補正予算の報告2回目の今回も、生活困窮者支援についての内容です。

コロナ禍における生活困窮者支援は、特例貸付など貸付を活用することが基本となっており、特にコロナ禍が短期で終息せずに長期化する中で、貸付に頼るしくみには問題があるという指摘がずっとありました。

また、生活困窮者自立支援金や国が実施する給付金など、貸付以外の支援制度は非課税世帯であることが前提となっています。間口が狭すぎて、ぎりぎり課税世帯だけれども生活が激変した人には支援が届かないという問題も指摘されてきたところです。

 

今回は練馬区が、生活困窮者自立支援金や住居確保給付金の対象ではあったが課税世帯であった人にまで支給できる独自の給付金を行うというのは良いなと思いますが、3月以前にすでに支援が終了している人は対象にならないという課題があります。制度は実施する以上どこかに線引きをする必要もありますが、対象から外れても支援が必要な人がいるのではないかという視点で区民の生活実態を把握する努力が必要であると思います。

 

また、問題が指摘されてきた特例貸付はついに9月末で申請の受付が終了となり、来年1月からは返済が始まります。免除の対象になる人に確実に情報が届く必要があることを指摘しました。私がこの質疑をした前日に、日本弁護士連合会が特例貸付の返済に関して会長声明を出しています。(こちら)免除については、時期を区切ってその時々で非課税世帯であるかどうかを確認していくという細切れなやり方が想定されていて、対象者にも社会福祉協議会にも大きな負担を強いるものであること、また、今のままの制度設計では、課税世帯であるために生活実態が苦しくても免除されない人が出てしまうので、免除の対象範囲の拡大を求めています。国民の生活実態に合わせた生活困窮者支援に視点に立った制度に改善しなければ、来年1月以降の混乱が予測され、早急な改善を国に求めなければなりません。

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区が独自に実施する給付金の対象者はどのように基準を決めたのか。

(かとうぎ桜子)

生活支援臨時給付金支給事業経費について、伺います。

この給付金は、区の事業として、「今年3月以降に住居確保給付金や生活困窮者自立支援金を受給しているけれども、課税世帯であるために国の給付金の対象にならない方」を対象とした給付です。

先ほどの(ほかの会派が行なった)質疑の中で、対象は700世帯強ということでした。

この事業は、今年3月以降に住居確保給付金や生活困窮者自立支援金を受給している人という線引きがあると思います。それ以前に支援が終了している人は対象にならないと思いますが、このような基準を設けた理由お聞きします。

 

物価上昇が始まったのがウクライナ侵攻後と考え、3月以降の受給者とした。

(生活福祉課長) 

今回は、物価上昇により影響を受けている生活困窮世帯の支援という目的がございます。

そして、物価上昇がいつぐらいから始まったかを考えますと、ロシアによるウクライナ侵攻が開始したのが本年2月下旬です。

その後、そうした傾向が顕著になったのではないかということを踏まえ、本年3月分以降の受給世帯とさせていただきました。

 

国の制度から落ちてしまう人への支援をすることは大切なことだが、3月より前に給付金等の対象になっていた人の支援の必要性も把握の努力を

(かとうぎ桜子)

物価上昇で線引きをしたということです。

区として、国の制度のはざまにある人の支援を進めることは大切なことだと思いますが、 ぜひ、今回設定した基準日以前の対象者の、現在の支援の必要性の有無についても把握する努力をしていただきたいと思います。

 

生活困窮者自立支援金の支給状況、特例貸付の9月末の利用状況は?

