一般質問のご報告は今回が最後となります。

 

今回は、今後の状況がとても心配なので最近くり返し質問している特例貸付についてです。

直近の質問はこちらをご覧ください。

 

コロナ禍の影響を受けてお困りになっている方が柔軟に活用できる貸付制度として、生活福祉資金の特例貸付が始まったのが2020年3月。コロナ禍の長期化で繰り返し3か月ごとの延長が繰り返されてきました。返済が始まっても生活困窮が解決しない人は返済免除も考えるとされましたが、そうはいっても給付ではなく貸付、つまり借金を長期にわたって継続することは生活困窮者支援として課題が大きい。長期化するなら給付等、別の困窮者支援を検討すべきだという批判が現場からありました。

そして制度は2022年9月に終了、最終的に全国で381万世帯、練馬区では約1万世帯がこの制度を使っています。

2023年1月から返済がスタート。制度発足当初は困っていれば返済免除、といわれていたにもかかわらず、実際には非課税世帯などごく一部にしか適用されないため、返済によって更なる困窮が起こるのではないかと懸念されています。

これから10年続く特例貸付の後処理の間、生活困窮が深刻化しないよう、今がとても重要な時期です。

ゴールデンウイーク明けに、今は免除対象となっていない人への免除の道を開く方法について国から方針が示されましたので、今回はそのことを取り上げました。

 

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(かとうぎ桜子)

特例貸付についてお聞きします。

コロナ禍で生活にお困りの方を支援するためにできた、生活福祉資金の特例貸付は2020年3月に始まり、2022年9月に終了しました。

今年の1月には返済が始まっています。全国で381万件という多くの利用があった貸付制度ですが、生活保護と特例貸付以外に十分な経済的支援がない中で、様々な生活上の困難を抱えた方が利用してこられたと考えられます。

一方で、免除の対象は非課税世帯を中心としたごく一部であり、返済に困って新たな困窮が生じないか懸念されているところです。

そこで、現在の練馬区内の特例貸付利用者への支援状況をお聞きします。

昨年10月に厚生労働省から出された事務連絡では、返済免除となった借り受け人に対するアウトリーチ支援を行うなどの相談支援につなげ、生活再建への支援をするようされていますが、練馬区での実施状況をお聞きします。また、今後も継続した生活支援が必要であると考えられますが、どのような体制をとっていくかをお聞きします。

予算特別委員会で質疑した際、練馬区で特例貸付を借りた世帯は約1万世帯、その段階で約6700世帯に返済の免除・猶予の案内を送付し、2千世帯ほどが手続きをしていると推定しているという答弁がありましたが、その後の状況、また免除と猶予はどのくらいの割合でいらっしゃる状況か、お聞きします

 

 

厚生労働省の生活支援特設ホームページでは、返済猶予の対象は、「返済の免除にはならないけれど、生活が苦しく返済が難しい方が対象」とされており、具体例として、
 ・地震や火災などの災害にあってしまった
 ・仕事を失ってしまった
 ・病気で働けなくなってしまった
 ・債務整理をする可能性がある
 ・仕事が安定せず収入が低いままである
 ・生活が苦しく公共料金の滞納が続いている
 ・DVを受けて避難している    

 

というものが挙げられています。「収入が低いままである」とは、直近3ヶ月の収入がおおむね住民税非課税相当となっているかを目安に判断する等、ということが、国からの事務連絡には書かれているのですが、現在、猶予も免除も対象になっていない人は、十分返済できる状態にあると判断されているのでしょうか、あるいは、いまだ連絡がついておらず実態が把握できないなどがあるのか、現在の状況をお聞きします。

 

また、厚生労働省の生活支援特設ホームページでは、猶予となっている人に対して、「少額返済の制度がある」とされていますが、少額返済を選択することによって対象となる方にとっての負担軽減が図られるのか、そのしくみをお聞きします。

 

特例貸付の返済については、生活に困っていても免除の対象にならない人が多いと考えられることが問題になっていましたが、5月8日に「緊急小口資金等の特例貸付における償還猶予期間中の支援の取り扱いについて」という事務連絡が出ました。

