今回のブログでは、全款補充質疑で質問したうち、災害時の障害のある人、高齢の人への対応について質問した内容をご紹介します。

東京都の被害想定のうち、多摩東部直下地震における練馬区の死者想定は314名のうち241名が避難行動要支援者である。減らすことが課題。福祉避難所への直接支援の検討はどのように進めていくか。

(かとうぎ桜子)

災害時要援護者対策費に関連して伺います。

今回の地域防災計画の改定は、2022年に東京都が示した被害想定の多摩東部直下地震を参考にしていると思いますが、死者の想定、314名のうち241名が避難行動要支援者であるということです。ここを減らす方策を考えていくことが重要だと思いますが、まず今回の計画の中にある福祉避難所への直接避難の検討は具体的にどのように進めていくのかお聞きします。

 

国は日頃利用している施設を福祉避難所とすることを想定しているが、利用施設が必ずしも自宅の近くにあるわけではないので受け入れには課題がある。施設の意見も聞きながら検討していく。

(福祉部管理課長)

今、福祉避難所に関しては、避難行動要支援者が災害時に在宅にとどまることが困難な場合は、まず近くの避難拠点へ避難していただく。

福祉避難所は避難拠点において特別な配慮を必要とする高齢者や障害者がいる場合に、災害対策本部の要請に基づき要支援者を受け入れることになっています。

 

国は、要支援者が日頃から利用している施設を福祉避難所として直接避難することを想定していますけれども、利用施設が必ずしも自宅の近くにあるわけではなく、受け入れ態勢や対象者の調整、それから移送手段など、課題がございます。福祉避難所に指定されている施設の意見も聞きながら、直接被害について検討していきます。

 

例えば一定程度障害・介護の状態の重い人は自宅近くの福祉避難所と出会う機会を作るなど工夫が必要。また、要支援者名簿の現況調査の実施状況は?

(かとうぎ桜子)

今、ご説明がありましたけれども、基本的には避難拠点に行って、そのあと、福祉避難所に行くのが今まで前提だったけれども、ただ、それでは明らかに自分の障害の状態、介護の状態では難しいと思った時に、避難すること自体諦めてしまうことも考えられるので、そういう状況が起こらないように直接避難を想定した仕組みを作ることは必要だと思います。

 

利用している施設に行かれれば、おっしゃるとおりに一番いいと思うのですけれども、送迎を使っていたりだとか、自分で公共交通機関で通っていたりするので、必ずしも自分のおうちの近くに通っているわけではないから、そこに避難するのが難しいことはあると思います。

 

そうするとなかなか具体的なマッチングが難しいところがあると思うのですけれども、例えば一定程度要介護度や障害の状態が重い人で、希望している人は、あらかじめ近隣の福祉避難所とマッチングできるように訓練の時に当事者が参加できる体制を積極的に作るなど、普段から福祉避難所と必要とする人が知り合える工夫をする方法もあるかと思います。

当事者や施設の現場の方の声を聞きながら、工夫していただけたらと思います。

 

次に、名簿について伺います。

2月16日を返送の締め切りとして避難行動要支援者名簿登録者現況調査が送付されていて、その中で個別避難計画に登録する情報の記入欄もあります。まず、送付件数と現在の回収の状況をお聞きします。

 

31982名に送付し、おおむね半数から回答がある状況(2024年3月段階)。

(福祉部管理課長)

こちらの調査は、31,982名の方に送付致しまして、おおむね半数の方から回答がある状況です。

 

半数の回答がない人への働きかけは。また、周知をはかるにあたって福祉事業所との連携は

(かとうぎ桜子)

半数の回答ということで、今のところまだ回答がない方も多いようですけれども、今後、その方々に対してどのような対応をする予定なのかをお聞きしたいのが一点。

それから、名簿に登録している人については、

・介護保険の要介護3以上

・身体障害1、2級

・愛の手帳1~4度

・精神障害1級

の方ということで、多くの方が何らかの保健福祉サービスを利用していると考えられますけれども、福祉事業所や訪問介護などの事業所から対象となる方への名簿と個別避難計画の登録のお知らせの協力をしていただくことは考えているのかお聞きします。

