障害福祉制度も、介護保険と同様複雑でなかなか分かりづらいですね。色々と変遷もたどっていますし。

 

今の制度の中では、自宅で暮らす障害のある人が日中通う場として、大きく分けて就労支援系のものと、生活介護というものがあります。

一般就労をめざす、あるいはそこまではなかなかできないけれどもその人の障害に応じて可能な働き方をする支援をしているのが就労移行とか、就労継続支援A型とかB型という事業所。もう少し障害が重くて介助の度合いが高い方が、就労を目指すというわけではなくて日中通える場が生活介護です。

 

私はそもそもこの分け方には疑問を感じます。障害の重い軽いってそもそもどうやって判断するんだ、と思います。介護保険の要介護認定のように、障害支援区分というものがあって、区分無し、区分1~6という段階に分かれています。その判断基準は、どれだけ生活に介助が必要なのか…例えばトイレを自分でできるか、お風呂に自分に入れるか、などのADL(日常生活動作)が基本となっている。つまり、医学モデルなのです。

実際には、トイレなどは自分でできるけれども、とても精神的にしんどくて外に出ることが困難だという人もいるし、身体的な障害があって身体介助とコミュニケーション支援が必要でも、自分のできる仕事や生きがいをもって自分らしい楽しい毎日を送れていて生活上に何の問題もない、という人もいるわけですが、この場合、前者より後者のほうが障害支援区分は重くなるわけ。

だからADL基準で人を分けて、受けられる支援を、あなたは就労、あなたは介護、って分けること自体が無意味だし、「生活介護は障害が重い人が行くところでしょ」というような、障害のある人の中での分断を生んでいるんじゃないかと感じることも多々。

 

そんな生活介護ですが、練馬区内は、区立の福祉園という名称で生活介護サービスを提供しているケースが多くあります。そのことについて議会で取り上げました。

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(かとうぎ桜子)

福祉園維持運営費について伺います。

区立の福祉園は障害者総合支援法の生活介護事業と位置付けられていますが、今、6ヶ所あって、定員が合計で296人、実際に利用されている方は252人ということです。

 

氷川台と大泉学園町の重症心身障害者通所事業を利用している人も含めた272人の方を障害支援区分の割合で見ますと、

区分3の人が0.4%、

4が9.6%、 

5が32.4%、

6の人が57.7%

ということで、支援区分5、6の人で合わせて約9割という状況です。

 

少し古いデータなのですけれども、社会保障審議会の資料で、2020年度の全国の生活介護事業所の利用者は、

支援区分3が8%、

4が20.3%、

5が27.5%、

6が42.9%

で、区分5、6の人を合わせて約7割ということです。

 

つまり、生活介護事業所の中でも、区立の福祉園は障害の重い人をより多く受け入れていると言えると思います。

 

今、区内の生活介護事務所は22ヶ所あるのですけれども、

区立福祉園が6ヶ所、

谷原フレンド、

中村橋の心身障害者福祉センター、

もともと区立だった作業所が2020年度に民営化されたタイミングで併設された生活介護事業所が1か所、

社会福祉事業団が運営しているデイサービスが共生型となっているというものが1か所、

あと民設が12カ所

です。民設の中には、元都立だったり、入所施設の併設というのところも多いです。

 

つまり、区内の生後生活介護事業所は、公的に整備されたり、入所施設併設など規模の大きな施設での受け入れ体制を作ってきたという側面が強い事業だと思いますし、その中でも特に区立福祉園は重度の障害のある人を受け入れてきたという状況だと思います。

そこで改めて、生活介護事業について、区の役割をどのように考えているかお聞きします。

 

(障害者施策推進課長)

生活介護事業についてということで伺いました。

まず、今ご紹介いただきましたけれども、区立の役割をご紹介させていただければと思います。

 

区における最初の福祉園は氷川台福祉園ですけれども、昭和37年です。ただ、当初は都の事業でして、昭和55年に区に移管されております。その後、順次、区でも福祉園を整備しております。

その頃、区立の役割としましては、民間事業者のみでは不足していた重度障害者の日中活動の場、今で言う生活介護事業所といった場を提供するという役割を担っていたと認識しています。

 

その後、法整備も進み、民間の医療事業所が整備される中で、区立福祉園は民間事業所では対応困難な強度行動障害や重症心身障害の方など、特に障害が重い方を率先して受け入れる役割を担ってまいりました。

