2月28日に質疑をした2024年度予算の保健福祉費では、2024年度改定予定の障害福祉制度についても質問しました。具体的には、グループホームのことと就労継続支援B型事業所についてです。今回のブログではグループホームのことをご紹介します。ちょっと私の質問が長いんですが💦、普段現場で関わりながら、ご相談を受けて課題と感じたことを、個人情報を除く形で整理して質問しましたので、ぜひ読んでいただけたら嬉しいです。

 

営利目的で実績のない法人が参入するなど、グループホームの支援の質に課題があることは、国の検討の中でも言われている。区はどうとらえているか。

(かとうぎ桜子)

自立支援給付費に関連して伺います。

2024年度は介護保険の報酬改定もありますが、障害者総合支援法についても報酬が改定されますので、伺っていきたいと思います。

まず、グループホームについてです。

 

東京都障害者サービス情報によれば、今の区内の民間グループホームは49法人149ユニットあります。

 

国の社会保障審議会や障害福祉サービス等報酬改定検討チームの資料によれば、障害福祉の実績や経験の少ない事業事業者の参入が多く見られ、支援の質の低下が懸念されるとされています。(※以下の資料の画像は、上記の資料のリンクから引用しています。)

 

 

また、営利法人が多く見受けられて、介護サービス包括型のグループホーム全体の収支差率が5.8%であるのに対して、営利法人の収支差率は15.6%であるとのことです。

 

 

同じ報酬額の中で利益を上げるには人件費を減らすということになるので、それも支援の質の低下につながるものではないかと懸念しています。

 

 

グループホームの世話人の配置基準は、常勤換算で何対1という形で定められていますが、そもそも常勤の時間数が32時間から40時間の間で法人が決めることができます。常勤換算時間を32時間にしても40時間にしていても配置基準を満たすということになります。

 

 

 

例えば、常勤換算時間が32時間の法人で、6人定員のグループホームに6対1で世話人を配置すると、1週間で32時間いればいいということになります。

 

一方で、利用者が平日の日中は作業所に行くとして、夜勤帯の時間も除いたとしても、大体1週間で70時間から80時間ぐらいは利用者がいる時間が発生します。それだけ支援が必要な中で、32時間だけ世話人がいる形でもいいとなるわけです。

 

だから食事の提供をしていないというところもあったり、土日は職員がいないからできれば実家に帰って欲しいと言われるグループホームもあります。そういう状態で、利用者の生活全般や将来を見通した支援が充分にできるのだろうかと思います。

 

実際にグループホームを利用していて、「行動障害があるから、本人が自由に外に出られないようにされた」とか、「家族に対して日常生活の様子の報告がほとんどなくて、本人がどう暮らしているのか分からない」とか、「グループホームの職員だけでは対応しきれないから、もっとお母さんが見てくれと言われた」とか、「昼夜逆転しがちで生活が乱れてしまうのでグループホームに入ったけれども、朝に職員がいないので結局起こしてもらえないから昼夜逆転は直らない」といった話も伺ったこともあります。

 

一人暮らしや実家などで暮らすのでは支援が不足していると考えてグループホームを選択したり、親が将来を考えて入居を決意しているにも関わらず、生活課題の支援が充分に行われない、親への負担を求めるということでは、グループホームの存在意義が問われると感じています。

今回の報酬改定では、こうした現状を踏まえて、職員体制を手厚くしているグループホームに対して報酬を厚くする変更がされました。区としては、現在のグループホームの現状と課題をどのようにとらえているのかお聞きします。

 

障害者計画の策定の中でも質を懸念する声が寄せられていて、課題は認識している。そこで、今後、第三者評価の受審補助を位置付けている。

(障害者施策推進課長) 

ただいま、委員から国の検討会の意見でございますとか営利法人の話などがございました。

 

営利法人でも様々に良い運営をしているところもあると思いますので、一概には言えないところですけれども、区でも障害者計画の策定に向けた障害者団体へのヒアリングであるとか、パブリックコメントなどでもグループホームの質を懸念する声が寄せられております。そういったことから区としてもグループホームの質の確保が課題であると認識しているところです。

 

こういった状況を踏まえまして、12月にお示しした新たな障害者計画素案の中で、グループホームの質の確保のための取り組みとして、第三者評価受審の補助を新たに位置づけております。

さらに、第三者評価の受審が評価を受けただけで終わらないように、費用の補助を行った事業者に対して、評価の結果を受けて改善に向けた取り組みの確認や支援を実施する予定です。

 

第三者評価は利用者・家族に活用しやすい情報発信の工夫が必要。また、来年度の改定で地域連携推進会議が義務付けられる。関係者に負担なく、また当事者に権利侵害が起こらない形での実施が必要だが、区の考えは。

(かとうぎ桜子)

第三者評価もとても大事だと思いますけれども、それがきちんとした利用者や家族にとっても分かりやすいように情報が生かされる工夫などもしていただけたらと思います。

グループホームの中でどのような生活の実態があるのか、自分の求めている支援を受けられているのかというのが入ってみなければわからないようでは困るわけです。

 

不適切な関わり方をなくして、不十分な対応を改善するためには、先ほどの第三者評価もそうですが、事業所を地域に開かれたものにしていく必要があると思います。

 

介護保険の中で、地域密着型サービスに対して運営推進会議を行っていますけれども、それと同様のものを障害者のグループホームにも設置する必要があるのではないかということを、以前、一般質問などでも指摘してきました。

今回の改定で地域連携推進会議を設置することが義務付けられました。現在のグループホームの実態が外から見えづらいことを考えると、このような会議体を設置することは必要だと思います。

ただ、会議は、利用者、家族、地域住民、行政職員などの参加が求められますので、いかに関係者の負担にならない運営をするのか、また開かれたものにすることによって、逆に障害のある当事者や家族に対しての権利侵害が起こらないようにすることの工夫も必要になると考えます。

区としてはどのように捉えて進めていくか、お聞きします。

 

介護保険ですでに実施されている会議の実施方法などを参考にしながら、円滑かつ利用者の人権に配慮した実施ができるよう取り組んでいきたい。

(障害者施策推進課長)

 令和6(2024)年度報酬改定で、新たにグループホームでは支援の質の確保のために、今、委員からもお話がありました利用者やその家族、地域住民の代表者、行政担当者などで構成される地域連携推進会議を開催することが必要となりました。

こちらもご紹介いただきましたけれども、同様の仕組みが、介護保険制度の下でグループホームであるとか、小規模多機能型居宅介護などの地域密着型サービスなどでも実施されておりまして、区の職員であるとか、地域の民生委員などが参加しておるところです。                        

障害者のグループホームの地域連携推進会議について、現時点で、国から省令などがまだ示されているところでございませんが、今後、国の動向を注視して行くと共に、介護保険制度の下で実施されている会議の実施方法などを参考にしながら、区内グループホームの運営事業者に対し、円滑かつ利用者の人権に配慮した地域連携整備推進委員会議が実施できるように取り組んでまいりたいと考えております。

 

(かとうぎ桜子) 

区内のグループホーム全体でよりよいサービス提供ができるように、しっかり体制を整えていただけたらと思います。