 

担当のケアマネジャーや相談支援専門員からの声掛けによる啓発を進めたい。

(福祉部管理課長)

2月16日で一旦調査の締め切りは致しましたが、今後も個別避難計画の作成について呼びかけて参りたいと考えています。

具体的にはホームページなどでの周知や電話、勧奨通知などによる個別の作成、勧奨、それから事業者の協力を仰ぐという意味では、担当のケアマネージャーや相談支援専門員からの直接の声かけにより、個別避難計画の作成の必要性を啓発してまいりたいと考えています。

 

回収後の情報の整理・管理はどのように行うか。また、災害時の安否確認後の報告体制は。

(かとうぎ桜子)

それから、回収後の情報の整理や保管など、管理はどのような流れで進めるのかということが一点。

あと、避難支援者として登録される方が、避難の完了後、あるいは安全が確認出来た段階で報告を求めるなどをするのかという仕組みについて伺います。

 

要支援者本人、避難支援者、作成支援者、区で共有し、避難拠点では鍵のかかる場所で保管。同意があった人についてはその他の関係機関とも共有。安否確認は専用回答フォームを1月から運用しているため、その活用を呼び掛ける。

(福祉部管理課長)

まず、個別避難計画作成後の情報の整理保管、活用についてですけれども、災害時にどこへ誰と避難するかをあらかじめ定めておく意味で、個別避難計画を作成しておりますので、避難行動要支援者本人、それから避難支援者、作成支援者を区で共有しまして、災害時に円滑に避難ができるよう備えるところです。

 

個別避難計画の情報を記載しました避難行動要支援者名簿については、避難拠点の鍵のかかる場所に保管し、災害時には避難拠点に集まった民生・児童委員や区民防災組織、それから元気避難者等でチームを組んで名簿を用いて安否確認をおこないます。

 

また、外部提供の同意があった方の名簿については、民生・児童委員、区民防災組織、地域包括支援センター、消防機関、警察機関に提供し、平時からの備えとして日頃の訪問活動など、顔の見える関係づくりを行うことに用います。

 

また、避難支援者に安否確認や避難支援の結果の報告を求めるかにつきましては、協力をお願いしてまいります。要支援者本人や避難支援者から要支援者の安否を国報告できる安否確認専用回答フォームを1月から運用開始しており、そちらの活用も呼びかけてまいります。

 

福祉事業所が作成する義務のあるBCPとの連動や、福祉従事者に対する災害対策全般の研修が必要では。

(かとうぎ桜子)

福祉事務所は介護でも障害でも2023年度中にBCPの作成が求められています。

一方で、事業所のスタッフが個別避難計画の避難支援者となる場合もあると思いますし、災害時にその事業所内でとどまっている方が安全と判断する場合がもあると思いますので、事業所として安否確認の連絡を行政に対してすることもBCP の中で位置づけるなど、事業所の災害対策と要支援者対策の連携が必要ではないかと思いますが、その点伺いたいです。

 

また、福祉従事者への研修として、BCP のことだけにとどまらず、要支援者への災害時の支援策全般を知ることができる機会を設けるなど、工夫が必要かと思いますけれども、その点について見解をお聞きします。

 

事業者連絡協議会と災害時の協定を結んでいるため、それに基づき情報共有を行って対応の構築をしてきた。今後の周知もきめ細かに実施する。

(福祉部管理課長)

区は、練馬区介護サービス事業者連絡協議会や障害者福祉サービス事業者連絡協議会と災害時における介護、障害福祉サービスの利用者に対する支援に関する協定を締結しています。この協定に基づき、事業者団体と連絡会などで災害対策に関する情報共有を行い、未利用者の安否確認訓練やBCP に関する訓練を実施し、災害時の対応を構築してまいりました。

 

区の避難行動要支援者対策については、ホームページなどですでに広く周知しているところですけれども、今後も介護サービス事業者向けのホームページやメーリングリストなどを活用して、きめ細かに周知してまいります。

 

(かとうぎ桜子)