ただいまご紹介がありましたように、区立はこういった役割を担ってきたというところでして、民間の生活介護事業所も中・重度の施設で、日中の活動の場という役割を担っていると認識しています。

 

(かとうぎ桜子)

先日の保健福祉委員会で、2029年度の開設をめざし、三原台に医療的ケアが必要な人を対象とした重症心身障害者通所事業所の定員を拡大した形での生活保護事業所を民設民営で設置すること、それに伴い、大泉学園町福祉園を廃止の方向で検討していくという報告がありました。

今までの体制を維持した上で、新たに生活介護事業所を1か所増やして実施するのではなくて、既存の福祉園を廃止するというのは、どのような理由で考えたのかお聞きしたいと思います。

 

(障害者施策推進課長)

医療の進歩に伴いまして、重症心身障害者は増加しておりまして、重症心身障害者通所事業につきましても、利用希望者の増加が予想されております。

そのため、新たに取得する三原台二丁目用地を活用しまして、民設民営の生活介護事業所などを誘致することといたしました。

 

一方、福祉園利用者のうち、重症心身障害者ではない生活介護利用者の方々の定員は、これまで区が積極的に整備を図ってきたことから、将来的に見ても、定員に若干余裕がある状況です。需要を満たしている状況です。

そこでLeaves練馬高野台を開設したのとあわせて区立石神井町福祉園を廃止したのと同様に、既存福祉園を廃止することといたしました。

 

(かとうぎ桜子)

ある程度、定員に余裕があるからということですけれども、生活介護事業そのものの制度の仕組みとしては、障害支援区分3から受け入れが可能で50歳以上であれば区分2から対象となりますし、現行制度の通所サービスが就労支援か生活介護区分されている中では、支援区分3,4でも逆にB型に通っている方もいらっしゃったりだとか、色々な状況があります。

 

もちろん制度にとらわれずに、その人にとって一番やりがいがある場所を選択できれば、就労継続支援B型でも生活介護でもどちらでもいいと思うのですけれども、就労継続支援B型が工賃向上にかなり傾いている制度になっているので、中には就労継続支援B型に通っているけれども、なかなか作業に追いつけないという方もいらっしゃると思います。

 

区立のB型事業所である福祉作業所は、民営化する際に多機能型として生活介護の機能を持たせて、従来、福祉作業所に通っていた方が、高齢化して、障害が重度化しても、通い続けられるような仕組みを作り始めていると思います。

民間事業所に通所している人も同様に、緩やかに活用できる生活介護事業の選択がもっとあるといいのではないかと考えています。

 

今回、大泉学園町福祉園の廃止を検討するということですが、「機能を拡充した施設を新しく作るから、今までのものは廃止」ということにとどまらず、障害のある人が地域で暮らす体制の充実という観点での、新しい形での生活介護の充実を検討していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

 

(障害者施策推進課長)

区は、障害者が住み慣れた地域の中で自立して暮らし続けることができるよう、障害特性に応じた障害者サービスの充実に取り組んでおります。

生活介護事業の対象は、先ほど来ございますように、障害支援区分3から6ということで中度から重度の障害の方々です。障害の状態も様々であることから、それぞれの障害特性に応じたサービスの充実に取り組んでいます。

例えば、ただいまご紹介いただきましたけれども、区立福祉作業所の利用者の重度化、高齢化に対応するため、民営化と合わせて生活介護事業を介して働く生活介護として施設の多機能化を図っております。

 

昨年4月に民営化した大泉福祉作業所では、これまで福祉作業所に通っていたけれども、自主通所が困難になった方であるとか、作業のペースについて行くのが負担になっていた方などが生活介護事業に移行しておりまして、非常に好評です。

また、区立も含めまして、都内には22か所の生活介護事業所がございまして、それぞれの事業所が特色を出しながら運営しております。

区では、区民民間事業者に対しても、安定的に生活介護事業の運営ができるよう、都の補助を活用するなどにより事業の運営を補助しています。

引き続き、一人一人の障害特性に応じたサービスが提供できるよう、施設の多機能化や民間事業所への支援などに取り組んでまいります。

 

(かとうぎ桜子)

多様な活動の場が充実できるように検討していただけたらと思います。