行政書士試験記述式の部分点とリスク | 法務事務所

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行政書士試験対策「法学講座」

例年、行政書士試験委員の中で

民法担当者は4名〜6名、

行政法担当者は6名〜8名。


民法は2問出題、行政法は1問出題。


受験者数はだいたい4〜5万人。


一般知識「足切り」により、(難易度は年度によりランダムに変化するため)、記述式採点対象数を仮に25千とした場合。


この枚数を、特に民法はたったの45名でどうやって採点するのでしょうか?


しかも期限は本試験から合格発表まで。


合格証書作成等の事務作業を考えると、1月になってもまだゆったりと採点を継続してるとは考えにくいわけです。


となると、事実上、本試験から年末までの2ヶ月弱で、ほとんどの採点作業を終えていないとマズイ、ってことになります。


話を分かりやすくするために単純化して、


採点対象枚数2.5万枚。

採点担当者4

期限は50


と仮定します。


この場合、1人のノルマは6250枚。


それを50日で割ると、単純に1125枚。


民法は2問あるため、採点対象問題数は1250問。


ダブルチェック※に要する時間も考慮すると、1日の処理数が250問ではギリギリになるので、×1.51375問で概算。


※国家試験であるにも関わらず、採点ミスを考慮して二重に確認しないというのは考えにくいと思います。


1問の採点処理時間を、


1分と仮定した場合は6.25時間/1

0.5分と仮定した場合は3.12時間/1


年末、法学部の教員が担当されている業務(学部や大学院、法科大学院の業務)以外に使える可処分時間から逆算し、1問の採点に使える時間と、その時間から考えられる妥当性が高い採点方法は、どのようなものなのでしょうか。


(記述式採点のためだけに複数人の非常勤委員が追加担当される、というケースを考慮した場合。つまり採点担当者数が+αされ一定数以上となるのであれば、採点作業の事務効率化や公平性担保の観点から採点に関するマニュアル等が必要となると思います。)


そういった事情も考慮した上で、これまでの合格者の記述結果を分析すると、採点方法にはかなりのバラツキ、個人差があるような気がします。


そこには、人間臭さというか、システム化されていない不安定さを感じます。


採点担当者が多ければ多いほど、不安定要素が確率上増加してしまうため、


「書くべき論点が書けていない答案」


は、そのリスクに晒されてしまうことになります。


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個人的な経験として、まだ20歳ぐらいのとき、中学入試の塾で採点アルバイトをしていた頃の話しです。


算数や理科は問題ありませんが、厄介なのは国語です。


記述式の解答を採点するときに、ある程度は書くべきポイントにたいする部分点が決まっていて、それを単純に足し算しながら大量に処理していきます。


採点マニュアルがある、ってことです。


凄まじい枚数ですから、どうこう考える暇はありません。


単純に、

「書くべきポイントが書けているかどうか?」

、を判断します。


そんな中で、10枚に23枚ぐらいは、


「微妙やな、これ。類語には部分点を何点付けるんやろ、、、せやけど、このワードは定義が決まってるしな、、、そもそも別のフレーズに加点してええんかな、、、言いたいことは分かるんやけどな、、、」


そんなときは、長年担当されているベテランの方に聞きにいきます。


瞬時に「部分的◯点」


と、明確に答えて頂けるので、大変助かります。


コツを伺うと、


「分からないときは、×にするのではなく、強引に◯か、部分点を半分ぐらい。なんでかっていうと、微妙な答えを×にすると、後からご父兄のクレームが面倒臭いから。」


なるほど、と思いました。


塾といえども客商売ですから、クレームはご法度。


本番の中学入試を真剣に考えるならば、彼ら小学生の答案を正確に採点すべきです。


が、当時20歳のアルバイトである私レベルには、そんな面倒なことはできません。


なんせ、時間給で処理すべき枚数と制限時間は決まっていますから。


そのコツを伺ってからは、採点スピードが一気に上がり、処理枚数を増やすことができました。


微妙な解答は、単純に◯にするか、部分点を半分以上付けたらいいわけです。


(※これはあくまでも昔、模試の採点アルバイト経験者としての話です。)