近鉄21020系 | 車内観察日記

車内観察日記

鉄道の車内の観察する日記ですよ。目次に記載した「☆お願い☆」をご一読の上、ごゆっくりどうぞ。

2002年、21000系のリニューアル工事入場に伴い不足する運用分を補う為に登場した次世代へ向けた二代目アーバンライナーが21020系です。系列からすると、「アーバンライナー版・シリーズ21」と言った所でしょうか。前面はアヒル顔となっていますが、柔らかさと関西人のひょうきんな顔をイメージしたとの事。言われてみればそう見えなくもありません。大阪に本社を構えるだけあり、そちらのセンスに抜かり無いです。


「アーバンライナーnext」の愛称があり、リニューアルされた21000系には「アーバンライナーplus」の愛称が付与されました。


行き先表示は3色LED式となりました。かつて一部列車では「名古屋」の左隣に赤文字で「NON STOP」を表示していたそうですが、全列車が津にも停車するようになったためNON STOP表示を見ることが出来なくなりました。


この系列では、新在直通新幹線よろしく停車時にステップが出てくるようになっており、車両とホームとの隙間を小さくしています。後続の系列では採用されなかったためこの系列独自の特徴と言えたのですが、現在は使用停止されているようです。

それでは参りましょう。まずはデッキ、ドアからですが、22000系同様プラグドアとなっています。近鉄特急って、50000系「しまかぜ」までは一貫して引き戸にしない妙な伝統というか拘りがありましたよね・・。


携帯電話の通話スペースです。かつては公衆電話が設置されており、撤去後は跡を隠すように路線図が設置されています。ビス穴などをそのままにしないところに気配りを感じます。


デッキ仕切りにはおしぼりも用意されています。近鉄特急紹介時には必ず書いているこの決まり文句、「一人一本まで」でお願いします。


トイレです。中は洋式、特筆すべき点は特にありません。


男性小用トイレです。進行方向に配置されているため、走行時はかなりスリリングです。そうそう、台車はボルスタレス台車となっており、シュリーレン台車を採用していた21000系よりも揺れます。微々たる差と言えばそうですが、用を足すとなるとその差は男性には割と重要です。台車直上のデッキですし・・。


近鉄特急開発時恒例となっているアンケートによると、女性の利用客が想定よりも遥かに多かったことが分かり、女性専用トイレが設置されました。なぜかここのピクトグラムだけカラーですね。


洗面台です。ホワイトでキリリと決めています。照明は鏡の裏から照らす間接照明となっています。


多目的トイレです。大型の円筒形となっており、何でも日本で初めてこの形状を採用したのだとか。以降新在問わず広く採用されていくようになったパイオニア的存在といえます。


多目的トイレの向かいに関しては、洗面台と男性小用で配置が前後入れ替わっています。


車内に一箇所、自動販売機も設置されています。車内販売が廃止されたため、その代替処置として設置されたものでしょう。近年では車内の自販機すら撤去の動きが加速しているだけに、頑張って欲しいものです。


元々禁煙車と喫煙車が半分ずつの割合であったアーバンライナーですが、先述のアンケートによると禁煙車希望の割合が7割にも上ったことから全車禁煙化を敢行しています。とは言え、ものの二時間も耐えることが出来ないタバコ依存症の方の意見を汲み取ってか、喫煙スペースを設置しています。



喫煙コーナーはオープン方式となっています。吸引機を設置しているとはいえ、デッキとの仕切り扉が開くと煙が客室へ流れ込んでいます。おいおい・・。一応窓口や券売機でもこの車両は喫煙車として販売するようにはしていますが、全車禁煙化の意味とは果たして・・? このような反省があったためか、後継系列や改造車ではちゃんとした喫煙室が設置されるようになりました。窓の上には元々LCDディスプレイがあったはずなのですが、現在は撤去されていますね。煙を吸って故障でもしたのでしょうか?


