第9405回「トリック 山田奈緒子関連本 その10、御告者の宣告 ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第9405回「トリック 山田奈緒子関連本 その10、御告者の宣告 ストーリー、ネタバレ」

 第9405回は、「トリック 山田奈緒子関連本 その10、天罰を下す子供 御告者の宣告 ストーリー、ネタバレ」です。


「その10、天罰を下す子供 御告者(おつげもの)の宣告」(既に書いているブログを再掲)

 『 遠隔殺人とか時限装置による殺人は、当然刑事責任を問われますが、呪いとか、天罰であれば、訴追されることはありません。ドラマを観ていまして、脅迫にならないように留意したセリフが随所に見られます。当人に伝えることなく天罰を下す、不能犯であり、あくまで実行犯は"天"です。脅迫罪も成立しません。


 今回、上田と奈緒子が立ち向かう相手は、新興宗教のように、宗教を前面に立てた法人ではなく、その前段階のような教団です。それも、ひとつではなく、ふたつです。


 ひとつは、タイトルになっている子供・御告者(おつげもの)が天罰を下すという団体です。祖母と母が、取り仕切っています。上田次郎(阿部寛さん)の研究室に塚本恵美という女性が訪れます。何気なく、天罰を下してくださいといった一言が、世話になっていた従兄弟を死に至らしめたと言うのです。子供が天罰を下した例は、少なからずあるようです。


 もうひとつは、山田奈緒子(仲間由紀恵さん)の大家が持ち込んだアルバイトに端を発します。彼女のアルバイトは、「笑顔がこぼれる会」に、一週間潜入捜査するものです。その間、参加者全員で合宿します。会長は、大道寺と言う男であり、「さ、みなさんご一緒に。笑って笑って。お金大好き~~」(記憶)という、いかにも出資法違反事件を連想させる人物です。


 そのため、若干の接点はあるものの、今回は、上田と奈緒子は別々に動きます。恵美は、しとやかな美人です。上田は、一目ぼれ(ボケ?)します。御告者と呼ばれる針生公太という少年に会い、女性用下着を渡して、天罰を下すように依頼します・・・・・。恵美のものと思われますが、上田の性格を考えれば、奈緒子の下着かもしれません。


 その日から、上田と恵美の24時間生活が始まります。上田は、天罰希望者を御告者に取り次ぐ、倉岡と言う人物に会っています。倉岡は豪語します。「天罰は天が行うものであり、罰を加えられる人物を恐喝などしていない、一定の手数料を取っているだけであり、合法的な仕事だ」 そのとおりです。あえて言えば、詐欺罪が考えられますが、はたして・・・・。


 一方、奈緒子は、大道寺会長と、会員を前にして対決します。会長は、会員に4枚の封筒の内、2枚を選ばせます。火をつけて、燃やします。さらに1枚を選び、さらに燃やします。残り一枚の封筒には、万札一枚が入っています。奈緒子は、「マジシャンズ・セレクト」だと主張しますが、何度やっても、万札が出てきます・・・・・。


 マジシャンズ・セレクトとは、任意のカードを客に選択させているように見えますが、マジシャンが客に特定のカードを渡しているだけだというトリックです。「金田一少年の事件簿」とか「古畑任三郎」でも、使われているトリックです。


 封筒は、二重封筒となっており、すべてに万札が入れられていました。大道寺会長は、求めに応じて、一回につき3万円を燃やしていたのです。奈緒子が気がついたのは、会長室に入って多数の封筒を見つけたからです。しかし、そこで奈緒子はおバカなことをします。会長の趣味(?)である手錠で自らを縛ったのです。


 逃げ出し、会長室に再度入ったときには、会長は殺されていました。容疑者・奈緒子は、矢部警部補にこの時とばかり、いびられます・・・・。一方、御告者に取り次いでいた倉岡も、殺されたのです。上田が盗み出した倉田の手帳の一ページが、大道寺会長から発見されます。ここに、二つの事件がつながったのです。


 上田は、面会と称して、奈緒子にアドバイスを求めてきます。御告者の祖母が、大道寺ほかを殺したと告げます。ですが、恵美の従兄弟が亡くなったときには、アリバイがありました。「犯人はおまえだ。まるっとお見通しだ」と叫び、恵美を指差します・・・・・。


 こうして、上田の愛は終りをつげますが、御告様は・・・・。天罰を下すことができないと知った少年を狂気が襲います。 』(以上再掲)



「山田奈緒子の視点」

 "私"だって雑誌の体験レポートのようなお仕事したことあるんですよ。大家のハルさんが"私"の部屋に入ってきて、「笑顔がこぼれる会」ってのがインチキ団体のようなので、潜入取材をしてくれる人を探してるって言うんです。どうもセミナーを利用して洗脳のようなことも行っているようです。


 もちろん、正義のためのお仕事ですから、引き受けました。ところが、上田さんも同様な宗教団体を追っているようなのです。"私"の所に来ましたが、もちろん断りました。上田さんと行動を共にしているのが塚本恵美という可愛い女性なのですが、上田さんを頼るところをみると、相当マヌケのようです。


 その時には、上田さんが追っている「御告者」と"私"が潜入している「笑顔がこぼれる会」がつながっているとは思いもしませんでした。「笑顔会館」に行きますと、「みなさん、笑って、笑って、御一緒に、お金大好き」、このような経済セミナーってあったような気がします。この会を率いるのが大道寺・・・・。


 突き詰めてみれば真相は極めて単純、そのことをマジックを以てバカな上田に教えてさし上げました。殺人を繰りかえしていたのは恵美子さん、御告者の殺人教唆を実行していたのは「天罰を下すことのできる」少年の祖母でした・・・・。そのため、少年はお告げで人を殺せると思っていたのです。


 ええっ?留置場に入れられたって?あれは上田さんが卑劣にも"私"を御告者に天罰を与えてくれって言ってたから、安全な留置場に入れたんだって、上田覚えてろ!


(追記) 「トリック 山田奈緒子関連本」につきましては、随時取り上げていく予定です。過去に書いたブログに興味がありましたら、お手数ですがブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に"奈緒子関連本"と御入力ください。


(以下、後刻書きます)