2013.5.9 16:00頃

柴ちゃん… 柴ちゃん…。


……………。


妻の声で目覚めると、既にICUのベッドの上だった。おふくろも隣で心配そうに見守っていた。朝の8:00には病院に来てくれていたので、8時間も待機してくれていたのである。 感謝感謝…。



妻: 無事に済んだって。 良かったね。

私: うん。


朦朧とする意識の中で、手術の無事を確認し合う少ない言葉を交わした。



暫くして河野先生が確認に来てくれた。

目をつぶってみて。
口をイーってしてみて。
口をウーって出来る?
舌は動かせる?
眉毛を上げてみて。
バンザイ出来る?

全身麻酔の影響か体の自由が効かない中で、全ての動作がゆっくりだが出来た。

先生が戻った後も自分で顔の動きを何度も確かめて、手術成功の喜びを噛み締めた。


やった~ 無事に終わった…。




それから、長ーい、長ーいICUでの夜が待っていたのであった。



●私の状態。
■酸素マスクをしている。

■鼻から胃に管が入っている。

■頭に溜まる血液などを排出するチューブが頭の縫合部から出ている。

■薬の点滴と自己血を輸血している。

■尿のカテーテルをしている。

■血圧は1時間毎に自動計測される。

■静脈血栓塞栓症(エコノミー症候群)対策で、足の甲からヒザ迄あるエアマッサージャーを両脚に装着。

■血中酸素濃度のセンサーが親指に付けられて、親指の爪が赤くキレイに光っている。

■心電図

■etc…。

これぞICU治療室、フルバックアップ体制、完全装備です。


●体の具合
■全身麻酔が覚め切っていない為か、頭が全く動かせない。首から下は何とか少し動かせるのだが、頭がボーリング玉になってしまった様な感覚だった。頭を手で持ってポジションを微調整した。

■めまい : 有り
視線を動かすたびに、天井や壁が反時計回りに回って見えた。

■頭の内部の痛み: 無し

■頭の傷口の痛み: 無し

■吐き気: 無し

大体、この様な具合でした。
心配していた手術後の頭痛と吐き気が無くて本当に本当に良かった。


全身麻酔から目覚めて一番苦痛だったのが、鼻から胃に挿管されたチューブ。このチューブがゴックン。とツバを飲むたびに指で喉の奥を押した感じになり、オェッっと吐きそうになり血圧上昇、そのたびに頭の中全体にズキィーンと痛みが走りました。ピーッ、ピーッとセンサー音も切替わり正確に反応した。看護師さんにチューブを外して欲しいと要望し、6時間後に外してもらった。麻酔の関係ですぐには外せないのであろう。

私を苦しめるそのチューブの長さは鼻から喉の奥20cm位を想像していたが、チューブを抜く時、手品でよく見る国旗が口から出て行く感じでエラく長いチューブが出て来たのでとても驚いた。喉までじゃなく胃まで入っていたのね…。

これで精神的にだいぶ楽になった。


続いて、全身麻酔の影響なのか下半身がものすごく冷えてしまった。特に足の冷えを強く感じた。全身チューブだらけで非常に辛い状況の中、唯一リラックスさせてくれたのが、足の裏→足首→ふくらはぎ、と順番に揉んでくれる血栓対策のフットマッサージャーだった。これがあったから一晩を乗り切れた。と言っても過言ではない。


1時間おきに看護師さんがチェックに来てくれた。
毎回、瞳をペンライトで照らして瞳孔の反応を確認するので、やはり急変がある危険な時間帯なのだな。と思った。


また、私の記憶が確かなら、24:00に河野先生が緑の手術着姿で確認に来た。信じられない…。朝から長時間に渡る手術をした日の深夜まで病院に居るのだ。その責任感・使命感に敬意を払いたい。激務お疲れ様です。お体をご自愛下さい。と私は心の中でお伝えした。





ベッドサイドに立っている時計を見つめながら……
眠れなく、長ーい、長ーい時間が過ぎるのを待った。








続く。