>コラボアルバム
>タイトル:いきものがかりmeets
>アーティスト:Various Artists
>リリース日:2024年 2月 14日
>記事作成日:2024年 3月 14日





聴きました!



『花は桜 君は美し』/Awesome City Club
ほぉ〜。これは良いぞ? 間違いなくいきものがかりの『花は桜 君は美し』なんだけど、同じくらい“オーサム”の曲。ぼくは、いきものがかり辺りが“最後の90's J-POPアーティスト”だと思ってて(実際のデビュー年の話ではなく、要は、“聴きやすさ”よりも“オリジナリティ”に寄った曲作りをするアーティストという意味)…オーサムなんかは完全にイマドキの、スタイリッシュかつ耳馴染みの良さ優先の曲作りをする人たちという認識だったんだけど、後者のサウンドで前者の作り込み方をされてる曲をやると、こんなにも良いトコどりが出来るんだなぁと。音は鋭角で、クセは少ない…まさにイマドキのサウンドで、でもその上に「一度聴いたらその耳目をガッチリ掴んで離さないぞ」という気概に満ちたメロディと言葉が乗っかっていて…家系ラーメンみたいな原曲と、“女性にもオススメ・サラダラーメン”みたいなアーティストとの融合が、物凄い相乗効果を出している。

『ノスタルジア』/幾田りら
『ノスタルジア』という曲の、ノスタルジックな部分をフィーチャーした感じというか。
幾田さんは、ソロになるとYOASOBIよりもちょっとボーカルの輪郭がくっきりするイメージがあって。ギターで言うと、リバーブ弱めというか。ぼくは結構、そっちのほうが好きだったりもする。

『コイスルオトメ』/SUPER BEAVER
第一印象は、「ぼくは聴いた事のない曲かな?」。で、原曲を聴きに行ったら、知ってる曲だった…それくらい、ビーバー色の仕上がりだった。すげぇしか出てこない。このところ、『ジブリをうたう』収録の『時には昔の話を』のように他者の歌を歌う渋谷さんを耳にする機会が続いたのですが、このボーカリストは本当に、ブレがないなぁと思います。どんな曲も、歌との向き合い方が変わらない。だから、この人の言葉、この人のメロディ、この人の歌にしか聴こえなくなる。でも、原曲へのリスペクトもちゃんと伝わってくるし…凄いと思う。歌への向き合い方に、何となく宮本浩次さんとかを想起させるものがある。

『月とあたしと冷蔵庫』/緑黄色社会
ご本人たちがどう認識なさってるかは分かりませんが、作風的にはちょっと“いきものがかりチルドレン”的な匂いを感じるリョクシャカ。ある意味では“案の定”の仕上がり(別に面白味が無いとか個性がないとかの話ではないですよ!)。伸びやかな歌声が、曲自体が持つ独特の感傷を増幅して、聴き手の胸の弱いトコを刺激してくる。
これは…オリジナルは、聴いた事はあるはずなんだけどあまり記憶に残ってなかった曲。凄い良い曲だ。オリジナルも聴いてみよう。

『SAKURA』/梅田サイファー
まぁ、デビュー曲にして代表曲的な位置付けでもある曲ですからね。誰かが直球でカバーするのは重荷だったのかも(笑)。梅田サイファーによる、リミックス&リリック追加のスタイル。
ぼくは正直、オリジナルの印象が強すぎて…オリジナルのあの雰囲気、あのアレンジが完成形だという認識なので、ちょっとまだこっちの世界観に入り込めていない。いっそ、いきものがかり関係なく梅田サイファーとしてのオリジナル曲だったら素直に「かっこいいなぁ〜」だったんだけども。
でも、こればっかりは、しょうがない。誰かが悪いとか言いたい訳では一切ないし、それ言い出したらこのアルバムのコンセプト自体を否定する事になっちゃう。

『茜色の約束』/TOMOO
雰囲気としてはオリジナルのニュアンスを色濃く残しつつ、歌声はまったく異なる質感。可愛らしい歌声の吉岡さんとは真逆の、マッドで大人びた雰囲気のTOMOOさんの歌声が良い。オリジナルとはまったく異なる感傷が、胸を締め付けてくる(どちらが良いとか悪いとかの話ではなく、それぞれに良い)。

『帰りたくなったよ』/上白石萌音
ぼく的に“ズルい”歌声の、上白石さん。今回もズルい(笑)。圧倒的なイノセンスが、胸を締め付ける。無垢な歌声が切々と歌う、ノスタルジックな世界。この歌声でこの世界観を歌ったら、自動的に泣きたくなるじゃないか。
しかも、オーケストラによる繊細で優しいオケ。締め付けられて息も絶え絶えな胸に、追い討ちをかけてくる。