最前面です。乗務員室との仕切りはガラス張りとなっており、立ちながらとはなりますが前面展望が出来ます。JRほど厳格なのかは分かりませんが、名古屋行きでレギュラーシート車の方がここで前面展望するのは、マナー違反の可能性もありますので気をつけましょう。


その上にはブルーリボン賞のプレートが。鳴り物入りで登場する近鉄特急ではブルーリボン賞受賞がアイデンティティとなっている気がしますが、この系列もその例に漏れません。


さて、ようやく車内です。ビジネスライク一点張りであった21000系からイメージチェンジを図るべくカジュアルさを演出したと言われていますが、グレートーンの車内は結論からするとビジネス寄りではないかと思います。


デッキ仕切りです。仕切り扉両側にポールを配置しており、視覚的に通路幅を認識させる働きをしているのだとか。両側のスポットライトも、恐らく同じような働きをしているのでしょうね。仕切り扉の上にはLCDディスプレイが搭載されています。通勤電車では中々LCDディスプレイが設置されなかった近鉄ですが、この系列でLCD搭載車初登場となりました。


天井です。中央に冷房吹き出し口をまとまて配置し、スッキリした見付となっています。照明は間接照明を使い、その決して高くない照度を補う形で補助照明を設けるのが関西私鉄特急の伝統となっているのですが、その補助照明も同じく間接照明となっています。夜間に照明の光を直撃させないように考えたのでしょうか。


窓です。2席に1枚の割り当てで、日除けは横引き式のカーテンとなっています。なお窓枠は斜めに切り落とされています。空間を広くしたいというのが言い分だそうですが、真相や如何に・・。


近鉄もさすがにマズいと考えたか、画像のようなミニテーブルを設置しています。しかしこれが缶やペットボトルを置くには面積が狭すぎ、携帯などの小物しか置けません。一体どのように使って欲しいのでしょう。


座席です。「ゆりかご型シート」と名付けられたこの座席は、リクライニングをすると座面も一緒に沈み込むようになっています。テーブルはインアーム式で、その形状と面積の小ささは幾らなんでも不十分過ぎる気がします。そして、テーブルは特に滑り止めの加工が施されているわけでもないので、加減速時などには置いている飲み物が結構滑ります。特にドリンクポケットがあるわけでもないのでここは不満。そしてこの座席で一番やらかしているのがセパレート式のセンターアームレスト。普段は跳ね上げてセットされているのですが、両方を降ろしてリクライニングをしてみると、画像の様にリクライニングに連動してセンターアームレストまで上がってしまいます。ただでさえ空間的制約があるにも関わらず個別利用を優先しようとした結果、かえって使い物にならない代物となっています。座席を倒すととても窮屈で、安息を提供するはずのリクライニングシートにおいてストレスを強いるようになっているのはこれ如何に。これだけ文句を並べられる酷い仕様ですが、21000系を始めとした改造車や新型車両のレギュラーシートには、有無を言わさずこの座席をベースにしたものが搭載されてきました。その後のリニューアルACEひのとりでは改善されましたが…。


デッキ仕切り部分のフットレストはこのようになっています。シートピッチ、もしやここの方が広いですかね?板面は土足禁止面のみで、靴を脱いで足を置くには幅が明らかに寸足らず、座席のモケット色そのものが寒色系なために靴のまま足を置く人も一定数います(というか、結構多い)。確かにこの幅では普通に土足で置くレベルです。この不十分さを反省したか、Aceでは反転式のしっかりしたフットレストが備えられています。しかし、リニューアルACEやひのとりなど、その後の近鉄特急のフットレスト環境は迷走を続けていると言っても過言ではありません。



車椅子対応座席です。アームレストは跳ね上げ可能、固定用のベルトなども装備しています。テーブルはサイドアーム式ですが、一般座席のそれよりも更に小さくなっています。ここのアームレストは一般座席のそれとは違っていますので、これくらいの大きさが限界だったのかもしれません。


