12年越しのアイラブユー
Side-A
《6》
『ありがとう。すぐに行きます。』
思いがけず
すぐに返事が来て胸が急激に高鳴った。
「どうしよう、しょぉちゃんが来るって!」
誘っておいて、
いざ翔ちゃんが来るとなって
携帯を片手にひとりあたふたする。
冷蔵庫を開けてビールの確認。
母(かぁ)ちゃんが送ってくれたザーサイを器に盛り付けて
レタスとミニトマトで簡単なサラダを作った。
翔ちゃんがくつろげるように
翔ちゃんに貸すスウェットとTシャツを用意したところで
階下(した)からのインターホンが鳴った。
「おつかれさまぁ!どぉぞ!」
モニターの中の翔ちゃんを見るだけで幸せな気持ちになる。
翔ちゃんが毎日ここに帰って来たらいいのに・・・
かなうわけない、って分かってても
そんな風に思っちゃう自分が女々しくてイヤになるけど。
「お帰り!」
玄関のインターホンが鳴る前にドアを開けて
ちょっとびっくりした顔の翔ちゃんが、
すぐにオレの大好きな優しい笑顔に変わるのを見ながら
今、目の前にある幸せを噛み締めた。