音楽活動でのセクハラ・パワハラを乗り越えたこと、#metoo の記事の続きです | 野坂ひかり official blog “Sing with Piano”

野坂ひかり official blog “Sing with Piano”

ピアノ弾き語り“切実系”シンガーソングライター

昨日公開した #metoo ムーブメントを受けて書いた記事
「今まで体験したセクハラやパワハラ、#metoo ムーブメントを受けての言葉を綴ります」
が、かなりの反響をいただいてびっくりしています。

沢山の方に届いて読んでもらえたようで、本当に嬉しいです。ありがとうございます。

私の元には同じ女性アーティストの方からもコメントが届き、そしてライブハウスに来てくださっているお客様からも本当に沢山の、共感の声をいただきました。

皆さまからいただいた反響で、一番多かったのが「書いてくれてありがとう」「勇気ある行動を尊敬します」と言うもの。私に対する批判はありませんでした。。


私がこの記事を書いたのは、“過去の自分と向き合うため”だったからだと思います。
そして何より、どんな気持ちで歌ってきたのか、なぜ「傷」のような曲を歌うことが必要だったのか、私の音楽を聞いてくれているファンの方に知ってもらいたかったからです。

自分自身も、音楽活動を始めた最初に比べて、感覚が鈍くなっていたと感じました。
記事に書いた出来事が、まるで鈍い痛みのようでした。
「嫌だったけど、これがその世界のよくあることならしょうがない」と済ませようとしていたのを、記事を読んだ皆さんが「許せない」と本気で怒ってくださって、「やっぱりそうだったんだ」とはっとしました。


お世話になっていた美容師の方から、「お客さんは教育するものだ」と言われたこともあります。

やはり何が嫌なのか、どうしてダメなのか、と言う事が分からない方もいます。それに対しては、私達アーティスト・演者側も「どうしてダメなのか」「何が嫌なのか」と言う意思表示を、はっきりしなければならない事もあると思います。

ファンとアーティストも、結局は「一対一の人間関係」の積み重ねで出来ています。

一概に迷惑なファンを邪険な扱いにすれば良い、と言う訳でもないと思います。

勿論、前の記事で書いたような、体を触ったり、終電を逃すまで帰らせない等のセクハラやパワハラは論外ですが。


今回私の書いた音楽活動で体験したセクハラ・パワハラの記事がこれ程拡散されたのは、皆が思い当たることがあったからだと思います。

現実問題、すぐに現状を変えることは難しいけれど、認識することで少しでも「良い音楽の場所」にライブハウスがなれたら、と思いますし、
セクハラやパワハラの事は活動初期に体験したことをタイミングが合いカミングアウトさせて頂いたものなので、
実際もう私は今、幸せなファンの方と幸せなライブを作り上げていると実感しています。

もし以前の私のように困っているアーティストさんが居たら、皆で全力で手助けしてあげられたらと思います。


#metoo ムーブメントの記事を読む中で、私が一番共感したのは、
「声を上げれば〈なぜか〉と問われ、声を上げなければ居ないことにされる」
と言う言葉です。本当にそうだと思う。



―※画像はbuzzfeed Japan 「#metoo」 関連記事より抜粋

#metoo と言う声を上げたのは、「誰かのため」なんて綺麗事ではなく、「自分のため」です。
人は自分のため以外には、本当の所で動けないと思うからです。
社会や誰かの未来を変えるため、なんて大仰な事ではなく、「私はここにいて、こうだったんだ」と自分と向き合うきっかけをくれた #metoo ムーブメントに、感謝します。


私は今、頑張って音楽活動を続けてきた結果、ファンの方にも恵まれ、前回の記事で書いた「傷」と言う曲は殆ど歌わなくなりました。

そして「それが幸せ」と言う曲を歌い、「良い曲だ」とファンの方から言われ、同姓のアーティストやお客さんにも「この曲を聞いて涙が出た」と言ってもらえるようになりました。

今、以前の私のように、ライブのお客さんとの関係で悩んでいるアーティストの女の子が居たら、大丈夫、私のように乗り越えて歌い続けて行けるのだから、と少しでも背中を押せたら、伝えられたら嬉しいです。

今回こうしてブログを綴り、今までの自分の音楽活動を見返す機会になり、沢山の方に出会い、読んでいただけたこと、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

これからも自分にしか歌えない歌を、自分にしか伝えられないことを、活動を通して発信していけたらと思います。

読んでくださって本当にありがとうございます。


野坂ひかり