展開してみました。座り心地としては過去に乗車したリクライニングシートの中でトップクラスの酷さと言っても過言ではありません。機構そのものは良い発想として、全体的にクッション性などほぼ皆無、近鉄名古屋から乗車して三重県を脱しない間に、腰から肩にかけてまでのありとあらゆる骨を砕きにかかってくる座席といえます。これだったら、この前に登場している汎用特急用車両の方がマシに思えるくらいです。いくら形状や機構が良くても、クッション性ゼロでは全てをスポイルしてしまう好例です。


続いてデラックスシート車です。元々21000系では2両連結されていましたが、この系列登場を期に1両のみに縮小されています。画像はかつて喫煙コーナーだった場所ですが、現在は車内販売基地及び備品置き場となっています。エクストラチャージを支払う車両において、煙が流れ込んできてしまうのはどう考えても顰蹙ですよねぇ・・なんて背景が見え隠れしている気がします。


車内です。レギュラーシート車とは違いワインレッドの色使いですが、それも暗めのそれなのでやはりビジネス利用想定に比重が置かれている気がします。


デッキ仕切りは1+2で配置された座席に合わせて寄せられています。またレギュラーシート車よろしくスポットライトを壁面に向けて設置しています。21000系で採用されていた壁面の意匠の一切が省かれているのは、この照明により置き換えた、と捉えればいいのでしょうね。


座席です。電動リクライニングを搭載したもので、こちらは1人掛けです。レギュラーシート車にも採用されていた「ゆりかご型シート」で、ヘッドレスト部分には可動式のピローが付いています。リクライニングしない状態では、全体的なフッティングは比較的良好です。・・もしやレギュラーシート車の悲惨な硬さは、デラックスシート車との物理的な格差を設けるためなのでしょうか? 


反対側の2人掛けです。夜行バスのような1席ずつ独立した形状となっています。テーブルは同じくインアーム式ながら倍の面積を確保した折りたたみ式となっています。ここへ来てようやく他社の特急形車両のデッキ仕切り際の固定テーブルレベルに到達です(殴) もっと言うなれば、また形状がカーブを描いている為に使い勝手がすこぶる悪いです。そして電動リクライニング機構ですが、安全性を考慮して動きが鈍重というのが会社を問わず定石でして、この座席では輪を掛けて動きが鈍い、鈍い、鈍い!! そして、リクライニングさせると分かる肘掛の高さと短さ。出入りの同線を優先して割と無理な設計となっているのか、私のような肩幅が狭い人間は脇が開く体勢となり非常にストレス。リクライニングしていなくてもその肘掛の短さは明らかに不満です。またフットレストも反転のみで位置調整が出来ないので、リクライニング状態での使用を前提としているとは思えません。最後に、この独立型の2人掛け、回転時は2席が個別に回転します。そんな無駄なギミック搭載するくらいなら、アームレストの幅に還元してやれよ、というのが率直な気持ちです。


フットレストは一応土足/土足禁止面で分かれていますが、土足禁止面のモケットが床のカーペットの色と同系統なのは明らかに生地の選択ミスです。「土足で置いてくれ」と言っているようなものかと。


デッキ仕切り際はレギュラーシート車同様跳ね上げ式です。


ヘッドレストサイドにはLEDを12発搭載した読書灯がありますが、どうしてこうしたか角度調整が出来ず、手元ではなく前列の背面をぼんやり照らすと言う失態ぶりです。


デラックスシート車にも小物置きが設置されています。

 

さて、登場から早くも20年が経過した同系列ですが、チョコチョコとプチリニューアルを繰り返しているようでして、2022年現在の様子をご紹介しようと思います。なおこの系列、本来の目的は21000系の補欠導入だったため2本しか存在せず、中々出会うことが出来ません。チケットレスサービスで座席指定をする際、4号車が13列だとこの系列なんだそうな(21000系は14列)。

 

まずデッキから、設置当初から煙の流入による不評が絶えなかった喫煙コーナーは、新たに扉が設置され完全に仕切れるようになりました。この間、ビニールのカーテンを設置したりする付け焼き刃な愚作をしてたこともありましたっけ(苦笑)  法律改正により地下線内では喫煙が不可となったため、始発駅では使用不可のベルトが張られています。