要支援者の方と普段関わりのある方がしっかり連携をしながら、災害時の安全確保につながる工夫をさらに進めていただければと思います。

3月7日の全款補充質疑では、自殺対策計画、災害時の避難行動要支援者への対応、地域包括支援センターのことを質問しました。

今回は自殺対策についてご紹介します。

 

ゲートキーパーとしての区職員の意識向上はどのようにはかってきたか。

(かとうぎ桜子)

精神保健対策費について伺います。

2024年度からの自殺対策計画が示されていますが、「生きることの阻害要因を減らすことが必要」として、生きるための支援として実施する区の様々な分野の事業を掲載しています。

相談窓口はもちろんのこと、健康の維持や子育て支援、こどもの過ごす場所や教育、権利擁護や居場所づくり、就労支援など、様々な場面で区民の生きづらさを取り除く、生きるための支援をすることが、自殺対策として必要だと私も思います。

 

これらの施策が自殺対策に繋がっていることを、関係する職員が意識して実施することが重要と思います。

意識付けのための庁内での情報共有を今までどのように進めてきたのか、また、区の職員のゲートキーパー養成研修の受講状況をお聞きします。

 

2007年から行っている講座をのべ700名程度が受講している。受講した職員からは前向きな意見が出ている。

(保健予防課長)

職員向けゲートキーパー養成講座は、平成19(2007)年度から、うつ病などの精神性疾患への理解を深め、専門機関へ繋ぐ人材を育成することを目的として毎年実施しています。

対象は、保健福祉部門や窓口部門の職員だけでなく、同様の業務に従事する委託事業者などを含めており、これまで延べ700名程度が受講しております。

講座では、精神疾患を抱える方の支援に携わっている専門家の講師が、関係部署との連携方法などについて具体例を示しながら講義をしています。

受講した職員からは、「今後どのような分野の相談も、自殺につながる可能性がある事を念頭に置いてお話を伺うことが必要と感じた」「自分にもできることがあると気づくことができた」など、前向きな意見が多く出ております。

引き続き、職員の意識が高まる取り組みとなるよう、講座内容を工夫しながら、自殺対策を支える人材を育成してまいります。

 

適応指導教室は若年層の生きる支援の事業と位置付けられているが、先日の岩瀬さんの質疑の際、支援上必須とは思えないルールがあり登録しても利用できていない子も多いという話があった。生きる支援として問題があることは私からも指摘しておきたい。また、計画に書かれているNPO法人との連携はどのように進めるのか。

(かとうぎ桜子)

個々の事業での目的のその先に、区民の生きづらさを取り除くという大きな目的があることを、多くの職員の方、皆さんでしっかり共有していただきたいと思います。  

 

それで、先日の予算特別委員会で、岩瀬議員から適応指導教室のルールについて質疑がありました。

(※岩瀬さんの質疑の詳細は岩瀬さんのブログをご覧ください。)

 

適応指導教室は自殺対策計画の中では若年層への支援として記載されています。

しかし家庭で読み合わせることを前提としているルール、茶髪など支援上必須とは思えないルールを定めていることで、それに沿えない子が来られなくなってしまうことに対する配慮があまりにもなさすぎます。

ルールを守れなくても排除するものではないという説明もありましたが、受け止める側は、そのように受け止めることができるでしょうか。ルールが守れなかったら来られなくても仕方がないと言われていると捉えるのではないか。実際に登録していても利用できていない子が多くいるという話もありました。このような対応は、生きる支援という観点からも問題があることは、私からも指摘しておきたいと思います。

 

すべての施策を自殺対策の観点から見直し、管理職も含めて、生きる支援とは何かを改めて認識し直していただきたいと申し上げます。

 

自殺対策について、NPO法人との連携を進めると書かれていまして、NPO法人が実施するSNS相談の相談者に対して、保健師とNPO法人が連携して支援に取り込むとあります。具体的にはどのような形で連携支援を行うのかをお聞きします。

 

区の保健師がNPO法人と連携しながら支援に取り組む。

(保健予防課長)

