保健福祉費で質問したうち、2024年度の障害福祉の報酬改定の中で就労継続支援B型について質問した内容をご紹介します。

工賃向上を目指すあまりに、体調が不安定な人や作業がゆっくりな人など、多様な特性のある障害のある人が利用しづらくなっているのではないかということがずっと気になっています。

今回の報酬改定では、毎日通えない人はその実態に即した計算方法になるので、できるときにできれば大丈夫、となるのではないかと期待をしています。「今通っている障害のある人にできるだけ高い工賃を払う」という本来の趣旨が、「高い工賃を稼げる人だけに通ってきてほしい」となってしまったら本末転倒なので、福祉的就労のあり方を改めて考える必要もあるのではないかと思います。

 

2024年度から、就労継続支援B型の工賃の計算方法が変わる。今回の報酬改定を区はどうとらえているか。

(かとうぎ桜子)

就労継続支援B型事業所の報酬改定についてお聞きします。

B型は、工賃向上を目指すために2018年度の報酬改定から平均工賃に基づいた報酬になっています。

計算方法は、「前年度の工賃の総額」を「支払い対象者の総数」で割って一人当たりの平均工賃月額を算出するというものでした。

つまり、利用契約はしているけれども体調が不安定で必ずしも毎日来られないという利用者についても、計算上は数に含まれる形になりますから、計算上、平均工賃は低く出るということになります。

そのために、毎日来てバリバリ働けて稼げる人でなければ事業者としての平均工賃も上がらないという理由で、体調面で毎日来られないかもしれないという人や、障害特性上、作業がゆっくりの人を受け入れてもらいづらいという実態もあったように思います。

 

2021年度の報酬改定では、「利用者の就労や生産活動などへの参加などをもって一律に評価する報酬体系」として、工賃の計算によらない方式ができましたが、この報酬体系を採用している事業者もあまり多くありません。

 

そのような中で、今回の報酬改定で平均工賃の計算方法が変わります。

今までのように総額を工賃の支払い対象者であるのではなくて、対象日数あたり利用した人数の平均で割るようになります。来られない人は計算に入りませんので、毎日は来られない人も働きやすくなる面もあるかと思います。

 

そこで、事業所にとってこの報酬改定でどのような変化が生じると考えられるかお聞きします。

 

工賃の高い事業所の基本報酬が上がり、低い区分の単価は下げられる。また、手厚い人員体制が可能となる。

(障害者施策推進課長)

現在、就労継続支援B型事業では、平均工賃月額に応じた報酬体系となっておりますけれども、今度の報酬改定では、よりメリハリのついたものとなります。

平均工賃月額が高い区分の基本報酬の単価が引き上げられて、低い区分の単価が引き下げられることになります。

これによりまして、事業所としては経営の安定させるためには平均工賃月額を上げていくことが求められるようになると考えております。

一方で、利用者の重度化、高齢化が進んでいるところなどを踏まえまして、手厚い人員体制ができるよう、これまでより手厚い人員配置の基準を新設するなどの変更もございます。

 

工賃向上も大切だが、稼げない人が来られない、ということでは福祉的就労の意義が問われる。改めて就労継続支援B型のあり方について事業者と考える機会を持ってほしい

(かとうぎ桜子)

工賃上昇ももちろん大事ですけれども、それで稼げる人しか働けないとなってしまっては福祉的就労の本来の役割を果たせていないのではないかと思います。

今回の報酬改定の趣旨も踏まえて、改めてB型のあり方について考え方を整理して、事業者と共有する機会を設けていただけたらと思います。