 

かつて両側に設置されていた喫煙コーナーは片側のみとなり、フリースペースとなっています。禁煙のマークも貼られていますね。

車内、まずはレギュラーシート車からです。昨今の近鉄はレギュラー車・通勤車においてグレー系のトーンがマイブームのように広がっていますが、このアーバンライナーにもその潮流が押し寄せてきているようです。

 

という訳でレギュラーシートの座席です。モケットの色調こそ汎用特急車に準じたライトグレーですが、花柄にも見える円を組み合わせた模様を配したデザインとなっています。触り心地としても、かつてのゴツゴツした印象から凹凸が少ない素材に変わっていることが分かります。ヘッドレストリネンは従来通りの不織布で、オリジナルデザインにはしないようです。

 

テーブルの面積・形状がイマイチであったり、センターアームレストがリクライニングすると一緒に上がってくるダメっぷりはそのまんま健在なのですが、クッション性に関しては割と改善されてると見えます。モケット変更以外にもクッションに改良を加えた可能性が無くもないですが、元の形状や機構は良好なだけに、この変更はありがたいと思います。

 

またコンセントも追加されておりますが、残念ながら設置位置は窓側の床付近。通路側席の方は使えない可能性が高いですし、長いコードが必要にもなります。座席側の融通が利かなかったと捉えますが、あまり良い位置ではありません。またやや張り出して設置されているため蹴飛ばす方も一定数おりそうで、早々に故障しないか心配です。

 

壁際の座席です。やはり、こちらの方が足元が広く見えますね。

 

フットレストは座席と同じ生地が貼られ、以前よりは土足禁止の意思表示は分かりやすくなったかと思います。それでもこの縦幅は不十分ですが…。土足禁止面の奥(上)にある横方向のバーですが、跳ね上げ状態での土足利用を考慮したものでしょうか。

 

バリアフリー対応座席です。こちらもモケットが変わっています。

 

展開の図。テーブルの小ささは、やはりいかんともし難いですね。

 

肘掛け跳ね上げの図。しかし逆に、跳ね上げた途端にテーブルが邪魔になります(汗) なおこちらの席には一般座席も含めてフットレストがありません。これは登場時から変わりませんね。

 

フリーWi-Fiのステッカーです。名阪間を中心に2時間超の乗車時間にもなりますから、ありがたい限りです。

 

続いてデラックスシート車全景です。こちらもカラーコードがガラリと変わっています。

 

という訳で座席です。ワインレッドの高級感を持たせたものから、青系のモケットに赤いヘッドレストピロウと、少しカジュアル感を出したものになっています。名阪間運用中心から、名伊特急など観光需要にも対応した列車への変化が求められたからなんだそうな。

 

付帯設備などは変わらずでして、縁取りの浅いテーブルはもうちょい何とかならんもんかと思います。

 

1人掛けです。あとこの座席、例の「ゆりかご」動作で相対的に座面先端が上がる形になりますが、リクライニング状態でフットレスト…特に土足禁止面で使用すると、太もも裏に大きく負担をかけることになり、すぐに疲れてしまいます。角度可変式でしたらこんなことにはならないんですけどねぇ…。硬めのクッション性が全て悪いとは思いませんが、リクライニングという安息状態で疲労が蓄積する構造なのは誉められたものではありません。

 

全展開の図。最前列以外は画像の通り自席下にもフットレストがある状態になりますが、上のような疲労状態になった際に、体勢を変えるのにはいいかと思います。利用の際の参考にどうぞ。というか、リクライニング時は土足面の利用が望ましいかと。折り畳む分だけ嵩が張るので、土足禁止面よりは自然な体勢で使えます。

 

壁際はレギュラーシートと同じく跳ね上げ式です。デラックスシートでは全席にコンセントが増設されています。脚台が金属で穴が開けやすかったからでしょうか。

 

背面の案内図。しっかりnextのロゴが入っています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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