第9386回「朝松健編 神秘界 その11 聖ジェームズ病院 朝松健著 ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第9386回「朝松健編 神秘界 その11 聖ジェームズ病院 朝松健著 ストーリー、ネタバレ」

 第9386回は、「朝松健編 神秘界 その11 聖ジェームズ病院 朝松健著 ストーリー、ネタバレ」です。「歴史編」の小説部門は今回で終わりです。


 極めて高い水準のアンソロジーなのですが、編者自身の短編が最も面白くない、という結果になってしまいました。小説自体、はしゃぎすぎですし、クトゥルフの活かし方も凡庸だったのが残念てす。文量は最も長く100数ページ余あります。


 歴史上の作家も登場するのですが、会話などもスベっていますし、キャラクターも実に凡庸です・・・・。また、舞台を病院にしなければならないと言う必然性もありません。


「その11 聖ジェームズ病院」 

 聖ジェームズ病院にやってきた三人の青年でしたが、深刻な事態に追い込まれているはずなのですが、切迫感がありません。マイケルL、エリオット、日本人のタロー・・・・。彼らの記憶は一週刊前に遡ります。


 ところで、シカゴの街を取り仕切っていたのは、ふたつの勢力でした。イタリア系マフィアとユダヤ系マフィア、最近イタリア系を圧倒してたのが、ユダヤ系のフランク・ジンメルです。水の魔力を借り、イタリア系を圧倒します・・・・。つい最近、シカゴ署長の娘パティを誘拐したのもジンメル一味でした。


 そのパティの恋人がエリオッという訳で、隠秘主義者のエリオットLと用心棒のタローが狩りだされたと言うのが実情ですが、彼らに斃すだけの力があるかといえば・・・・。そこはテキトーにクトゥルフが降臨したジンメルを退治します(クトゥルフ出現のシーンも、迫力に乏しいというのが実情です)。


 ところで、決戦場としてジンメルが指定したのが、聖ジェームズ病院でした。あまり詳細に書いても意味のないプロットです。エピローグ的にタローの正体が明かされています。後に、大衆作家としてデビューした谷譲次であったと・・・・。結末はもちろんハッピーエンドです。


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