月日々 グレン編 第一話 【月】 | 月と共に日々を生きるドラクエⅩ

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グレン編 第1話 【月】




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長いつり橋を渡りきると、そこは喧騒に包まれた町並みが広がっていた。

無骨な岩壁に囲まれた町中には所々に人があふれ返っている。

商業で一攫千金を狙う者、教会にお祈りをしに行く者、共に冒険する仲間を募る者、様々な目的を持つ者たちが一つに集う場所。

それがこのグレンの町だ。

正面には長い長い階段、その奥にはこの町を象徴するグレン城がそびえ立っている。

威圧的な城の雰囲気に臆する事無く、私はその階段に足をかけた。




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グレン城〈玉座の間〉




一人前の証を見せると衛兵はすんなりと玉座の間に通してくれた。

扉を開けるとそこは文様の刻まれた広間、両脇には衛兵が立ち並び奥には重厚なつくりの玉座、そしてそこに堂々と座るバグド王が見えた。

奥からは、この町の流通の根幹を担っているという武器鍛冶ギルドの賑やかな音が響いてくる。

謁見などという行為は初めてだし作法もよくわからないが、自分なりに失礼の無いように勤めて歩を進める。

王の前でひざまづき頭をたれると、私は口を開いた。

私「急な謁見をお許しください。名は月(ユエ)、とある理由により遥か北方ランガーオ村より発ち、世界を巡る旅の最中でこの町に立ち寄り、王に挨拶をとこの場に参じました!」

・・・こんな感じだろうか?

私は普段使うことも無いような言葉を言うと、内心少し照れながら王の言葉を待った。

バグド王「ほう・・・逆賊め」

ユエ「・・・は?」

言われた事が一瞬理解できずに顔をあげると、暗く濁った、しかしこれ以上無いほどの苛立ちに満ちた王の視線が私を捉える。

バグド王「我の目をごまかせると思ったか!冒険者のふりをして我が国を落とし入れようとする痴れ者めが!」

不条理に浴びせられる罵声。

本当に訳がわからない、何か礼儀作法に問題があったのだろうか?

ユエ「ま、待ってください。何か失礼があったのなら謝ります!どうか話を・・・」

バグド王「ええい!言い訳は見苦しいわ。おい、衛兵!こやつをひっ捕らえよ!」

衛兵「し、しかし王・・・」

バグド王「聞こえなかったのか!牢にぶちこんでおけ!・・・くそっ頭が割れるように痛む・・・!ガートラントめ・・・!」

衛兵も仕方なしといった様子で私を捕えにかかる。

冗談じゃない、挨拶をしただけで捕まるなんて聞いたことも無い!

性質の悪い冗談であるようにと願いつつも束縛に抗おうとするが、何人もの衛兵に囲まれたこの状況は絶望的だ。

次第に身動きが取れなくなり私の中を諦めが支配しようとした時、一つの声が響いた。





「何の騒ぎですかな?」





騒然とした場の中でも鮮明に聞き取れる荘厳な声音、皆がそちらを振り向く。

私もつられてそちらを見ると、そこには一人の老人が立っていた。

緑のローブを纏い頭には三角帽子、手には杖を持ち、髭を蓄えたその風貌はいかにも魔法使いといった感じだ。

老成して力は衰えていそうだったが、先ほど聞いた力のある声、そして何より帽子の下に覗く鋭い眼光により、この老人から弱さを感じることは微塵も無かった。

ジダン兵士長「これは、エイドス様。来られていたのですか、このような場で大変な失礼を・・・」

バグド王「・・・何、エイドスだと?」

王は訝しげに老人を睨む。

バグド王「は!我を騙すのも大概にしろ!おい、そのジジイも牢にぶちこんでおけ!」

チグリ大臣「な、まさか王、エイドス様の事がお分かりにならないのですか!?」

エイドス「ふむ・・・」

エイドスと呼ばれた老人は王をじっと見る。

その鋭い眼光の前には、全ての嘘が見抜かれてしまうような錯覚を受けた。

バグド王「おい!さっさと逆賊どもを連れて行け!」

エイドス「・・・なるほど、今この国ではこのような事が起こっているのか」

そう言うと老人は大人しく衛兵に連れられて行ってしまう。

去り際にこちらを見た気がしたが、私はそれどころではない。

この老人ならばもしや助けてくれるのではと一瞬期待したが、どうやら私と同じく逆賊として見られてしまったようだ。

こんなところで大人しく捕まる訳には行かない。

ここから逃げようと必死に抗ったが、首に強い衝撃を受け私の意識は闇へと落ちていった・・・







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