その中で、都道府県社会福祉協議会または市区町村社会福祉協議会が償還猶予の対象者に連絡をとって支援の必要性の有無を確認すること、その結果猶予をしても償還困難な理由が解消されず、生活再建も困難である人については相談支援を行うこと、そして猶予の期間である1年を経た後も困難な状況にある場合には償還免除の判断も可能とするが、そのための意見書等などの対応が必要であり、猶予期間終了までの少なくとも6か月以上は相談支援を受けている必要があることなどが書かれています。

 

こうした支援のために区社会福祉協議会で継続した相談や記録をしていく人員体制をとる必要があると考えられますが、現在、支援が必要な区民の人数が見込めているか、区社協の体制はどのようにとるのかをお聞きします。また、区としてのバックアップ体制はどのように考えているのかをお聞きします

 

返済に関する直接的な支援にとどまらず、区と社会福祉協議会とで連携をした、フードバンクの実施など、生活困窮者支援の充実が必要と考えますが、区の見解をお聞きします。

 

多様な生活課題を抱えて地域で暮らす区民のみなさんが安心して自分らしく生きることのできる地域社会の実現を求め、一般質問を終わります。

 

(福祉部長)

本制度は、東京都社会福祉協議会が実施主体であり、償還開始の案内の送付や償還免除・猶予の決定などを行っています。

専用のコールセンターを設置し、償還に関する相談も受け付けています。

都社協は、本年二月から、免除や猶予の決定した方の情報を、区社協や各区市町村へ順次、提供しています。

本年5月末時点で、総合支援資金特例貸与を受けた約1万件のうち、償還を免除された方は3564件、猶予された方は92件です。

 

区においては、生活サポートセンターが、都社協等から情報提供された方に対し、電話や訪問によるアウトリーチを行い、福祉サービスなどにつなげています。

 

次に、免除や猶予になっていない方への支援についてです。

国は、都道府県社協に対し、ホームページを活用した申請に関する周知や案内の再送付などを行うほか、生活に困窮する状況を把握した場合には、市区町村社協や自立相談支援機関などと連携した支援を行うよう通知しました。

都社協は、ホームページを通じ、償還に関する情報を周知しています。本年4月に未償還者に対する督促を開始し、7月に返済残額のお知らせを送付する予定です。

 

区社協では、償還困難になった方や督促を受けた方などから、1日当たり約10件の償還に関する相談を受け、免除や猶予の手続きを案内しています。生活支援が必要な方については、生活サポートセンターや福祉事務所につないでいます。

 

次に少額返済制度についてです。

少額返済とは、毎月の返済額を減じる制度です。国は、都道府県社協に対し、計画通りの償還が困難な借受人に対し、必要に応じて、償還計画変更や少額返済を認めるよう通知しました。少額返済により、毎月の負担が軽減するものの、期限内に償還が終了しない場合、延滞金が課されるリスクもあります。都社協では、少額返済と併せて償還猶予について提案するなど、借受人の状況に応じた相談支援を行っています。

(※かとうぎによる注釈:特例貸付の返済は10年以内に実施すると定められています。月あたりの返済額を少なくしても、返済期間が延長されるわけではないので、少額返済を活用しても、返済期の後半の返済額があがるだけだし、それが返済できなくて期間中に返し終わらなければさらに延滞金が課されるようになってしまうということです。)

 

次に区社協における支援体制についてです。

区社協は、コロナ禍で急増した特例貸付の申請に対応できるよう、区の職員派遣や社協内の応援により最大39名の体制をとりました。現在、特例貸付を含めた生活福祉資金貸付業務等を円滑に実施できるよう、職員11名と派遣社員1名の体制としています。生活サポートセンターでは、本年度より相談支援員を1名増員し、14名体制としています。

引き続き、区は、増加する生活相談に迅速かつ適切に対応できるよう、区社協と連携し、支援体制を整えます。

特例貸付の償還開始などにより、生活にお困りの方に対しては、区社協と生活サポートセンターが連携して住居確保給与金や家計改善支援などにつなげています。フードドライブ事業で集まった食品も直接提供しています。

相談者一人一人に寄り添ったきめ細かい支援を継続的に実施していきます。