給料が上がらない――追記 | しちにんブログのブログ

給料が上がらない――追記

前々回のブログで、「給料が上がらない」と題したお話を書かせていただきましたが、ひとつ、重要なファクターを書き漏らしておりました。

というより、論のファクターというよりは、全てを「これ」を前提として書いており、あまりにも既知の事実と考えていたために、敢えて特記しなかった、という向きがあります。それは言うまでもなく。

 

「超高齢社会」ということです。

 

Twitterで、池田町のあれこれについて少しツイートし、日本の高齢社会のヤバさに言及したところ、

「日本は自主財源でやっていけるから問題はない」

という反論をいただきました。

 

そこで、そうか、と膝を打ったものです。

 

MMTにしろ、超高齢社会のこういった楽観視にしろ、つまりみな、

「日本は財源自体は問題がない国家である」

という裏打ちが国民の心の中にあるのだなぁ、と。

国債発行額が過去最高というニュースが巷間を賑わしていても、左翼メディアの戯れ言、ぐらいにしか捉えられていないのかも知れません。

 

……話が外れるので少しだけ触れますと、日本が財源が潤沢にある国家で、MMTをはじめとした量的金融緩和政策を発動して無傷でいられる国家である、というのは、日本という国の財政をいくらなんでも楽観視しすぎではないか、と思います。……こういうことを語れるほど私は経済に詳しくないので、一般的な当たり障りないところで論を止めますが……。

日本が一瞬だがアメリカと経済で肩を並べたのは今は昔。アメリカがリーマンショック後、量的金融緩和政策で立ち直った事実が、ある種の経済学者の頭にはあるのでしょうが、それは

「アメリカだから、世界は憤懣やるかたないもののしかたなくつき従った」

というだけで、財源……というと言葉がおかしくなるので、「信用」と言い換えますが……現状の日本程度の「信用」で量的金融緩和を行えば、残念ながらおそらく、朝日や毎日などのメディアが言っているようなハイパーなやつが起こる可能性は高いでしょう。

そして、量的金融緩和を発動することによって、もしこれが成功し、世界の隅々に「円」が行き渡るならば(もうこの言葉だけで、MMTは成功しない、とは分かるのですが)その弊害として今の中国のような国を世界のどこかに作ってしまうほどの「無茶」を世界が許容しなければならない、ということでもあり、そんなことをアメリカはおろか欧州あるいはアジアですら許さないと思うのですよ。

 

で、話を戻して。

じゃぁなぜ日本に「信用」がないのかと言えば、「超高齢社会だから」というわけです。

 

この「超高齢社会」とはなんなのか、というと。

 

言葉の定義としては、ご存じの通り、「六十五才以上の人口比が全体の21%以上を占めていること」なのですが。

ここから派生する社会問題が、日本の発展を重々阻害しているところに気づかないと、日本の信用度を見誤ってしまいます。それは、以下の様なことです。

 

・政府歳出における国民医療費の高騰→総じて、福祉全般を含めた、社会保障費の高騰

・労働人口の減少→結果として、国が生活を守らなければならない老齢人口比の増加

・年金問題

・技術力の停滞→新しいものを取り入れることが出来ない人間が現場の長にいることの弊害

 

などなど。

 

問題を総論で記述しても面白くないし、そもそも学者でもない人間のそんな話を聞きたい人としていないでしょうから、たとえ話をして上記のような問題を現実問題として肌で感じていただきたいと思います。

 

――外国から質のいい部品が入るようになってきて、ただでさえ海外に逃げて空洞化した工業も、減衰の一途をたどっていた。そんな状況を憂う日本の製作会社社長が、なぜ海外の製品が質が良くなったのか調べてみたところ、向こうは図面をPCで作ると自動的に製図が機械に転送され、旋盤が動いて製品を吐き出すそうだ。驚いてうちでも導入してみようと部長にかけあったところ、

「そんな機械を入れるおカネはありません」

とのこと。

また、工場長から、

「手作業に慣れている工員が戸惑うことになる」

との反論がある、と。

 

ならば、と、外国から現場の人を招聘して公聴会でも、と、先方の外国企業のFAX番号を調べてみるが、そんな番号はない。しかたなく、打てないメールを秘書に尋ねながら慣れない英語でようやく質問文を打ったところ、先方から

「ZOOMなら受け付けます」

と。

……ZOOM?

