夢を語れ、語り尽くせず押し寄せてくる
夢を語れ系列は、ここまで大きくお店を広げて、果たして採算は取れているのだろうか、不安になる。
広島で二店舗めとなる、「ラーメン荘 夢を語れ」の派生店である、
「今を楽しめ 五日市造幣局前店」
が、先頃オープンした。
非乳化←→微乳化、というエリアで、醤油の味が立った、「夢を語れ広島店」に非常に近い
ラーメンとなっている。
豚、と呼ばれるチャーシューが、大きなかたまり肉を薄切りにした(薄い、と言っても厚さがかなりある)
状態で、1枚乗る。豚入りを頼むと、これが3枚になる。
柔らかく、ほろほろしていてかなりおいしい。これを食べるためだけに行ったとしても満足度は高い。
それにしても。
かつては夢を語れ系列を食いに、京都一乗寺や大阪下新庄まで新幹線で通っていたことを考えれば、
随分と至近距離まで来たことになる。
このまま、ラーメンは二郎系に浸食されていくのだろうか。
二郎、というラーメンは、ラーメン=グルメ、という風潮が広がったバブル終了後の風潮に対し、
正面、まっこうからあざ笑い、爆笑し、クソを投げつけてきた存在である。
化調を山ほど使い、雑に野菜を盛り、……いわば、「昔ながらの旧き良き」ラーメンの延長上にある。
あの淡い醤油ラーメンの延長上に二郎がある、といわれても、何を言ってるんだと思われるだけだと
思うが、そうなのだからしかたない。
昔ながらのラーメンが、いろいろと常識を振り切ると、二郎が出てくる。そういうものなのだ。
そして、その二郎の常識をもぶち壊したのが、東京赤羽に生まれた「富士丸(旧 二郎赤羽店)」
である。
二郎のマニュアルを無視し、みりん風調味料をどぼっと投入して出来た、すき焼きと豚骨白湯の
中間みたいなものすごいラーメン。これが富士丸ラーメンなのだ。
ひとことで言うと、ひどいラーメンである。ひどく旨く、ひどく中毒になり、ひどく心と体を壊しにかかる。
あれは、麻薬だ。
その麻薬ラーメンを、もう少しだけマイルドに、もう少しだけ一般人に寄せてつくってきたのが、
ラーメン荘系列だ、と認識している。
富士丸の凶暴さは薄れ、麻薬のようなあと引く牽引力だけを残して、夢を語れは富士丸を差し置いて
主に西日本で急速に広まってきた。
そして、今。
私は実家から至近の五日市という地で、それをむさぼっている。
いいことなのか。悪いことなのか。
今の私には分からないが、多分五年後の私には分かることだろう。
大変に、悪いことであるのだ、と。