第9394回「呪怨-ザ・ファイナル- その1、感想、原点へ、伽耶子と敏雄、前作ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第9394回「呪怨-ザ・ファイナル- その1、感想、原点へ、伽耶子と敏雄、前作ネタバレ」





 第9394回は、「呪怨-ザ・ファイナル- その1、感想、原点へ、伽耶子と敏雄、ネタバレ」(2015年)です。入院中の身なのですが、昨日の午後、姪とその孫ふたりに連れられて市内のシネコンで観てきました。


 「ザ・ファイナル」は原点に回帰したというのが、第一印象でした。もちろん前作「終わりの始まり」からの続編になっています。そのため、シリーズ全体としては、プロットにおいて若干の矛盾が生じています。おさらいの意味をこめて、ビデオ版第1作ノベライズについて書いたブログ(3回に分けて)から、削除修正する形で、呪怨の原点について書きたいと思います。


 『 ロメロ監督が創造した「ゾンビ三部作」に匹敵する、傑作ジャパニーズ・ホラーの小説化作品です。ビデオ版、劇場版ともにPART1、PART2が制作されました。ビデオ版は、ホームビデオ風の画質が、恐怖感を煽(あお)っていましたし、劇場版では、ストーリーの転換にあたり、随処に氏名を入れて独特のスタイルを創りだしていました。


 カルト的なホラーです。子どもといえど、写真のような子どもが、枕元にいましたらゾッとしますし、夜、蛇女(実在しませんが)のように廊下を這っていましたら、ちびりそうです。怖い映像です。清水崇監督の名前は、この作品群だけでも、中川信夫監督のように映画史に残ると思います。「東海道四谷怪談」に匹敵する名作です。


 人を笑わせたり、あるいは怖がらせたりすることは、至難の業です。鈴木光司氏の「リング」は、増殖する憎悪(呪い)がテーマでした。そして、呪怨も増殖します・・・・。


 呪怨(じゅおん)とは、 映画でも、小説でも、冒頭に次のように説明されています。

「強い怨念を抱いたまま死んだモノの呪い。

それは死んだモノが生前に接していた場所に蓄積され、"業"となる。

その呪いに触れたものモノは命を失い、新たな呪いが生まれる。」


 「リング」の貞子に匹敵する存在が、呪怨では、佐伯伽耶子(かやこ)・・・・・。呪いの始まりとなった女性です。写真の青い顔の少年は、俊雄。




 この物語には、中心となる数人の人物が登場します。最大の人物は、やはり佐伯伽耶子です。両親の死後も、同じ家に住み続けています。学生時代、小林俊介に恋い焦がれていました。ほとんどストーカーであり、その執着は異常です。今では、剛雄と結婚し、一児(俊雄)の母となっているのですが・・・・。


 剛雄は、イラストレータであり、伽耶子と結婚しています。俊雄以外にも女児の誕生を待ち望んでいましたが、その後、子宝には恵まれていません。病院でチェックした結果、少精子症であることが判明しました。剛雄の精子の量では、受精不可能だったのです・・・・。


 伽耶子の日記から、小林の存在を知ります。そして、剛雄は嫉妬に狂います。伽耶子を、拳とカッターで伽耶子なぶり殺しにしました(その描写は実に凄惨です)。剛雄は小林の妻をも殺しますが、密室状態で背中に包丁を刺され殺されました。そして、小林も、心臓麻痺で死にます。


 伽耶子の息子・俊雄は、事件後、行方不明となりました(写真の少年です)。そして、5年後、徳永家は、格安で戸建てを手に入れます。その家は、かって・・・・(現在であれば事故物件扱いになります)。そんな徳永家は、夫婦、息子、老母の4人家族でした。


 老母・幸恵は、寝たきりの痴呆症です。そんな寝たきりの幸恵のみが、家の変異を感じています。介護ボランティアの理佳は、長欠している担当に代わり、徳永家を訪れます。声をかけましたが、返答はありません。鍵がかかっていませんので、中に入ります。


 家の中には、異臭が漂っていました。寝たきりの老女が、何日間も介護を受けていなかったのです。失禁した汚物は、畳にまでしみこんでいました。理佳が当面の介護処理を済ませたとき、2階で物音がしました・・・・。既に、日は落ちています。


 そして、呪いは連鎖し、警察関係者を含めて次々と不可解な死が続きました。かって伽耶子が住んでいた家に関係した者には、、その後の生はないのです。伽耶子の呪いはどこまで続くのでしょうか。ボランティアの理佳が、2階で見たものとは、・・・・。理佳に待ち受ける運命とは・・・・。

 

 当時は結末まで書いていませんでしたが、想像は容易につくと思います・・・・。怖すぎるホラー映画であり、ホラー小説です。日の明るい昼日中に見ることをオススメします。 』(以上再掲)



 では、「ザ・ファイナル」は・・・・。VFXを多用しなくても、カット割りとか、シナリオで観客を怖がらせることは、十分可能だということを立証している作品になっています。ただ、無指定ではなく、PG-12とかR-15に指定されてもおかしくない怖さはあります。


 主人公は、わずかに登場する結衣という俊雄の担任と、結衣の姉の麻衣、そして俊雄を預かることになった家族です・・・・。そして、映画は「ザ・ファイナル」のラスト部分から始まります。該当部分を既に書いているブログから再掲することにします。




 『 ・・・・ 結衣(佐々木希さん)は残業し、テストの採点をしていました。○は次第にハナマルへと変わります。さらに渦巻き模様に・・・・。その時、廊下を伽耶子が歩いていたのです。教室に入っていきます。しかし、結衣が駆け付けた時には、伽耶子は消え失せていました、日記を残して・・・・。


 日記には、子どもを切望する伽耶子の想いが切々と認(したた)められてました。しかし、途中から文章がおかしくなったのです。十ページほどの空白・・・・。そして、子どもが・・・・。「名前はトシオ、敏夫いや俊雄にしよう」、明らかに伽耶子は精神を犯していました。さらに、渦巻きが何ページにもわたって描かれています。呆然として、結衣は家に帰ります、結衣も既に異常を来していました。


 直人(青柳翔さん)が家に帰ると、窓を見つめる結衣がいました。抱きしめると、腕の中で崩れます。ベッドに寝かせ、結衣のバッグを調べます。出てきたのが、あの異常な日記でした。何者かが、直人の首をへし折ります・・・・。


 一方、結衣は一種の浮遊感に包まれていました。あの家に行きます。部屋の中に入ると、目の前で佐伯家の惨劇が展開されます。夫の剛雄が伽耶子を殺します。剛雄は、たたずむ俊雄から黒猫を取り上げます。そして、俊雄を・・・・(場面は急に切り替わります)。




 押し入れから段ボール箱を取り出します。その中には、多数のハンディ・カメラ用のビデオが入っていました。自宅で再生を始めます。赤ちゃん期から少年期にいたる俊雄がマメに撮られていました。しかし、俊雄は父親の剛雄になつきませんでした。あたかも他人のように・・・・。


 結衣はベッドで目覚めます。「すべては夢だった」、そう思えた結衣でしたが、リビングに行くと、首をへし折られた直人とあの白い少年がいました・・・・。 』(以上再掲)


 そして、「ザ・ファイナル」の冒頭では、結衣が幻視した青柳家の惨劇が復元されます・・・・。次回、ストーリーについて書く予定です。ホラー・ファンには必見の一作です。


(補足) 2枚目の写真は"allcinema"から、4枚目の写真は"MovieWalker"から引用しました。


(追記) 「終わりの始まり」については、2回に分けてブログに取り上げています。興味がありましたら、アクセスしてください。