熊本で強い地震が発生し、建物の崩壊などにより犠牲者が出ました。
地震の規模はマグニチュードが6.5でした。
これは電卓で計算しましたら何と、
M9.0の東日本大震災の地震の1/5623の大きさでしかありませんでした。
しかしながら、内陸断層型の地震で、
震源が10kmと非常に浅いこともあり、
その他の事象も重なって東日本大震災と同規模の強い揺れが引き起こされたものと考えられます。
九州は地震の頻度が低いとされており、
建物としては、本州の建物の90%の耐力があれば
良しとされています。
熊本では100年前くらいに同規模の地震が
起きているそうですが、
滅多に地震が起こらない地域では、
どうしても被害が大きくなりがちです。
なぜならば、100年も経つと、
地震の怖さが言い伝えられることも少なく、
忘れられてしまいます。
これでは地震に対する心構えは出来ません。
本来、建物がしっかりしていれば
亡くならなくてもすんだはずの命、
日本は世界で起こる地震の10%を
占めているほどの地震国なのに、
意識としては少し薄いようです。
昭和56年に建築基準法で新耐震が制定され、
構造計算は全く違う解析手法になりました。
そして現在、私たち構造技術者も
ビルや家など建物の解析を
全てその新基準により行っています。
これは言い換えますと、
昭和56年以前に建てられた建物の多くが
安全性を確保できていないということなのです。
下の写真は、平成7年の阪神淡路大震災の時に、
調査等で出向き、自身で撮影した物の一部です。
セミナーでも使用しています。
三宮駅の南口をまっすぐに南下したところで、
すぐに目に飛び込んできました。
神戸市庁舎です。6階が層崩壊しています。
地震が早朝でなかったら、ここだけでも死者は
100名は下らなかったはずです。
手前の木造3棟が大破しています。
その向こうには、洗濯物を干し平然と暮らしている
新耐震の鉄骨造建物があります。
その相違に違和感を感じませんか?
決して鉄骨造だから強いのでは無く、
昭和56年以降に建てられた新耐震の建物であるから
壊れないのです。
自分の命、そして家族の命は自らが守らなくてはなりません。