次に、生活困窮者自立支援金支給事業経費について伺います。

これは、生活困窮者自立支援金の申請期間が12月末まで延長されたことから、申請事務の委託費を増額する補正予算であると伺いました。

まず、生活困窮者自立支援金の現在までの支給状況と、今後の見込みを伺いたいのが一点です。

また、生活困窮者自立支援金は、総合支援資金の貸付を借り終わった人が対象となりますが、総合支援資金の特例貸付は9月末で終了したとのことです。特例貸付の9月末現在での利用状況を伺います。

 

生活困窮者自立支援金は制度が始まった昨年7月から本年9月までに2866件。今後約250件の支給を考えている。また、特例貸付は9月末に255件の申請書を送っている。

(生活福祉課長)

まずは、生活困窮者自立支援金です。

事業が開始した令和3年7月から本年9月末までに、2866件に支給させていただきました。

今後は、初回、そして再支給を合わせて、約250世帯への支給を考えてございます。

また、特例貸付は東京都社会福祉協議会が審査決定を行う事業のため、区として確実な数字の把握は難しいのですが、9月末に区の社会福祉協議会が受け付けて、都の社会福祉協議会に申請書を送った件数は 255件であると伺っています。

 

コロナ禍以降の相談状況はどのように推移しているか。また、特例貸付が終わった後はコールセンターではどのようなご案内をするのか。

(かとうぎ桜子)

「コロナ禍が始まった頃とはニーズが変化してきていることから、特例貸付の終了を求める」という意見が、全国の社会福祉協議会からも出ていました。

コロナ禍以降、現在までの貸付について、練馬区への相談申請状況がどのように推移しているかお聞きしたいのが一つです。

それから、10月以降、従来、特例貸付をご案内していたような生活状況の方からご相談があった場合に、コールセンターなどでどのように対応するのかをお聞きします。

 

令和2年度17000件強、令和3年度8471件、令和4年度(8月末まで)1700件余の相談を受けている。特例貸付終了で貸付制度は本則に戻るため、支援が必要な場合は社会福祉協議会の貸付担当、福祉事務所、生活サポートセンターにつないでいる。

(生活福祉課長)

まず、どのような相談が区に寄せられたかということです。

区では、令和2年4月から、生活にお困りの方の相談を受け付けるために、生活相談コールセンターを設置しました。

令和2年度に相談を受けた件数は 17,000件強、令和3年度が8471件、 令和4年度は8月末までの時点で1700件余となっています。

また、今おっしゃっていただきました生活相談コールセンターで主にご案内していたのは、特例貸付や住居確保給付金といった支援メニューです。

この特例貸付が終了した10月以降は社会福祉協議会との協議の上、貸付が本則の状態に戻っていますので、ご相談があった際に社会福祉協議会の貸付担当につないでいます。

また、相談に応じて貸付の支援が必要な場合には福祉事務所、そして生活全体のサポートが必要な場合には生活サポートセンターといった支援機関をご案内しています。

 

コールセンターへのサポートも必要。1月から返済もスタートするが、準備状況は?

(かとうぎ桜子)

今までと支援が変わってくるので、お困りになっている方にとっても分かりやすい相談対応をしていただきたい。

コールセンターで「特例貸付がある」というご案内ができなくなってしまうので、コールセンターで対応する方へのサポートもしっかりやっていただけたらと思います。

 

特例貸付は据え置き期間も延長されていましたが、来年1月から返済が始まります。今まで利用されてきた方の中で、返済が困難な方、それによって新たな返済が生じる方がいらっしゃるのではないかと懸念しております。

今、返済免除の手続きを済ませている方はどのぐらいいらっしゃるのか。また、返済スタートに向けての準備状況など、社会福祉協議会からはどのように聞いているか伺います。

 

返済免除の件数は社会福祉協議会もまだ把握していない。今は手続きの受付の実施、コールセンターの開設など準備を進めていると聞いている。

(生活福祉課長)

現時点での免除の件数は、社会福祉協議会全体としてもまだ把握してございません。

そして、今は準備に向けて、東京都の社会福祉協議会では、償還免除の申請や、あるいは償還する場合の口座の振替依頼書の受付を実施しております。また、専用のコールセンターも開設し、相談に乗っていると伺っています。

また、区の社会福祉協議会に対しては、令和5年1月以降の役割などについて、詳細なことは示されていません。現時点では、これまでと同様の体制で貸付事務を行っているという報告を受けています。

 

(かとうぎ桜子)

お困りになっている方には、返済の免除という方法はありますけれども、必要な人に十分に情報が届いているかを、これからしっかりと見ていく必要があると思います。

社会福祉協議会とこもしっかりと連携しながら、ご相談に対応していくように準備を進めていただけたらと思います。