2月25日、「コロナ禍と介護」というテーマでケアマネさんからお話を聞く会をしました。遅くなってしまいましたが、そのご報告を書きます。

 

【ケアマネさんからのお話の概要】

コロナ禍が始まった当初、なにも状況が分からない中、それでも介護は極力休止しないという方針のもとで進めざるを得なかったのです。

事業所が休業しても、その間だけ他の事業所を利用するということはしづらかった

感染が増えれば介護施設のクラスターも起きていましたし、感染予防のために休業する通所施設もありました。休業した事業所を利用している人は、その間他の事業所を利用するかというと、改めて契約をしなくてはならないということもあって、再開を待つ人がほとんどでした。通所する代わりにその事業所の職員が自宅へ施設の職員が訪問するなどして計画書に沿って対応した場合は、利用した事として取り扱いしても良いという通知が国から届きました。様子を確認したり、水分補給をお手伝いするなどをするのです。ケアマネとしては、本当に対応がなされているかの確認のために事業所に毎日連絡するなどしていました。事業所は定員の半数の受け入れをするなどしながら営業を継続するところも多かったです。

 

「サービスを利用しても大丈夫か?」という不安の声も多く
事業所が休業するだけではなく、利用者が感染を心配し、デイサービスやヘルパーの利用を休む人も多くいました。「デイサービスに行っても大丈夫だろうか?」という問い合わせもありましたが、各事業所は万全の感染対策はしている、でも絶対大丈夫という保証があるわけではない中で各自判断してもらうしかないという悩みもありました。感染を心配するあまり閉じこもりになってしまうことも心配でした。

事業所によっては、感染が発生して休業、再開したらまた感染が発生して休業…を繰り返さざるを得ないところもあって、それだけ長期の休みになってくると利用者が減ってしまい、やっと落ち着いて再開できても利用者が減るという課題も生じました。

ケアマネジャーは月1回状態を確認して計画の見直しの必要性を確認するため訪問することが制度上必要なのですが、その訪問もお断りになる方もいらっしゃいました。のちに国の通知で、電話対応でも良いとなりましたので、そのように対応した方もいらっしゃいます。

 

感染した、感染したかもしれない、といったご相談も

発熱の連絡もありましたし、デイサービスの送迎バスの同乗者が感染していたと判明して不安を抱えた方もいらっしゃいました。同じ送迎バスにいてもマスクや換気をして短時間であれば濃厚接触者にはならないと保健所からは言われ、そうはいっても不安だというご本人の気持ちは当然だとも感じました。

熱があるけれどひとりでは行かれないし公共交通機関は使えない、どうやって受診すればいいのかということもありました。対応してくれる介護タクシーを探しましたが、対応してくれるところはそうたくさんはありませんでした。

救急車が来ない、来ても搬送先がなかなか決まらないということも、身近でも起きていました。

 

平熱が高いだけで病院にかかれないことも

コロナになっていたわけではなく、もともと平熱が高くて37度以上ある方が、腰が痛くて病院にかかりたいのに熱が高いからまずは発熱外来へと言われて困ったこともありました。

 

連絡体制の課題も

保健所になかなかつながらない。ケアマネがやっと連絡をとれたら時間外になってしまっていて、東京都に連絡をしたら「保健所に聞いてくれ」と言われたこともありました。緊急時に連絡がつく時間に制約がある難しさも感じました。

 

たくさんの国からの通知への対応も

本来訪問しなくては行けなくても電話で良いとか、通所してなくても本人の状況確認をしていれば支援をしたとみなす、などのいろいろな通知が国から出されました。

介護保険という公的な保険サービスでもあり、新型コロナウィルスという感染症に対し、日々、国や練馬区からの通知が届き、解釈の意味や理解、事業者とのすり合わせや利用者への説明に追われていた感じでした。

(区のサイトにも、介護事業所に対する国からの通知がまとまって載っています。こちら)

 


【質疑・意見交換の概要】

質問:介護保険を利用するのに直接会えないのに判断できますか?

ケアマネさん:訪問調査ですか?電話だけで良いのは、今利用している人のところだけ。

今質問があったのは、介護保険を申請すると必ず身の回りのことがどれくらいできるかという訪問調査を受けていただくのですが、80項目くらいありますけど、そこは電話ではなくて、病院にいる場合、オンラインで。自宅の場合は訪問が基本。

参加者:コロナでサービスを受けられないことによって、フレイル(体が虚弱になっている)ということを感じることがあったか?

ケアマネさん:半年サービスもやめて散歩にも行かなくなり、病院に行くくらいだった人は、やはり認知機能の衰え、足腰の衰えがあった。

参加者:うちは家族が要介護3。練馬区の紙おむつの支給が、前は8000円までだったが、今は5000円を超えたら自己負担になって、かなりきつい。コロナの財政難を理由にカットされたから…。どのくらい負担が増えるか、役所の人は考えてくれないんじゃないか。実際、何倍にも負担が増えている。

かとうぎ:コロナで財政難になるとして、おむつや配食サービスなどを削ったが、実際には思ったほど財政難にはならなかった。それにもかかわらず、もとには戻さない。結局、バラマキだと捉えているのではないかと感じる。

ケアマネさん:練馬区のサービスの中におむつの支給サービスというのがあって、前は要介護認定があって、所得制限が一定あったが、見直しで非課税じゃないと対象にならなくなったし、金額も下がった。