第9410回「大奥 第十二巻 家斉編②家斉と一橋治済の確執、赤面疱瘡絶滅 ストーリー、ネタバレ」 | 新稀少堂日記

第9410回「大奥 第十二巻 家斉編②家斉と一橋治済の確執、赤面疱瘡絶滅 ストーリー、ネタバレ」





 第9410回は、「大奥 第十二巻 家斉編② 家斉と一橋治済の確執、赤面疱瘡絶滅 ストーリー、ネタバレ」です。本巻において、種痘が天然痘を駆逐したように、熊痘(ゆうとう)がついに赤面疱瘡を駆逐します。その完遂を全面的にバックアップしたのが第十一代将軍・家斉(男性)でした・・・・。


 いまだ、家斉と実母・母親の治済(はるさだ)との確執との決着はついていません。


「第十一巻 家斉編① 一橋治済の実権支配とかつての蘭学者たち」(抜粋)

 『 男子将軍に対しては、時代が確定した今となっては根強い不信がありました。そのことを最大限に利用したのが、母親の治済(はるさだ)でした。政(まつりごと)の実権を完全に掌握したのです。それを後押ししたのが、多くの女性の支持でした。・・・・


 その頃、在野で療養所を経営していたのが、青沼と平賀源内から後事を託された黒木良順と青海伊兵衛のふたりでした。細々と・・・・。彼らを支援していたのが、商家に婿入りした僖助でした。3人の胸には青沼と平賀源内の遺志が脈々と打ち続けています。かつて大奥にいた男たちは、わずかな人数で中奥勤務になっていました。


 大奥では、治済の横暴が続いていました。気に入らない側室だけでなく、家斉の正室が生んだ子どもまで謀殺したのです。「治済さまは、大奥で間引きをしているのです」、正室は家斉にそう話します。ついに、家斉は僖助を通じて黒木に面会します。赤面疱瘡の研究をしてほしいと・・・・。「頼む、黒木」、将軍は頭を下げます。 』(以上抜粋)


「第十二巻 家斉編②前半 天文方翻訳局の創設」

 家斉に頭を下げられましたが、家斉には危うさがあります。母親・治済(はるさだ)の存在です。一方、黒木良順には青史郎という息子がいました。「この子のためにも、今は亡き青沼と平賀源内のためにも・・・・」、是非とも赤面疱瘡絶滅を誓います。


 その頃、大奥では正室(御台所)と志賀(現在は大奥総取締役の滝沢)が相争っていました。ただ、御台所の一方的な誹謗中傷に終始しているのですが・・・・。家斉は意外にも狂気に駆られている御台所に同情を禁じえません。


 そんな状況の中、家斉は再度黒木を訪れます。赤面疱瘡対策の進行を見守るために、母親には秘密裏に江戸城に部局をこしらえようとしていたのです。それが、小説・映画「天地明察」の書舞台ともなっている天文方、そこに翻訳局を作ろうと・・・・。


 一方、母親には若い男たちをあてがいます、疑念を抱きながらも見抜くことは出ませんでした。そして、黒木に協力を申し入れたのが、療養所の連中でした。黒木は正装し初登庁します。彼を熱く迎えたのが、高橋景保です。メガネを掛けた陽気な天文方の女性でした、数学の必要性を熱く説きます。そのためにも西洋の数学の知識が欠かせないと・・・・。


 ところで、青沼は責任を取らされ斬首された際、多数の蘭学書を後輩の為に遺していました(治済には「吉原細見」だと偽っています)。いまやそれが、翻訳局の人々の目に触れます・・・・。そして、公儀隠密の力を動員し、弱毒性の赤面疱瘡を探させます。


「第十二巻 家斉編②後半 大奥の暗闘と、赤面疱瘡の絶滅」

 女性の忍びを各地に放ちます。ひとつのグループが、弱毒性の赤面疱瘡に感染している少年を見つけ出しました。ですが、膿からとは採れず、瘡蓋(かさぶた)から取ったものだったのです。その頃、江戸はまさしく大流行期に差し掛かっていました。青史郎も感染します。


 一方、源内たちが指導した「熊痘(ゆうとう)牧場」も発見されていました。次々と男性に感染させていけば、いくらでも熊痘ワクチンの開発は可能です。黒木は、遅れて到着する熊痘ワクチンに代え、まずは瘡蓋から作ったワクチンでわが子に試してみます・・・・(後刻、瘡蓋でも有効だと判明します)。


 その頃、江戸城大奥でクーデターが勃発していました。これまで何度となく毒殺を実行してきた治済(はるさだ)を逆に御台所と大奥総取締役の滝沢が、治済に毒を選択させたのです・・・・。それでも、家斉は忍びないと、母親のために薬師を呼びます。以降、治済は寝たきりとなり、政治の表舞台から消え去りました。


 一方、瓦版による宣伝戦略を採った黒木の計画は想像以上に効果をあげていました。江戸市中の若者たちに次々と摂種されていきます。それを強制的に実行させたのが、家斉でした。江戸から赤面疱瘡を駆逐させると、全国へと展開させていきます。


 家斉の強引な手法は良くも悪くも、日本国から赤面疱瘡を完全に駆逐させることに成功したのですが・・・・、以降の家斉は女色におぼれたと言われています。そして自らは将軍職を譲り大納言と称しました。ですが、第十二代将軍に指名したのは、相変らず女性の家定でした。そして、黒船が来航します・・・・。


「第十三巻 予告」(2016年初夏頃販売予定)

 『 赤面疱瘡克服により、世の中は大きく変わった。十一代将軍・家斉によって、男子に家督を譲るよう号令が出されると、女たちの時代は過去のものに・・・・。しかし、代々徳川家に仕えてきた阿部家は女子である正弘がが家督を継ぐこととなり・・・・。


 日本に大きな変化がもた去れる時代へ! 外憂に立ち向かう者たちとは――!?』


(追記) 漫画版「大奥」について、過去に書いたブログに興味がありましたら、お手数ですが、ブログトップ左側にあります"ブログ内検索"欄に、"大奥"と御入力ください。