内容を書くというものです。次々に当てていきます。そして、最後の絵を描きます・・・・・。


 今までと異なり、奈緒子の絵は、一旦伏せられます。桂木の絵は、"箸(はし)"です。おもむろに、奈緒子が絵を再度見せます(視聴者は、はじめて見ることになります)。


 "橋(はし)"でした。桂木のアシスタントを務めていた女性は、関西人です。桂木の装着したイヤーフォンに、絵の内容を伝えていたのです。イントネーションの違いが、桂木に箸の絵を描かせたのです。


 敏腕刑事・矢部警部補が、駆けつけます。車椅子の少年が、桂木に聞きます。「ぼく、なおらないの。死んじゃうの」、「おじさんはインチキだから、治らないさ」(記憶) このラストに、後味の悪さを感じた視聴者は多いようです。


 このエピソードは、1回完結となっています。しかし、印象に残るエピソードです。フッディーニは、かつてこう話しています、「トリックがあまりにも単純すぎたために、あなた方は見破れなかったのです」(私の記憶です) 』(以上、再掲)



「山田奈緒子の視点」

 ソーキ(数奇)な運命に翻弄される天才マジシャンの"私"は、大家のハナさんに唆(そそのか)され、健康ランドの「ラドン ビックリ人間コンテスト」に参加する破目になりました。進行役は大木凡人さんでした。ところが、あの上田次郎先生が審査員として加わっていたのです。


 「驚きは脳細胞に活力を与えます。ラッドーン!上田です」、仕事選べよ、上田! 出場者は実にくだらない人ばかりでした。伊香保温泉一泊旅行はもらった、と思った瞬間、"私"は空中を浮遊させていたボールを落としてしまいました。おまけに、眼帯に目を書いた男から、吊っていた糸を指摘されてしまったのです・・・・。


 この男こそ、"千里眼の男"桂木でした。優勝をかっさらいます。桂木の手口は、ホット・リーディングとコールド・リーディングを巧みに組み合わせたものでした。実に巧みに本人しか知りえない事実を、目の前の当人にぶつけています。


(蛇足) ここで、山田奈緒子はリーディング・テクニックについて詳述しています。「シーズン2 100%当たる占い師」で書いたブログから、そのテクニック部分を再掲することにします。

 『 詐欺師にしろ、いんちき霊能者にしろ、多用されるテクニックとして"コールド・リーディング"と呼ばれる手法があります。


 「お父さんは、亡くなっていませんね」と聞かれたとき、どう答えるでしょうか。私の場合は、「はい、40年ほど前、学生の頃、父を亡くしております」と答えるかと思います。では、健在だった場合はどうでしょうか。「はい、病気がちですが、長寿を謳歌しています」ぐらいの答え方をすると思います。


 「亡くなって、いない(存在しない)」と「亡くなって(は)、いない(否定)」の間には、わずかなイントネーションの差しかないのです。コールド・リーディングは、会話を通じて、相手を知るひとつのテクニックです。日本語表現に限らず、言語の持つ限界性を、最大限利用しています。


 ホット・リーディングは、もっと直接的です。事前に相手の情報を知る方法です。紹介者からの情報とか、時には探偵、待合室での会話など、多種多様です。当然、リーディングを行なうものには、思惑があるはずです・・・・。 』


 "私"は桂木のトリックが分かっているだけに悔しくってたまりません。しかも、桂木は千里眼占いを通じて霊感商法をやっていたのです。金の分銅なるものの売値は、安くても50万円、高いものになれば1000万円はくだりません。


 そんな桂木一味の事務所の前で、「こんなもん、買っちゃいかん」と怒鳴っていた鈴木老人の依頼で桂木のインチキを暴くことになりました。"私"はわざと「ハシ」のイントネーションの違いを利用して桂木のトリツクを暴いてやりました。


 ですが、矢部が桂木を逮捕した際、「ぼく、なおらないの?死んじゃうの?」と桂木に訊いていた車いすの少年の命は救えません。"私"は余りのやるせなさに足が止まります・・・・。


(追記) 「トリック 山田奈緒子関連本」につきましては、随時取り上げていく予定です。過去に書いたブログに興味がありましたら、お手数ですがブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"奈緒子関連本"と御入力ください。