今回は、ショートステイのことと、小規模多機能型居宅介護についてご紹介します。

 

問題意識としては、身体的にはお元気だけれど認知症の症状が進んでいる人にとって使いやすいサービスが少ないのではないか、という思いです。

 

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(かとうぎ桜子)

高齢者のショートステイについて伺います。

区内の高齢者のショートステイは、単独型という形で実施しているところも5か所ありますが、多くは特別養護老人ホームに併設されて運営されています。

身体的には元気だけれど、認知症による行動の障害があり、本人にも家族にもサポートが必要なためにショートステイを利用したい場合、身体的にも介護が必要な人が多く入所している特別養護老人ホームのショートステイでは利用しづらい部分があるのではないかと考えます。

区はこのような認知症高齢者への支援としてのショートステイの充実についてどのように進めていくかを伺います。

 

次に、小規模多機能型居宅介護について伺います。

小規模多機能型居宅介護は、小規模な事業所への通所、その事業所のスタッフによるご自宅への訪問、その事業所での泊まりが利用でき、なじんだ場所とスタッフの支援による様々なサポートが受けられるしくみですが、この間の推移を見ると、あまり利用が増えているとはいえません。このような現状について区としてはどのような見解かを伺います。また、より多くの方に利用しやすいものにしていく必要がありますが、区としては今後の小規模多機能型居宅介護の活用の充実についてどのように進めていくか伺います。

 

(高齢施策担当部長)

アセスメントを丁寧に行っており、施設も様々な利用者を想定しているので、利用しにくいことはない。職員の対応力向上も進めていく。

特別養護老人ホームのショートステイを利用するにあたっては、アセスメントを丁寧に行い個々の状況に応じた対応を行っています。

施設内のショートステイの配置は様々な利用者を想定して設定されており、利用しにくいという認識はありません。

認知症高齢者の増加が見込まれる中、ショートステイの職員を含め、認知症の方への対応力の向上が必要です。

今後も区は、介護従事者に対して認知症研修を実施し、認知症高齢者の方がショートステイを利用しやすい環境を整備していきます。

 

小規模多機能はさらなる周知が必要。

小規模多機能型居宅介護は、ひとつの事業所が複合的にサービスを提供し、定額で利用できるものです。

なじみの関係を作りやすく、急な環境の変化への対応が困難な認知症の方にも適しています。利用の促進を図るため、このサービスの特徴や定額制のメリット、利用方法のさらなる周知が必要です。

今後はパンフレットのほか、ホームページや動画配信の活用等、情報発信を強化する取り組みを進め、利用を促進していきます。

 

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ショートステイの環境というのは、事業所の努力や設備の問題ということだけではなくて、そこにいる利用者同士の相互作用みたいなところがあるんじゃないかという点が気になるところです。

 

特別養護老人ホームは多くの場合、身体的な介護の状態も重くなって、自宅でケアを受けることが困難になって入所します。その施設内にいる多数を占めるのがこうした入所している方で、ショートステイに来る人は人数的にも入居者より少ないし、たまにしか来ないからアウェイ感を持っているわけですよね。

認知症の人にとって、自分自身は身体的な部分のケアはできるのに、突然ぽんと、身体的介護が必要な人の中に入るということによる「なんでだろう?」という気持ちがあるのではないか、ということが気になるのです。

実際、「だから、ショートステイは利用できないでいるんだ」というご家族のお話を伺ったこともあります。

 

そういう意味では、小規模多機能型居宅介護は、普段から慣れている場に泊まることができるので、有効活用できるメニューのひとつと言えると思います。一方で、利用状況は、減りもしないけど増えもしない。

まず名称からして「小規模多機能型居宅介護」って、漢字ばっかりの長い名前で結局何をやるところかもわからない。さらに、ここを利用するためには一般的な訪問介護や通所介護が利用できなくなり小規模多機能の調整をするケアマネに依頼する必要があるなどの分かりづらさが一番のネックではないかと思います。

活用できれば、この支援が合う人もいらっしゃると思いますので、有効活用できる方策を検討し進める必要があると思います。

 

今回この質問をしようと思ったのはひとつきっかけがあります。

今私が地域で行っている非営利事業でこんど、障害のある人のグループホームを立ち上げようとしているんですが、そこでショートステイも行います。

 

今福祉制度には「共生型サービス」というものがあり、高齢の人も障害のある人も一緒に使えるというものです。例えば障害のある人が65歳以上になって介護保険サービスに移行するときにうまくいかないという課題を解決するため、あるいはニーズはあってもサービスが充足していない分野のサービスの確保のためにできた制度だとは思うのですが、色々な状態にある方が一緒にケアを受けられるということは私は良いことだと思うのです。

先ほど書いたように、身体的な介護が必要な高齢者だけが集まっている場で「なぜ自分はここにいなければいけないのか」と思う人がいるのではないかということも、若い人も年配の人も、身体的なケアが必要な人も知的障害のある人も、いろんな人が集まっていれば気にならなくなると思うからです。もちろんそうした多様なケアを提供するためにはスタッフのスキルアップも重要になりますが。

それで、現行のサービスの中では、グループホームは共生型という類型がありません。介護のグループホームは認知症対応型で、障害のグループホームとは違っているところが多いから共生型はできなかったのかな?など推測しているのですが、ショートステイは共生型が可能です。

 

それで、私の法人で、ショートステイの指定申請をするにあたって、共生型サービスをやりたいという話をしたのですが、「高齢者施設がやっているショートステイで共生型にすることは認めているけれど、逆はやっていない」と、うちのスタッフが言われたんだとか。

つまりうちの事業は障害者のグループホームが主体なので、そこで高齢者を受け入れる形にすることは認めないということ。

それは、高齢者のショートステイは特養併設で比較的充足してきているので、そこを活用して障害者の受け入れをすることは認めるけれど、その逆はやらないという意味だと思います。

 

そんな規制をすることに何の意味があるのだろうかと釈然としない思いが残っていますが、まあ指定申請は東京都の管轄なので練馬区に言うことでもないとは思う。あとは国の制度としてより一層の共生型の活用が進むことを期待しながらうちはうちでスタッフのスキルアップを図りながら機が熟すのを待つしかないかなぁ…と思っているところです。

 

ただ、こうした経験からも思うのは、共生型が充実したらいいのにということだけではなく、多様な生活課題を抱えた人がもっと使いやすいサービスを作ること、そのためには多様な人が利用していて「自分も利用して良いんだ」と思えるようなサービスを作ることが必要なのではないか、ということです。

そういう意味では特養併設のショートステイだけでは不十分なのではないか、と考えたというわけです。