NPO法人が実施する自殺対策SNS相談事業との連携は、第二次自殺対策計画に掲げた新たな取り組みの一つです。

SNS相談事業の相談者に対しまして、一人一人の背景や状況などを踏まえ、区の保健師とNPO法人が連携して支援に取り組んでまいります。

 

(かとうぎ桜子)

NPO法人のノウハウも活かせる形で練馬区にできることをさらに進めていっていただけたらと思います。

 

保健福祉費で質問したうち、2024年度の障害福祉の報酬改定の中で就労継続支援B型について質問した内容をご紹介します。

工賃向上を目指すあまりに、体調が不安定な人や作業がゆっくりな人など、多様な特性のある障害のある人が利用しづらくなっているのではないかということがずっと気になっています。

今回の報酬改定では、毎日通えない人はその実態に即した計算方法になるので、できるときにできれば大丈夫、となるのではないかと期待をしています。「今通っている障害のある人にできるだけ高い工賃を払う」という本来の趣旨が、「高い工賃を稼げる人だけに通ってきてほしい」となってしまったら本末転倒なので、福祉的就労のあり方を改めて考える必要もあるのではないかと思います。

 

2024年度から、就労継続支援B型の工賃の計算方法が変わる。今回の報酬改定を区はどうとらえているか。

(かとうぎ桜子)

就労継続支援B型事業所の報酬改定についてお聞きします。

B型は、工賃向上を目指すために2018年度の報酬改定から平均工賃に基づいた報酬になっています。

計算方法は、「前年度の工賃の総額」を「支払い対象者の総数」で割って一人当たりの平均工賃月額を算出するというものでした。

つまり、利用契約はしているけれども体調が不安定で必ずしも毎日来られないという利用者についても、計算上は数に含まれる形になりますから、計算上、平均工賃は低く出るということになります。

そのために、毎日来てバリバリ働けて稼げる人でなければ事業者としての平均工賃も上がらないという理由で、体調面で毎日来られないかもしれないという人や、障害特性上、作業がゆっくりの人を受け入れてもらいづらいという実態もあったように思います。

 

2021年度の報酬改定では、「利用者の就労や生産活動などへの参加などをもって一律に評価する報酬体系」として、工賃の計算によらない方式ができましたが、この報酬体系を採用している事業者もあまり多くありません。

 

そのような中で、今回の報酬改定で平均工賃の計算方法が変わります。

今までのように総額を工賃の支払い対象者であるのではなくて、対象日数あたり利用した人数の平均で割るようになります。来られない人は計算に入りませんので、毎日は来られない人も働きやすくなる面もあるかと思います。

 

そこで、事業所にとってこの報酬改定でどのような変化が生じると考えられるかお聞きします。

 

工賃の高い事業所の基本報酬が上がり、低い区分の単価は下げられる。また、手厚い人員体制が可能となる。

(障害者施策推進課長)

現在、就労継続支援B型事業では、平均工賃月額に応じた報酬体系となっておりますけれども、今度の報酬改定では、よりメリハリのついたものとなります。

平均工賃月額が高い区分の基本報酬の単価が引き上げられて、低い区分の単価が引き下げられることになります。

これによりまして、事業所としては経営の安定させるためには平均工賃月額を上げていくことが求められるようになると考えております。

一方で、利用者の重度化、高齢化が進んでいるところなどを踏まえまして、手厚い人員体制ができるよう、これまでより手厚い人員配置の基準を新設するなどの変更もございます。

 

工賃向上も大切だが、稼げない人が来られない、ということでは福祉的就労の意義が問われる。改めて就労継続支援B型のあり方について事業者と考える機会を持ってほしい

(かとうぎ桜子)

工賃上昇ももちろん大事ですけれども、それで稼げる人しか働けないとなってしまっては福祉的就労の本来の役割を果たせていないのではないかと思います。

今回の報酬改定の趣旨も踏まえて、改めてB型のあり方について考え方を整理して、事業者と共有する機会を設けていただけたらと思います。

2月28日に質疑をした2024年度予算の保健福祉費では、2024年度改定予定の障害福祉制度についても質問しました。具体的には、グループホームのことと就労継続支援B型事業所についてです。今回のブログではグループホームのことをご紹介します。ちょっと私の質問が長いんですが💦、普段現場で関わりながら、ご相談を受けて課題と感じたことを、個人情報を除く形で整理して質問しましたので、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

