11月13日と14日は、区議会の医療・高齢者等特別委員会で愛知県の碧南市と北名古屋市の視察に行きました。

 

【碧南市 認知症伴走型支援事業】

碧南市は2023年3月末現在で人口7万2459人。高齢化率は24%、要介護認定者数は2970人(認定率は16.6%)の自治体だそうです。

認知症施策として、次のような取り組みをしているとのことでした。

 

 

○認知症で、行方不明になってしまうおそれのある高齢者を事前登録し、行方不明になって警察に届けた後にLINEやメールで捜索協力の情報配信をするしくみ。こちら

(2013年度からスタート)

 

○そのLINEやメールを受信して協力をする支え愛サポーターの募集

 今のところ捜索協力の情報発信に対して見つけたというサポーターがいたことはないが、サポーター登録することでちょっと心配な感じがするご高齢の方に対してアンテナを張ってくれる人が増え、「こういうお年寄りを見かけたんだけど」という連絡が増えた。

 

○事前登録をした認知症高齢者を対象とした個人賠償責任保険事業

→愛知県内で2007年に起きた認知症高齢者の鉄道事故で鉄道会社が遺族に賠償を求めたこと(2016年の最高裁判決で、このケースについては家族の賠償責任はないとされた)をきっかけとして、2020年度に保険事業をスタート。

 

○グループホームや高齢者施設で日常的・継続的に相談・助言を行う認知症伴走型支援事業

地域包括支援センターなどで相談を受けるだけでは十分に対応できない相談対応をしていくため、2022年10月から市内の「グループホームたなお」に委託をし、週3日10時~15時に相談事業を実施。2022年度の相談は19名のべ66回、2023年度は7名のべ62回の相談を受けているそう。例えば認知症の周辺症状として暴言があって家族が悩んでいる、本人ができることまで家族がお世話しすぎているので助言が必要、本人は今までやっていた家事などをやりたいがうまくできないことにストレスを感じており家族も困っている、と言ったご相談があるということでした。

グループホームの本来の職員配置にプラスして相談対応職員を置いているのかな?と思って質問したところ、2021年3月31日に国から出されている「多様な社会参加への支援に向けた地域資源の活用について」では既存の体制の中で対応することが可能とされているため、その考えを活用して加配はせずに実施しているという説明でした。

 

この通知を活用してできることはいろいろあるように思いますが、都内ではどうなんだろうか、調べてみたいなと思います。

 

 

 

委託を受けているグループホームも見せていただきましたが、

・あえて平屋建てにしていて、入居している人が外に行きやすいようにしており、施錠などの行動制限をしていない。家族とも相談の上GPSを持ってもらうなど、どこに行ったか分からなくなってしまった時の対策をとっている。

・例えばトイレに職員が付き添う姿とか自分の居室を間違えてしまう様子などを他の人に見られないように、などの配慮ができるよう、プライベートスペースとパブリックスペースの区分けをしており、職員に見られないで済むような、あえて死角となる空間も作っている。安全確保と虐待防止の観点からカメラを設置している。

 

(廊下を折れるつくりになっていて、パブリックスペースから見渡せないようになっている)

 

・入浴は毎日できて、脱衣も含めて他の人と重ねることはなく、1人が終わったら次の人に入ってもらう。

・2階に相談室や職員の部屋があるが、そこからもすぐ1階が見えるようなつくりにしている

・お食事は皆で、できることをできる形でやってもらうように一緒に準備している。相談に来られる方には、その様子を見ていただいたり写真などで活動の様子を見ていただくことで、認知症があっても工夫すればできることはいろいろあることを知ってもらうこともできる。

といったお話を伺いました。設計から運営まで、認知症の人が自分らしく暮らしていくことができるようにするために積極的な工夫をしていることが所長のお話から感じられて、上記のような通知があっても現場にこれだけの思いがあるところでなければなかなかできないかもしれないし、できるところが増えていくと良いよなーと思いました。

 

【北名古屋市 健康づくりリーダー】

愛知県が1987年から実施している健康づくりリーダーという、イベントなどで健康づくりのボランティアとして活躍する人を養成する事業があるそうです。

 

 

北名古屋市で活動している健康づくりリーダーは50名ほどいらっしゃるとのことでした。

北名古屋市には広いアリーナのある健康ドームという施設があるので、そこを活用して活動している体操教室などの団体も多く、主に70代後半以上の比較的お元気な方が活躍されているということでした。健康づくりリーダーも高齢化しているなど課題もあるということでしたが、他の様々な社会参加のとりくみと組み合わせながら高齢者が元気で暮らせる健康施策を進めていきたいという話をされていました。