12年越しのアイラブユー
Side-A
《7》
「えっと、じゃあ、初キャスターお疲れさま!」
10月の夜は昼の暑さとは打って変わって肌寒い。
でも、
翔ちゃんがこの部屋にいるってだけで空気がすごくあったかくて
「ありがと。」
ちょっと照れくさそうな翔ちゃんと缶ビールをコツンと合わせて
浮き足立った気持ちを沈めるように
ゴクゴクと冷えたビールを飲み込んだ。
部屋に入る時
翔ちゃんにスウェットを勧めたら『すぐ帰るから』って遠慮してたけど
『部屋着の方がリラックスできるよ、もう遅いしさ、ゆっくりしてってよ』
って、
オレにしてはちょっと強引に着替えさせたりして。
ただ翔ちゃんと長くいたいだけだったんだけど、
コレもシタゴコロって言うのかな?
翔ちゃんと二人きりで部屋飲み。
意識しないって方がムリだけど
意識してないフリをしないとって、
ちょっとペースが早かったかも。
「相葉くん?」
翔ちゃんの声が遠くに聞こえて
ハッと気付いたら、
いつのまにか
横にいる翔ちゃんの肩に寄りかかってうとうとしてたみたい。
「あ、ゴメンしょおちゃん、」
「いや俺はいいけど、相葉くんも疲れてるんじゃね?そろそろ寝る?」
とっさに、
翔ちゃんが帰っちゃうんじゃないかって不安になって
「帰らないよね?」
翔ちゃんの腕をつかんでた。