『ブルーバード』/yama
これもまた…なんというか、“yamaのオリジナル曲”感。最近のアーティストさんは、本当に、ボーカルに個性があるんですねぇ。その分、アレンジの個性は無くなってきてる気がするけども(別にyamaさんの事を言ってるのではなく、シーン全体の傾向としてね)。
オリジナルとはまた別の方向に、シリアスな空気感。オリジナルは“緊迫感+躍動感”ってイメージだけど、こっちは“緊迫感+悲壮感”って感じで、より切迫した空気になってると感じました。ドキドキしてしまう。

『じょいふる』/アイナ・ジ・エンド
オリジナルが、正直ちょっと苦手というか(すいません)…真面目な人が無理やりユーモアを捻り出したような感じがして、それが共感性羞恥的にぼくを追い立ててくるんですよね。
それが、今回のこのバージョンには無くて。そもそもアレンジがひたすらクールに振り切っているのと、アイナさんに固定されたイメージがない(というか“何やっててもおかしくない”イメージ)ので例えどんな変化球なアレンジの曲をやってても違和感がないというか。そういう意味で、凄くスッと入ってきた。
とにかくカラフルで、オシャレで、ポップなのにどことなく武骨な匂いも感じさせる、盛り沢山なアレンジの曲。

『YELL』/ゆず
不思議な感覚。
ぼくは、ゆずさんは“寺岡呼人P時代”と“それ以降”とで大きく作風が異なると思っていて。今回のアレンジは、明らかに後者。壮大で、大仰で、そしてスタイリッシュ。でも、全体的な印象で言うと、前者の匂いを感じるんですよね。だから前者のゆずだけが好きなぼくにも凄く好意的に聴けたし、何だか懐かしかった。元々、いきものがかりがゆずのフォロワー的アーティストだからってのもあるのかな。

『なくもんか』/伊藤沙莉×ハンバートハンバート
好きな役者さんですが…まさか、こんなところでそのお名前を見かける事になるとは。しかも、ハンバートハンバートとの組み合わせ。沢山の驚きと、沢山の疑問が湧いてくる曲(笑)。でも、「そんなのどーでもいっか」と思える、楽曲の良さ。
沙莉さんの歌声、良いわぁ…。T字路sの伊東さんを思い出した(二人ともイトウだし 笑)。吉岡さんの歌声は、あどけないとすら言える程の若々しさと瑞々しさが特徴ですが…ある意味で伊藤さんの歌声は真逆。若い頃に“自分と等身大”と感じて好きだったこの曲が、時を経て、伊藤さんとハンバートとのバージョンでまたまた“自分と等身大”と感じられた…こういう体験は、もしかしたら初めてかもしれない。ありがとう伊藤さん、ありがとうハンバート、ありがとういきものがかり。
ちょっと「なきそうだ」。

『笑顔』/wacci
チーム神奈川(笑)。
思えば、wacciのポップネスといきものがかりのポップネスには、通じるものがあるかも。ネガティブな部分があるからこそ貰える勇気というか、そういうものがある気がする。
これはおそらく初めて聴いた曲なんだけど…サビの譜割が特に好き。言葉数が多いんだけど、ゴチャつきゼロというかむしろスッキリしている。
これもぜひ、オリジナルも聴いてみなきゃ。



そんな、計12曲。

さすが第一線級の皆さん、良いセンスしとるわなぁ…。オリジナルの良さを残しつつ、大胆に新解釈をしている人が多い。

凄く聴き応えがあった。
この際ぶっちゃけますけど…いきものがかり、初期はちょくちょく聴いてたんですが、なんか段々と説教くささみたいなものを感じるようになっちゃって(注:完全に、ぼくの受け取り方の問題です。つまり言いがかりです)。なんかちょっと聴くのが重たくなる時があって、遠のいてたんですよね。
でも今回、別のアーティストさんが新たな解釈で表現するいきものがかり楽曲を聴いて、凄くフラットに(変なバイアスなく)楽しめたんですよね。「良い曲だなぁ」「カッコいいなぁ」「泣けるなぁ」って。
この作品を機に、改めて、いきものがかりの作品を聴いてみたくなりました。

…しかし、この作品におけるいきものがかりのお二人の介在度合いが見えない。プレスリリース等を見る限り、ご本人たちも何らかの介入をしているように見受けられるんですが…音を聴く限り、完全に各アーティストに任されているように聴こえるんだよな。“コラボアルバム”なのか、“トリビュートアルバム”なのか…。





お気に入りは、
#01 『花は桜 君は美し』/Awesome City Club
#03 『コイスルオトメ』/SUPER BEAVER
#04 『月とあたしと冷蔵庫』/緑黄色社会
#09 『じょいふる』/アイナ・ジ・エンド
#10 『YELL』/ゆず
#12 『笑顔』/wacci





この作品が好きなら、
・『CHATMONCEY Tribute -My CHATMONCEY-』/V.A.

などもいかがでしょうか。





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