どうも、
翔です。
ウクライナのペトロ・パフニュク選手。
もともとウクライナの選手でしたが、2014年からはアゼルバイジャンに移籍、リオ五輪を経て、2017年から再びウクライナに移籍、現在はウクライナ国籍です。
そんなパフニュク は、ワールドカップなどでは常連の選手。
ゆか、あん馬、平行棒と複数種目で決勝に進む実力者です。
その中でも特に得意とするのが平行棒。
今年2019年のヨーロッパ選手権では種目別平行棒で銀メダルも獲っています。
そんなパフニュク も、得意な平行棒をさらに伸ばそうと試みています。
その試みとして取り組んでいるのが【バウマン】という技。
2017年に発表され、スイスのクリスチャン・バウマンの名前がついた【F難度】の技です。
どんな技かというと、【懸垂前振り片腕支持3/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて3/4ひねり支持】です。
わかりませんね。
要は「車輪マクーツ」という技なのですが、
まずマクーツという技を見てみましょうか。
マクーツは前振り片腕支持3/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて片腕支持3/4ひねり支持という【E難度】の技です。
このマクーツを色々な入り方と組み合わせる技というのがいくつか存在します。
単純なマクーツはご覧の通り、倒立から振り下ろして行いますが、
これを腕支持から行うと【G難度】のツォラキディス(前振り上がり(腕支持から)片腕支持3/4ひねり単棒横向き倒立経過、軸手を換えて後ろ振り片腕支持3/4ひねり支持 )、
逆懸垂から行っても同じく【G難度】のヤマムロ(棒下宙返り3/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて3/4ひねり支持)、
そして懸垂から行うと【F難度】の「バウマン(懸垂前振り片腕支持3/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて3/4ひねり支持)」になるのです。
バウマン【F】が発表されてから実際に演技構成に取り入れる選手はほとんどいません。
【F難度】という価値点の高さのメリットに比べて、
車輪の動きから片腕支持へ、さらに中向き単棒倒立の形に収める必要があるという難しさと姿勢欠点、また大過失へのリスクが大きいのでしょう。
よほど熟練した選手でないと使いこなすのは難しそうです。
車輪、ディアミドフ、ヒーリー、車輪ディアミドフ、マクーツ・・・
これらの要素が組み合わさった複雑な技なので、スペシャリストでないと習得は難しそうです。
それをパフニュク は美しく、スマートに決めてみせます。
マクーツもやってるよ。
①バウマン(懸垂前振り片腕支持3/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて3/4ひねり支持)【F】
②マクーツ(前振り片腕支持3/4ひねり単棒倒立経過、軸手を換えて片腕支持3/4ひねり支持)【E】
③棒下宙返りひねり倒立【E】
④後方車輪倒立【C】
⑤棒下宙返り倒立【D】
⑥ホンマ(後ろ振り上がり前方屈身宙返り支持)【D】
⑦前方開脚5/4宙返り腕支持【D】
⑧ヒーリー(後ろ振り倒立経過1回ひねり支持)【D】
⑨ビロゼルチェフ(前振り1/4ひねり単棒横向き倒立)【D】
⑩前方抱え込み2回宙返りひねり【F】
Dスコア:6.5
リオ五輪の平行棒チャンピオン、オレグ・ベルニャエフ もかつてはこの技を実施していましたが、現在はまったくやらなくなりました。
本家本元であるバウマン も、この技を発表してからは一度も実施しているところを見たことがありません。
しかし、日本国内では2017年以前からバウマン(=車輪マクーツ)の構想は出来上がっており、大会で実施する選手もいたのは確かです。
国際試合で初めて実施したのがバウマン だったため、名前がバウマンになったということですね。
国内の現役トップ選手だとコナミの横山聖 選手が実施するので、ぜひ今後注目してみてください。