 

営利目的で実績のない法人が参入するなど、グループホームの支援の質に課題があることは、国の検討の中でも言われている。区はどうとらえているか。

(かとうぎ桜子)

自立支援給付費に関連して伺います。

2024年度は介護保険の報酬改定もありますが、障害者総合支援法についても報酬が改定されますので、伺っていきたいと思います。

まず、グループホームについてです。

 

東京都障害者サービス情報によれば、今の区内の民間グループホームは49法人149ユニットあります。

 

国の社会保障審議会や障害福祉サービス等報酬改定検討チームの資料によれば、障害福祉の実績や経験の少ない事業事業者の参入が多く見られ、支援の質の低下が懸念されるとされています。(※以下の資料の画像は、上記の資料のリンクから引用しています。)

 

 

また、営利法人が多く見受けられて、介護サービス包括型のグループホーム全体の収支差率が5.8%であるのに対して、営利法人の収支差率は15.6%であるとのことです。

 

 

同じ報酬額の中で利益を上げるには人件費を減らすということになるので、それも支援の質の低下につながるものではないかと懸念しています。

 

 

グループホームの世話人の配置基準は、常勤換算で何対1という形で定められていますが、そもそも常勤の時間数が32時間から40時間の間で法人が決めることができます。常勤換算時間を32時間にしても40時間にしていても配置基準を満たすということになります。

 

 

 

例えば、常勤換算時間が32時間の法人で、6人定員のグループホームに6対1で世話人を配置すると、1週間で32時間いればいいということになります。

 

一方で、利用者が平日の日中は作業所に行くとして、夜勤帯の時間も除いたとしても、大体1週間で70時間から80時間ぐらいは利用者がいる時間が発生します。それだけ支援が必要な中で、32時間だけ世話人がいる形でもいいとなるわけです。

 

だから食事の提供をしていないというところもあったり、土日は職員がいないからできれば実家に帰って欲しいと言われるグループホームもあります。そういう状態で、利用者の生活全般や将来を見通した支援が充分にできるのだろうかと思います。

 

実際にグループホームを利用していて、「行動障害があるから、本人が自由に外に出られないようにされた」とか、「家族に対して日常生活の様子の報告がほとんどなくて、本人がどう暮らしているのか分からない」とか、「グループホームの職員だけでは対応しきれないから、もっとお母さんが見てくれと言われた」とか、「昼夜逆転しがちで生活が乱れてしまうのでグループホームに入ったけれども、朝に職員がいないので結局起こしてもらえないから昼夜逆転は直らない」といった話も伺ったこともあります。

 

一人暮らしや実家などで暮らすのでは支援が不足していると考えてグループホームを選択したり、親が将来を考えて入居を決意しているにも関わらず、生活課題の支援が充分に行われない、親への負担を求めるということでは、グループホームの存在意義が問われると感じています。

今回の報酬改定では、こうした現状を踏まえて、職員体制を手厚くしているグループホームに対して報酬を厚くする変更がされました。区としては、現在のグループホームの現状と課題をどのようにとらえているのかお聞きします。

 

障害者計画の策定の中でも質を懸念する声が寄せられていて、課題は認識している。そこで、今後、第三者評価の受審補助を位置付けている。

(障害者施策推進課長) 

ただいま、委員から国の検討会の意見でございますとか営利法人の話などがございました。

 

営利法人でも様々に良い運営をしているところもあると思いますので、一概には言えないところですけれども、区でも障害者計画の策定に向けた障害者団体へのヒアリングであるとか、パブリックコメントなどでもグループホームの質を懸念する声が寄せられております。そういったことから区としてもグループホームの質の確保が課題であると認識しているところです。

 

こういった状況を踏まえまして、12月にお示しした新たな障害者計画素案の中で、グループホームの質の確保のための取り組みとして、第三者評価受審の補助を新たに位置づけております。