 

社長は全てを諦めましたとさ。

 

まぁ、日本でもIT業者やそこそこの大企業なら、会議はZOOM、進捗管理はSlack、DX化してトレンドをパーフェクティブしてアッテンボローなんてことをやっておりますが(嘘)、やはり人間の頭脳は10~20代あたり、身体的な体力は40代あたりまでを境に、急速に衰えていくものでして、その衰えた先の人たちが意思決定に携わり続けてたりすると、もはや発展は不可能、なんてことになりがちであります。

いや、これは失礼な言い方でした。それなりの大企業の上層部ですと、さすが頭脳あたりは先進性があり、いろいろな新技術を取り入れる柔軟性は持ち合わせているのですが、末端のあたりまで老化が進んでいると、長年の手になじんだ道具を捨ててまで変な機械でピコピコなんてやりたくないしそもそも覚えられないからそんなら辞めますってなって、若い人が入ってこないもんだから会社としてもそれは困る、ってな感じになり、DX化どころか旧態依然とした機器と体質のまま職人の勘で製品を作り続ける、なんてことになってしまいます。

 

というよりですね。

 

そのような状態でまだそれなりに世界に振り落とされず、伍して行けていること、今こそがものすごいことなんですよ。

日本は後進国だ、と界隈の人たちは楽しそうに連呼しますが、むしろもっと早くそうなっていたはずで、今それほどはそうなっていないことのほうが驚異だ、と、私は思います。

 

超高齢社会のやばさってのは、まぁ↑の例であげたようなこともありますが、他に致命的な問題として、「生産→消費の循環が極端に落ちる」というのもありまして。

アメリカがなぜあんなにGDPが高く、無駄もあほも多いのに生産性が高くいられるのか、というと、でかい企業がいっぱいある、ということの他に、「莫大に消費していること」が一つ、あげられます。それも、ホットドッグのような同質同量製品の大量生産品で大満足してくれていることもでかい。生産したものをきちんと消費してくれてこそ、経済は回るんです。嘘だと思うなら、今日本で一番稼いでいる業種を想像してみて下さい。

 

そうです。勤務医でないお医者さん。つまり開業医ですね。理系に行ける人で優秀な人はまずは、医者を目指すそうです。

なぜか? 儲かるからです。

 

なぜ医者が儲かるのか? 病人が(超高齢社会で)大量生産されているからです。そして、これを治(大量消費)している。しかも国がおカネを援助(高額医療費制度や健康保健制度)している。だから儲かる。

 

……申し遅れましたが、基本ここで私の書いている内容は、道徳的な観念をすっ飛ばしてます。

読んでて自分でも虫唾が走ることがあるくらいなので、他の人ならなおさらだと思います。

申し訳ございません。そういうのをちゃんと気にした上で書くと話が進まないので、あえて書かずにおります。

失礼しました。では続きをどうぞ。

 

少子化の話は前々回いたしましたが、これに加えて高齢化。つまり「少子高齢化」。

もう、ほぼほぼ原則論として、少子高齢化した国家は衰退する決まりなのです。

ましてや、先進国たろうとして、福祉を充実させた国であるなら、なおさら。

 

まぁ、じゃぁなぜデンマークのような高福祉国家は高福祉なのに……なんて始まってくることが想像されるので、これについてはいつかまた。ヒントを言うと、「あっちも実情はヤバい」。これにつきます。

まして日本は、「クソみたいな山あいに小都市が乱立し、道を引くのも一苦労。さらに地震があるから強靱に作らんといかん。さればと道路公団を作って道路だけは維持しようとしたらどこぞのクソ野党が『公共事業は金の無駄』とか言って仕組みを壊し、建設業が激弱に。もう終りだよこの国」ってなもんです。

 

ただ、そんな中でも、私たちは生きなければなりません。

いろんな負の要素は要素として、それを内包した上で、よりよい社会を目指して、築き上げねばならない。

では、現行の状態でどうしたらよいのか? という話ですが。

 

私ならば、

・極端な雇用流動化の促進

と、

・年金受給年齢を75才へ一律引き上げ

が必要と考えます。

 

雇用流動化ってのはすごく聞こえがよく言ってますが、具体的には、日本全国正社員を撲滅し、全て派遣社員然とした社会保障レベルとする。具体的には、解雇を簡単にし、その分失業者が次の職を見つけやすくするためのシステムと失業時の生活保障をもうちょっと強めに制度化する、ということです。

 

年金受給については、ご想像の通り。現行法制では持たないでしょう。

 

社会保障レベルを下げて年金に回し、その年金もなるべく出さないようにする。

ま、鬼のような施策です。

 

それでも、我々は、生きてゆかねばならないのです。

この国で。

 

で、まぁ。

以上のことは、私という個人が勝手に思ってることであり。

未来なんて分かりません。もっと良くなるかも知れませんし。

ま、頑張って生きていきましょう。ええ。