【マリンの学力向上委員会0~序文~】

 

 

そんなこんなで、スカイもランドも含めて、進路問題に忙しい我が家なのだけれど、マリンの場合、支援級に移籍を決めた段階で、全日制には行かない事を決めていたので、受験は事実上面接のみという見通しが、この春の段階で既にあった。

 

 

なので、学力の向上といっても、受験勉強ではない。

 

 

なんなら、中学校の、学校指導要領の内容とも限らない。

 

 

この場合の学力とは、受験テクニックでも、文科省推薦の内容でもなく、社会で生きていくための、ガチの学力のことだ。

 

 

マリンはあれで、実は結構なプライドちゃんで。

 

 

家族の中で自分だけIQが低いことを、まぁまぁコンプレックスに感じている。

 

 

まぁ…パパが、パパだったり(IQが上の異常値)するので…なんとなく、我が家では、例えば芸能人なんかの話をするときに、

 

 

“地頭が良さそう”

 

 

みたいなことを、無神経にも、ぽろっと言ってしまう事が、ある。

 

 

マリンが、自分の学力を気にしている事は皆分かっているので、

 

 

うっかり、そんな話になった時には、

 

 

“知性は一種類ではない。テストの点や、IQのポイントに直結する部分だけが、人間の知性ではない”

 

 

とか、

 

 

“頭が悪いってのは、テストの点が悪いことじゃない。人様のご迷惑を一切考えようとしないやつのことを言うんだ”

 

 

的な事を、それぞれに言ったりするのだけれど……

 

 

なんていうのかな。

 

 

多分、というか、多分に、“フォローしてる感”が、拭いきれない。

 

 

ぶっちゃけそれぞれに、本音では、

 

 

『地頭の良さ=すごく良い個性』

 

 

って思ってるんでしょ的な空気が……正直、少なからず、ある。

 

 

外でも、うっかり誰かの知性自慢みたいな事になった時、マリンはすごく悲しそうに、

 

 

「私も賢かったらよかった」

 

 

と、しょんぼりと…していた。

 

 

 

 

ーーいやでも。

 

 

ママは正直、社会で生きていくために、今のマリンに不足しているというか、どうにも心配が尽きないのは、知的などうこうよりも、いわゆる不注意の方で。

 

 

だってさ!?

 

 

「ママこれ借りるね💕」

 

 

と言って、マリンが持ち出したママの、

 

 

上着も。

 

 

水筒も。

 

 

帽子も。

 

 

ーーーもうなんか、日常茶飯すぎて、一々覚えていられない程、数々の!!

 

 

ママからの借りパクならぬ、借り失くし物の山……。

 

 

学校でも、家でも、常に探し物を探し回る日々……。

 

 

の方が、よっぽど問題でしょーがよ!?!?!?

 

 

と、思っているのだけれども、本人にとってはそうではないらしい。

 

 

賢くなりたいらしい。

 

 

う~ん…そっか。

 

 

「私ね。最近祈ってるの。」

 

 

「何を」

 

 

「賢くしてくださいって。」

 

 

ーーーお、おぉ、そんなにマジなアレだったか。

 

 

うっかりの方がよっぽど問題とか言って、ごめんよ。

 

 

分かったよ。

 

 

ママも、一緒に祈るよ。

 

 

そんで、協力するよ。

 

 

やれることはきっと、沢山、ある。

 

 

ーーーどれもこれも、続けないと意味ないんだけどね……。