10月25日、26日は区議会、区民生活委員の視察で、福岡市、 北九州市に行きましたので、報告を書きます。


☆北九州における地域コミュニティ施策

北九州は人口約93万人の政令指定都市。
行政区は7区あり、その中に

・205の地区・校区自治連合会

・2784の町内会・自治会

があるそう。 

自治会の運営は市政だよりの配布の委託やゴミステーションの管理、防犯灯(街路灯)の維持管理など事業を行なった場合に、行政がその委託費を支払っており、自治会という団体の運営そのものに対する補助は行っていないのだそうです。
自治会の他に、小学校区単位で自治会や社会福祉協議会、老人クラブ等の団体、企業など様々な団体も加入するまちづくり協議会というものもあるそうです。まちづくり協議会は小学校区単位を基本に設置するコミュニティ施設の管理業務を受託しています。
 

 

課題は練馬区をはじめ、多くの地域でも共通しているのではないかと思いますが、高齢化、共働き世帯の増加による担い手不足で、自治会加入率も平成4(1992)年に96.7%だったものが令和3(2021)年には62.5%になっているそうです。自治会が様々な地域活動を担っていることを広報したり、一方で補助金を可能な限り一本化してまちづくり協議会に交付することで補助金の申請や精算など事務負担の軽減も進めているとのこと。

自治会活動の広報については小学校3、4年生向けに社会科教材を作ったり、地域活動に生かしていただくための手引書、自治会・町内会情報ポータルサイトやYoutubeを作ったり、集合住宅の加入促進、地域活動に協力する企業の表彰(表彰された会社は工事発注のとき加点もあり) などをしているということでした。
 

〇福岡市のDX推進
福岡市は人口約163万人の政令指定都市。
人口の増加数率が政令市の中で最も多く、転入・転出処理件数が年28万件近い(2021年度)
という特徴もあるそうです。
役所の窓口に行かなくても手続きができることをめざし、DX推進をしているとのこと。

2020年度にDX戦略課、2022年度にはさらに体制強化をしてDX戦略部をつくって取り組んでいるそう。

 


今までも電子申請はあったが、スマホで使えたりクレジットカード決済ができるシステムを導入。
法令で、対面による手続きが定められているなどの制約があるとオンライン化が難しいが、そういう制限のないものは基本的にすべてオンライン化することを目指し、2022年3月末時点では行政手続きの年間総処理件数の83.2%をオンラインで完結できるようになっているということでした。 

引っ越し手続きに関するものの他、例えば高齢者乗車券の申請、福祉手当や子ども医療証の申請、就学援助の継続申請などもオンライン申請が可能になっているそう。高齢者が利用するシステムは一度作ったらそれで使い勝手が悪くても使い続ける、ということではなく、実際に高齢者に利用していただきながら改善させているそう。

一方で紙による申請もなくしてはいないということでした。
また、福岡市内には区役所から遠い地域や離島もあります。これまでもオンライン申請で対応できたものもありますが、単に申請書を記入するだけではなく、相談もしたい場合は区役所に出向かなければなりません。
そこで、試行的に、小学校区に1つある公民館でテレビ電話のようなイメージのリモート窓口を実施するという実証実験も始めているということでした。
デジタル活用しづらい人の手段は用意しつつ、活用できる人が使いやすいしくみを作っていくお話で、興味深くお聞きしました。
 

 

北九州といえば、ホームレス支援をはじめ、居住支援や地域の拠点づくりなど大活躍している認定NPO法人抱樸のある地域でもあります。
今回はその活動はちらとも見る時間がなくてとても残念ですが、またいずれ別の機会に訪­れられたら良いなと思います。