さらに、第三者評価の受審が評価を受けただけで終わらないように、費用の補助を行った事業者に対して、評価の結果を受けて改善に向けた取り組みの確認や支援を実施する予定です。

 

第三者評価は利用者・家族に活用しやすい情報発信の工夫が必要。また、来年度の改定で地域連携推進会議が義務付けられる。関係者に負担なく、また当事者に権利侵害が起こらない形での実施が必要だが、区の考えは。

(かとうぎ桜子)

第三者評価もとても大事だと思いますけれども、それがきちんとした利用者や家族にとっても分かりやすいように情報が生かされる工夫などもしていただけたらと思います。

グループホームの中でどのような生活の実態があるのか、自分の求めている支援を受けられているのかというのが入ってみなければわからないようでは困るわけです。

 

不適切な関わり方をなくして、不十分な対応を改善するためには、先ほどの第三者評価もそうですが、事業所を地域に開かれたものにしていく必要があると思います。

 

介護保険の中で、地域密着型サービスに対して運営推進会議を行っていますけれども、それと同様のものを障害者のグループホームにも設置する必要があるのではないかということを、以前、一般質問などでも指摘してきました。

今回の改定で地域連携推進会議を設置することが義務付けられました。現在のグループホームの実態が外から見えづらいことを考えると、このような会議体を設置することは必要だと思います。

ただ、会議は、利用者、家族、地域住民、行政職員などの参加が求められますので、いかに関係者の負担にならない運営をするのか、また開かれたものにすることによって、逆に障害のある当事者や家族に対しての権利侵害が起こらないようにすることの工夫も必要になると考えます。

区としてはどのように捉えて進めていくか、お聞きします。

 

介護保険ですでに実施されている会議の実施方法などを参考にしながら、円滑かつ利用者の人権に配慮した実施ができるよう取り組んでいきたい。

(障害者施策推進課長)

 令和6(2024)年度報酬改定で、新たにグループホームでは支援の質の確保のために、今、委員からもお話がありました利用者やその家族、地域住民の代表者、行政担当者などで構成される地域連携推進会議を開催することが必要となりました。

こちらもご紹介いただきましたけれども、同様の仕組みが、介護保険制度の下でグループホームであるとか、小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスなどでも実施されておりまして、区の職員であるとか、地域の民生委員などが参加しておるところです。                        

障害者のグループホームの地域連携推進会議について、現時点で、国から省令などがまだ示されているところでございませんが、今後、国の動向を注視して行くと共に、介護保険制度の下で実施されている会議の実施方法などを参考にしながら、区内グループホームの運営事業者に対し、円滑かつ利用者の人権に配慮した地域連携整備推進委員会議が実施できるように取り組んでまいりたいと考えております。

 

(かとうぎ桜子) 

区内のグループホーム全体でよりよいサービス提供ができるように、しっかり体制を整えていただけたらと思います。

コロナ禍で実施された生活福祉資金の特例貸付は多くの方が利用し、2022年9月に終了、2023年1月から返済が始まっています。生活の改善がされていなくて返済により生活に新たな困難が生じることがないか、また、生活福祉資金の貸付を多くの方が利用したという経験をふまえ、長期的な視点に立った生活困窮者支援制度の改善が必要であると指摘してきました。

最近の返済の状況を質問しました。

 

練馬区民は1万件ほどの利用があったという生活福祉資金特例貸付の現在の返済免除・猶予の状況は

(かとうぎ桜子)

生活困窮者自立支援経費について伺います。

2020年3月から2022年9月まで行われた生活福祉資金の特別貸付は、コロナ禍でお困りになった方が広く利用できる貸付制度でしたが、全国的に多くの方が利用されていて、区内では1万件ほどの利用がありました。

2023年1月から返済が始まりましたが、時期が来ても返済できない人が多くいるのではないか、返済があることによって新たな生活困窮が起こるのではないかということも懸念されてきました。

特例貸付の免除と猶予について、練馬区の最近の状況をお聞きします。

 

貸付の実施主体は東京都社会福祉協議会で、1月末時点で免除4403件、猶予155件と伺っている。

(生活福祉課長)

