子育ても3人目となると、色々と、データが蓄積してくるもので。
スカイとマリンの時の経験を活かして、ランドの学習は計画的に行きたかったのだけれど…
中学校入学から程なく、ママはランドの勉強に口出しするのを断念した。
何せ末っ子。
それも登園拒否からの登校拒否を、計3回も堂々と(!?)やり抜いた自由人である。
やりたくない事は、やりたくない。
とりま、塾は行きたくないし、学校の勉強も勝手にさしてくれと。
……分かったよう……
ランドの勉強に関しては一切口出ししないと決めてスタートした中一一学期。
そうはいっても、上二人を見て育ったランドは、中一ショックを予想してか、
それなりに勉強し、そこそこの成績をたたき出した。
……まぁ、この調子なら放っておいてもいいけど………一発屋にならなきゃいいけどなぁ……
と、生温かく見守っていたママの予想通り、好成績の続いたランドは、2学期後半、すっかり油断しまくり、
ガクッと成績を落とした。
……そらもう、気持ちいいほど真下に落下しよった笑
ーーほれみい!!
調子に乗ってるからじゃ!!
と、内心思って(多分口からも出て)いたママであったが、
この程度で堪えるランドではないことは重々承知である。
なんたって、半年間の登校拒否明けに、学級委員に立候補できる面の皮の厚さなのだ。
この程度で殊勝な面して「僕頑張るから塾に行かせてください」とか、言うやつじゃないのだ。
分かってる分かってる。
ってなことで、冬休みも引き続き放置。
三学期が始まっても、学年末テスト期間に遊び惚けていても、放置。
ーーそんなある日のことじゃった。
私達が通う教会が、老朽化のため、会堂(礼拝するとこ)を移転することになり、
現会堂を取り壊すことになった。
最後の礼拝があった日の午後、皆で礼拝堂の大片付けをやったのだけれど、
カーテンレールやら、
スピーカーやら、
延長コードやら。
諸々、壁の高い所に取り付けられたものたちを、脚立に上って取り外す作業を……実に楽しそうに、ノリノリでやり始めたランド。
さすが、赤ん坊の頃からありとあらゆるもの(グランドピアノとか!!)に登りまくってきただけあって……似合う笑
周囲の大人たちが笑いながら、
「ランドくん、大工さんになったら?笑」
と、声をかけると、
「それって儲かるの?」
ときた。
いやお前な💦
まだ中一の洟垂れ小僧のくせに、発想がいやらしいわ!!
可愛い顔してやめなはれ💦
恥ずかしさも相まって絶句するママを横目に、
フォローなのか何なのか、マリンがランドに、
「○っくん(ランドの愛称)は、将来何になりたいの?」
と……マリン、お前良い子だな(^▽^;)
うんうん。
そうやでランド。
こんぐらい、ふわっとしててもいいから、夢のある感じのアプローチでお願い。
あんたまだ中一なんよ??
マリン程ふわっふわでおれ、とは言わんけど、もそっと何かあるやろ??
ついこの前まで、プロ野球選手とか言っとったんやから💦
ーーと、そんなママの心のつぶやきを知ってから知らずか、ランドは一言、
「お金持ち💕」
ーーおい!!
“お金持ち”は、職業ではありません!!!
「お前さぁ、何でそんなに守銭奴なん!?
うちはそりゃ、そんなお金持ちとかじゃないけどさぁ。
明日のご飯の心配するほどの生活はしとらんじゃろ!?
父ちゃん、ちゃんと働いて、普通に稼いできてんねんで!?」
と、何故かパパのフォローまで交えて言い募るママに、ランドは、
「分かってるよ」
「ほな、何でなん??」
「おいら、今より生活水準落としたくない。
だから、父ちゃんより稼げる仕事がいい」
ーーいや、生々しいわ!!
と、思ったものの……これは、チャンスかもしれん。
「稼げるかどうかは、どんな仕事に就こうが、お前次第っちゃ次第やけど」
「うん?」
「建築系やったら、一級建築士を持っとれば、かなり稼げる可能性は高い」
「おぉ……父ちゃんより?」
「父ちゃんより!!」
ーー力舌してごめんパパ。
「いいね💕」
ようし、ノッてきたな。
ふふん。
所詮は中一男子。
ちょっとぐらい小賢しくたって、実に単純なもんである。
「ただし、すんごい難しい」
「どれぐらい?」
「○大とか、○△大とか、□○大あたりの建築科で頑張れるほどの学力なら、
取れる可能性はある」
「ふぅん……」
と……別段とっても食いつく風でもないようなふりをして、
その実、ランドの目の奥が光るのを、ママは見逃さなかった。
ーー手ごたえは、アリと見た。
やはり、馬を走らせるには人参がないと。
やっぱり、勉強頑張るには、目標がないとね!!
そんなわけで、
ランドの受験戦略は、思ったより早くに始動したのだった。
ーー続く!