第9370回「世界一優美なワイン選び その12、バルバレスコ その13、トスカーナ」 | 新稀少堂日記

第9370回「世界一優美なワイン選び その12、バルバレスコ その13、トスカーナ」

 第9370回は、「世界一優美なワイン選び その12、バルバレスコ(ピエモンテ) その13、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ(トスカーナ)」です。今回からイタリア編(全3章)に入ります。


「その12、バルバレスコ(ピエモンテ)」

 サブタイトルは「ワインの向うにパラダイスが見える」です。初読時、私にとって意外だったのが、イタリア・ワインのブランドとしての歴史が浅いと言うことでした・・・・。バルバレスコにしろ、バローロにしろ、今日のようなワインは19世紀前半以前には存在しなかった、とアシャーは語ります。


 話を戻し、著者は先ず、流行の料理には興味がないと切り出します。例として、ヌーベル・キュイジーヌとかケイジャン料理、タイ料理などを挙げています。そして、イタリア料理のストラコット(イタリア風ビーフシチュー)にぴったりのワインがバルバレスコだと断じます。


 『 バルバレスコ・ワインは、バローロと並んで、イタリアの最高級赤ワインの一つと言われる。 ワインの名称は生産地の一つバルバレスコから。

色 :   オレンジ色の反射のあるガーネット色

芳香   独特の芳香、エーテル臭、緑胡椒風、苦いアーモンドの種の香り

味わい  繊細で上品、こくがあり、スパイス風味  』(ウィキペディア)


 そして、イタリア・ワインの現代史を語るうえで欠かせない人物が、アンジェロ・ガイアとブルーノ・ジャコーザだと力説します。ガイアはバルバレスコを世界的なワインにまで押し上げ、ジャコーザのワインはベートーベンの交響曲に通じる世界観を持っていると激賞します。


 さらに、バルバレスコ生産者組合に属する多数の生産者の名前を挙げ、ワインの特徴を指摘していきます。仕事とは言え、飲んでる量がハンパじゃないと言うのが実感です。




「その13、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノ(トスカーナ)」

 サブタイトルは「名にしおう優雅さを讃えて」となっていますが、実に長く凄いブランド名です。そのあたりの揶揄もあることは事実のようです。英語に訳せば「 noble wine of Montepulciano 」(モンテプルチアーノ村の高貴なるワイン)となります。自画自賛に過ぎれば当然バッシングされます・・・・。


 アシャーは、生産者パオラ・デ・フェッラーリ夫人から語り始めます。夫人は新参者としてモンテプルチアーノにやってきました。絶賛されるにつれ、現地のワイン業者からは快く思われませんでした。夫人は周辺に対しては低姿勢を取り、販路をトスカーナに求めず、海外への輸出と北イタリアの諸都市に求めました。


 ところで、アメリカ独立戦争の勝利に貢献したトーマス・ジェファーソンは、当時からモンテプルチアーノを高く評価していたようです。当時のアメリカは、幕末の日本が遣欧使節団をヨーロッパに派遣したように、ヨーロッパ各国から文化的長所を積極的に受け入れようとしていました。その際のエピソードのようです。


 フランスに比し、後発のイタリアが活路を求めたのが、DOCCなどの認定制度です。アシャーは、生産者の特性に紙数を費やしています。


(補足) モンテプルチアーノが属するトスカーナ州は、フィレンツェを州都とし、ピサとかシエーナも包含します。なお、州章はウィキペディアから引用しました。


(追記) 「世界一優美なワイン選び」につきましては、随時取り上げていく予定です。過去に書いたブログに興味がありましたら、お手数ですがブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"アシャー"と御入力ください。