ブラインドテクニックとは? | 草加ファミリー歯科・矯正歯科クリニックのブログ

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⚫︎ブラインドテクニックとは?

こんにちは。

草加ファミリー歯科・矯正歯科クリニックの小垣です。

口コミサイトは訳あって信用していないのですが、結構いろんなところで「ここは最新の医療機器がない」ですとか「最新の器具が揃ってる」等と書いてあるのをお見受けします。

CTとか拡大鏡(orマイクロスコープ)、セレック等のことを言っているのでしょうか。

私は、勤務医時代に都内の法人に属していた事があるのですけれども、そこの院長先生に

「治療を自費に持って行くには“拡大鏡”と“接遇”しかない」

と言われた事があって、治療論しか興味のなかった私としましては、結構インパクトがあったのを覚えております。

接遇に関しましては、患者さまは勇気を振り絞って治療に来て下さる訳ですから、それに対しての敬意としてであれば、それは必要だと私は思っております。

ただ、

拡大鏡に関しては、その当時、購入するように言われたので持ってはいますけれども、殆ど使っておりません。

それでどのような違いが出るのか、当時写真を撮っていましたので見比べて頂きたいところですが、残念ですが個人情報なので今回はお見せ出来ません。

「ジュラシックパーク」ですとか「男爵芋」とアダ名をつけていたので、それで察して頂ければと思います。

拡大鏡を着けておかないと院長先生に怒られるので、一応装着だけはしておりました。

けれども、そこから覗いて治療したことはほとんどありませんでした。私は視力が2.0だったので、メガネのようなものに慣れていなかったのもあります。

「歯を削った面のガタつきや粗さが良く見える」ということだったのですが、ガタつきに関しは器具でなぞると分かります。

また、仕上げの器具を使うことで最小限にとどめられますし、一筆書きのような処理をするのでそこまで問題となりません。

面の粗さに関しては、使用しているバー(ドリル)の表面性状やそれを廻す機器のブレに依存される部分が大きいので、拡大して見たところでどうにかなる話でもありません。手技の要因の方が大きいかと思われます。

何よりも、テーパーと呼ばれる角度に関することですとか、マージン形態と呼ばれる境目の処理が大事になります。

また、全体的なバランスが大事なので、拡大鏡で局部を拡大するとなると、かえってわかりにくくなることさえあります。

テーパーに関しましては、ある斜面と反対側の斜面の角度が10°くらいを越えると、途端に維持力が弱まると言われています。

富士山に帽子を被せたとした場合、横風で簡単に飛んでしまいます。

一方、卒業証書を入れるあの筒のようなものは、真上に引いてスポンッと抜かないと取れないです。

被せ物の維持については、そのようなイメージでお分かり頂けるかと思います。

条件にもよりますが、私はなるべく6°を心がけています。片面3°です。

60°であればかなり近くに斜面と斜面の延長線の交点が出来ますが、6°ともなりますと、斜面と斜面の延長線の交点はかなり遠くなります。

拡大してたら分かりません。

もちろん、それらの問題点を克服して有効に使っておられる先生もいらっしゃいますけれども、当時の院長先生の場合は

「接着剤が良くなってきているから被せ物の適合なんて関係ない」

と仰っていましたから、形成は不要との事でした。
そうだとすれば、何の為に拡大して見ているのかよく分かりませんでした。(冒頭の発言以外に)

ちなみに、適合は大事です。

その事については、それはそれはたくさんの理由があるので書き切れません。後日にさせて頂きます。

あくまでも私の意見になりますけれど、

拡大鏡を着けていると、いかにも最新っぽいのですが、治療の差を生むのはどうやらそこの差だけではないような気がする、と私は感じています。

とりわけ、神経の処置。または根の治療というようにお聞きしているかもしれない治療。

これは「ブラインドテクニック」等と称されています。

blind 見えない
technic 技術

くらいの和訳で差し支えないでしょうか。

見えない所に行う治療ということです。
筒の内側の処理ですから、手に取るように見渡せるかといえば、それはなかなか難しいです。

ただ、そのようにしなくても、歯牙解剖学や根管治療論等を駆使して行う事が出来ます。ちなみに私は、こちらはテーパー7°で処理しております。先細りにして、先端付近の圧が上がるようにしていますが、そのことによって緊密度が良好になるようにしています。

もし過去の治療が拡大鏡がないので駄目だと言うのであれば、拡大鏡がなかった時代は治療が出来なかったということになります。

しかし、過去の先人達は大変立派な臨床成績を残しています。

そして、そうでなければ、今日までその治療方法は続いていないと思われますし、あちらこちらで顔が腫れた方が歩いていると思います。

私は巨人ファンなので、また野球で例えてしまうのですけれども、

最新のバットを使えばホームランが打てるのではなく、その他の要素がホームランという結果に繋がります。

最新のバットを使った私よりも、普通のバットでもプロ野球選手の方が球を遠くに飛ばせる事と同じです。

拡大鏡を使うことのメリットは、

治療器具の破折片の有無
根管充填材の残存

を確認しやすい事だと言われています。
それでも根が曲がってしまっていれば、やはり全てを見ることは難しいです。

治療器具の破折に関しましては、レントゲンに写ります。
そして、それが除去出来るかどうかは見える見えないとは関係が薄いです。

根管充填材に関しましては、「100%の除去は不可能」という論文が数多く出ています。それを踏まえた治療の方が有意義だと私は考えています。

虫歯ですら見た目での判断はしてはならず、「う蝕検知液」という物で確認する必要がありますので、

根管内の汚染などは余計に見ただけでは分からないのではないか?と思っています。

くれぐれも誤解のないようにお願いしたいのですが、私がお話ししたような事をちゃんと実践して、本当に上手に治療をする先生はいらっしゃいます。

その上で、さらに臨床成績を上げたくて拡大鏡を取り入れて、実際に予後良好な治療をしている熱心な先生もたくさんいらっしゃいます。

私自身も、今よりも臨床成績を上げる必要性を感じれば、今後取り入れるかもしれません。
とても素晴らしい機器ですから。

ただ、あまり神経を取らないので今のところ困っていません。神経より適した歯の中に詰めておく材料がこの世に存在しないので、残す事を最優先しています。

また、「習熟」という観点から考えますと、あれこれと手を伸ばしていてはそれは生じません。
10年やってもまだまだ出来る事があると発見する毎日ですので、なかなか手を伸ばす気になれません。

そのように考えますと、まずはやはり基礎の徹底が大事だと思います。それを一つ一つ着実に行う事の方が、今は望ましいと感じているので導入は見合わせています。

本当に先人のようなお考えでやっておられるのか、

単にパフォーマンスでやっているだけなのか、

すぐには分かりにくいかもしれませんけれども、今回のお話で基準を持って頂ければ、それらの違いを見抜く力を伸ばして頂けるのではないかと思ってお話ししました。

このような事をお話しすると、こっぴどく怒られてしまう事もあるのですが、あなたが良い治療を受けて、あなたの歯を守って下さることが私の願いです。

本当に真面目な歯科医師はたくさんいます。
ですから安心して下さい。

たまにいるそうでない方により、お困りになっていらっしゃる方の為に、お役に立てればと思いお伝えしました。

くれぐれも誤解のないようお願い致します。
ご参考にして頂ければ幸いです。



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