指定管理者制度っていうものに、ちょっと関心を持っています。

ちょっと話は遠回りしますが、まずはきっかけを書きます。

2月に私は、「東京ボランティア・市民活動センター」というところのボランタリーフォーラムというイベントに参加しました。
私も実行委員として、一つの研修を企画していたんですが。「福祉施設やサロンは地域の拠点となり得るか~地域の中での居場所をつくり出そう!~」というタイトルでした。
企画の趣旨は、以下のようなもの。
障害者・高齢者・子どもなどあらゆる分野で「サロン」「デイサービス」「グループホーム」といった小さな身近な「居場所」が増えつつあります。また、大きな施設も地域の中での役割を持っています。「市民活動」という視点から「地域の拠点とは何か」について改めて話し合い、考えてみたいと思います。

前にも書きましたが、私は、地域の中で孤立しがちな人々を結び合わせる仕事がしたいと思っています。その「つなぎ方」の方法の一つとして、「地域の拠点作り」があるのではないかと思っています。
「拠点」っていうのは、ちょっとお茶を飲んでお話をできるような場所であったり、地域の情報を得ることのできる場所、なんていうイメージ。そこで、普段なかなか話せなかった近所の人と知り合いになれたら良いんじゃないかな、って。
子育て中の人も、高齢者も、障害者も。

今は、サロンとか、デイサービスとかがあるんですよね。大きい施設も、「もっと地域に開いていこう」という考えがありますし。

だけど、制度に乗っているものって、しばりも多いんですよね。
そして、制度上でうまく回すことに一生懸命になると、新しい発想が生まれなくなってしまうという弊害も…。

「困っている人がいるから、どうしてもやらなくちゃいけないんだ」という、市民の主体的な熱い思いを形にして、それを継続していくためには何をしたら良いのだろう…というのを考えるのが、企画の意図でした。

私は「地域の拠点」という視点から考えましたけど、この問題は、いろんなところで共通する問題なんだということが、だんだん分かってきました。

そこで、以上の内容とほぼ同内容で、「指定管理者制度・委託」について考えるという姉妹企画も同時進行していました。

指定管理者制度について興味を持ったのは、それがきっかけなんです。

公的な施設(文化センターとか、福祉施設とか)の管理は、今まで公共的な団体か、地方自治体が出資している団体しかできないことになっていました。それを、民間営利企業も含めて広く可能にするための法律(地方自治法)の改正が、2003年に行われたのです。

そういう変更がされたのは、住民のニーズが多様化する中で効率的なサービス提供をするために民間の力を活用する、ということらしいです。

さて、そうなると、「効率的」っていうのはそもそも具体的には何を指すんだろうか、というのが非常に興味深いですね。

お金が安くなるということでしょうか?

でも、行政だと高くて、民間だと安い、という根拠はなんでしょう??

質の高いサービスを提供するためには、スタッフに対しては相当の対価を支払う必要があります。

それに、お金のことだけで「民間活用」というんじゃ、なんだか寂しいですよね。

せっかくの制度だもの、「困ってる人がいるから、やらなきゃいけないんだ」という、人々の熱い思いを叶える手段として機能して欲しいと、私は思います。

もう少し詳しく、指定管理者制度について知りたいと思いまして、「指定管理者制度で何が変わるのか」(文化政策提言ネットワーク編 水曜社 2004年)という本を手にとってみました。
これは、文化ホールの指定管理者制度についての本ですが、福祉とも通じる部分がたくさんありました。

いくつか、引用させていただきますが、ぜひ「文化」という言葉を「福祉」に置き換えて読んでみてください。


★「施設効用」とは何かという課題は、行政だけではなく、やはり市民参画で討論され決定され公表されていくべきものではないか(32ページより)

★公立文化施設の公共性を考えるとき、社会の潜在的需要(ニーズ)の調査・発掘と、これに対応した積極的な施策が必要であることを政策的に明記しなくてはならない(34ページ)

★単にコンサートを何回実施して、入場者数が何人、といったアウトプットの指標だけでなく、その施設のミッション、すなわち公共性の実現における結果(アウトカム)についての仕様を明記することが不可欠である。(48ページ)

★行政は、率先して市民とともに文化の必要性を語り、仕組みをつくる。しかし、なんといっても一番大切なことは、「豊かな文化のある社会を実現することは、私たち一人ひとりの問題である」。それを私たち自身が認識することである。(60ページ)


練馬区でも、指定管理者制度の利用は増えてきてるようです。練馬区のホームページには、次のように書かれています。

指定管理者制度は新しい制度であり、他の自治体も実施にあたり模索している状態です。区としても、他の自治体の動向や導入後の経過を随時、検証しながらこの方針も必要に応じて見直しを行っていきます。

せっかくならば、市民ひとりひとりが責任を持って、皆で「公共」について考えていくことのできる仕組みができたらいいんじゃないかなあ。
練馬の指定管理者制度の実態については、ぼちぼち見ていきたいと思っています。
新しい発見があったら、またブログで報告しますね。