まず、お話にありました生活福祉資金の特別貸付は、都の社会福祉協議会が実施主体で、償還の開始案内の送付や、あるいは、区で言うと生活サポートセンターが該当します。

社会福祉協議会自立相談支援機関と連携して償還免除や猶予の決定を行っているというものです。

本年1月末時点で、免除については4403件、猶予については155件と伺っております。

 

4割の方が免除になっている状況。免除の人への支援はどのように行っているか。また、残りの6000件の状況はどうか。東京都社会福祉協議会と支援が必要な人についての情報共有が必要。

(かとうぎ桜子)

4000件を超える方が免除になっているということで、つまりは、今、既に約4割の方が免除になっているということかと思います。

残りの約6000件の方は返済できる状況にあるのか、あるいは連絡が取れていない方もいらっしゃるということも気になるところです。

免除された方は、貸付の免除の手続きに留まらず、生活の支援が必要な場合もあるのではないかと思います。練馬区として、免除となった方への支援はどのように行っているのかお聞きしたいのが一点です。

そして、残りの6000件の方が返済できる状況にあるならばいいのですけれども、連絡が取れず、返済も免除申請もない状態の方がいるならば、そういう方には支援が必要と考えます。そうした実情の情報共有も含めて、貸付の実施主体である東京都社会福祉協議会とどのような連携をとっているのかもお聞きできたらと思います。

 

免除の手続きの中で相談先として練馬区の社会福祉協議会をご案内し、支援を行っている。6000件で返済していない人には催促やフォローアップをする中で支援につなげる。

(生活福祉課長) 

まず、一点目の免除された方に対して、どのような支援を行っているかというところです。

東京都社会福祉協議会、あるいは区社会福祉協議会から聞き取ったところですと、まず、東京都社会福祉協議会が免除申請に関して書類の審査をする、その上で、なかなか返済が見込めないと思われる方については区の社会福祉協議会をご案内すると聞いております。

または、返済は見込めるけれども所得状況も厳しいという方については、生活サポートセンターを案内しているという振り分けをしているそうです。

その上で、区社会福祉協議会においては相談者と対面で相談を行ないまして、収入状況、生活状況などを、また改めて聞きとりまして、生活サポートセンターの家計改善支援ですとか、福祉事務所、あるいは多重債務状態に置かれている方であれば法テラスなどの支援につないでいると伺っております。

また、6000件近い方については、東京都社会福祉協議会としても、その後の催促の通知ですとか、あるいはフォローアップをする中で、生活にお困りの方については区の社会福祉協議会あるいは生活サポートセンターにつなぐように取り組んでいくことになろうかと思います。

そうした方についても、今申し上げたのと同様に、連携した支援を実施して行くことになろうかと思います。

 

猶予の方にはどのような支援を行っているか。

(かとうぎ桜子)

それから猶予について、今すぐ免除の対象にはならないけれども、今は返済するのが難しいという方について、原則一年の猶予を受けられるというものです。その後も継続して返済が厳しい状況があれば免除になる可能性もあるかと思います。

猶予になっている人に対しては、現在、練馬区でどのような支援を行っているか伺います。

 

練馬区の生活サポートセンターで相談支援の中で猶予が必要と意見書を書いたのは32件。また、就労支援や家計改善支援を行っている。

(生活福祉課長) 

まず、猶予の要件が、国の通知などによると所得が非課税相当になるなどいくつかあるほか、自立相談支援機関が猶予が妥当と判断した場合は意見書を東京都社会福祉協議会に提出することとなっています。

生活サポートセンターは、これまで相談支援によって猶予が相当と判断した方について、32件の意見書を提出したと伺っております。

その方々は、不安定就労あるいは債務を抱えている方も多いことから、就労サポーターやハローワークにつなぐ就労支援、あるいは、家計改善支援などを行っているというところであります。

 

(かとうぎ桜子)

件数が多いので手続きをこなすだけでも大変な状況もあるかと思うのですけれども、しっかり東京都社会福祉協議会と連携して、これからも、残りの方も含めて実態把握と支援の工夫を進めていただきたいと思います。