郵便投票を必要としているのに対象にならない人がいるという課題を取り上げました。

 

2023年4月の区議会議員選挙の当日有権者数は603,766人、投票者数は260,818人。

その中で郵便投票を利用したのは身体障害者144人、要介護5の人42人という答弁がありましたので、どれだけ規模の小さい使いづらい制度なのかということが数字からも分かるように思います。

 

経緯を調べると、1950年代に幅広く対象を想定した在宅投票制度を実施した際、不正が多く発生してしまった反省から対象範囲を厳密にしているようなのです。不正を起こさないことはもちろん大切ですが、不正を起こさない方法が対象を極めて小さく絞って使いづらくするというのでは、何のための制度なのか、本末転倒ですよね。国に対して強く改善を求めるべきです。区は、要介護3から対象とするよう求めているという答弁をしていますが、それだけなのでしょうか。精神障害のある人は?在宅療養をしている人は?もっと幅広い、必要としている人へと対象を広げるよう、積極的に働きかけるべきです。

 

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(かとうぎ桜子)

今回の練馬区議会議員選挙の期間中、区民の方から、郵便投票についてお話をいただきました。

その方のご家族はご病気で在宅療養をされていて、意思表示ははっきりできるけれども体調面から投票所まで足を運ぶことができない状態でした。

そこで、郵便投票できないかと選挙管理委員会に問い合わせたところ、対象とならないと言われてしまったとのことです。

 

郵便投票の対象は公職選挙法、および政令により定められていますが、対象範囲はとても狭く、介護保険では要介護5の人のみ、障害のある人も身体障害や内部障害のある人の一部しか対象になりません。

要介護でいえば、3や4でも投票所まで足を運べない人はいらっしゃるでしょうし、精神障害のある人が外出できないのに郵便投票の対象とされていないことについて訴訟が起きたこともありました。また、身体障害についても対象範囲が狭いことについての訴訟が起きています。

2017年には総務省の「投票環境の向上方策等に関する研究会」における検討の中で、郵便投票制度の見直しが課題となっています。しかし、その後も対象範囲の拡大はなされていません。また、対象範囲の拡大を議論する中でも、対象者の想定を寝たきりの人を中心にしているということも、地域で多様な状態の人が生活していることを考えれば、限定的な視点であると言わざるを得ません。すべての障害のある人が投票しやすい環境を作るべきことは国連からの勧告も受けている課題です。

 

また、国は今、人生の最期を住み慣れた地域で過ごすことができるよう、在宅療養の推進をしているのに、一方で在宅療養をしている人が要介護5でない限りは郵便投票できないことも問題です。

 

まず、今回の区議会議員選挙で郵便投票を行ったのは何人いらっしゃるのか、郵便投票が可能となった理由別の人数を伺います。

また、この郵便投票の実施状況で十分に制度活用されていると考えるのか、区の見解をお聞きします。

郵便投票制度を現在活用できる状態にある人に対しても、十分な周知がされているのでしょうか、どのような周知をしているかをお聞きします。

郵便投票の対象者は法律・政令で定められているということですが、国に対して、地域で暮らす多様な障害のある人、体調不良を抱える人の選挙権の保障に向け、制度の是正を図るよう求めるべきと考えますが、区の見解をお聞きします。

 

(選挙管理委員会事務局長)

公職選挙法では、投票当日に投票所で行う投票を原則としており、これ以外の方法については対象や手続きを厳格に規定しています。

郵便等投票は、投票管理者等の立ち合いのない環境での投票となることから、身体障害者手帳両下肢1級又は2級など、移動の極めて困難な重度の障害者や要介護5の方が利用できる制度です。

 

郵便等投票をするためには、あらかじめ郵便等投票証明書の交付を受ける登録手続きを行い、証明書の交付を受けた方は、個々の選挙の際に、証明書を添えて選挙管理委員会に投票用紙と投票用封筒の交付請求を行う必要があります。

 

4月に行なわれた区議会議員選挙では、身体障害者の登録者210人のうち144人、要介護5の登録者51人のうち42人の方が投票されました。登録をされている方、合計261人のうち、約7割が投票されています。

要介護5の方には、介護認定通知をお送りする際に郵便等投票制度のご案内の文書を同封しています。障害者手帳をお持ちの方には、毎年発行している障害者福祉のしおりの中に、対象や手続きを記載し、郵便等投票制度について周知を図っているところです。さらに、選挙ごとに各世帯にお送りする選挙のお知らせや、区報・ホームページ等でも周知を行っています。

 

郵便等投票の拡大については、要介護3までを対象とするよう、全国市区選挙管理委員会連合会を通じて、毎年総務省に要望を行っており、引き続き働きかけてまいります。