●ルイス・ジョンソン評伝~ブラザース・ジョンソンのベース奏者、60歳で死去 | 吉岡正晴のソウル・サーチン

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●ルイス・ジョンソン評伝~ブラザース・ジョンソンのベース奏者、60歳で死去

【Louis Johnson Dies At 60】

訃報。

兄弟ファンク・グループ、ブラザース・ジョンソンの弟でベース奏者のルイス・ジョンソン Louis Johnsonが2015年5月21日、死去した。60歳。おそらくロスアンジェルスだと思われるが、死因など詳細はまだ不明。音楽ジャーナリストで友人でもあるスコット・ギャロウェイが明かした。

ルイス・ジョンソンはブラザース・ジョンソン時代、ラリー・グラハムばりのチョッパー・ベース(スラップ・ベース、ベースを叩いて音を出す奏法)で人気を博した。

ロスアンジェルスで、ギタリストの兄ジョージ・ジョンソンと組んで「ジョンソン・スリー・プラス・ワン」という名でバンド活動をしていたが、これがクインシー・ジョーンズに認められ、aクインシーのレコーディング、ライヴ、ツアーなどに帯同するようになった。1975年4月のクインシー・ジョーンズの来日公演で、当時はまったく無名だったジョンソン兄弟がステージで紹介されギターとベース・ソロをプレイ、観客を圧倒し、大きな話題となった。

弟ルイスは「サウンダー・サム(Thunder Thumbs)=雷のような(ベースを弾く)親指」、兄ジョージは「ライトニン・リックス (Lightnin’ Licks)=稲妻のフレーズ」というニックネームが付けられた。

その後1976年、クインシー直々のプロデュースで鳴物入りで『ルック・アウト・フォー・ナンバー・ワン』(1位を目指して)デビュー。いきなりゴールド・ディスクになる大ヒットへ。

ルイス・ジョンソンは、スライ&ファミリー・ストーンのベース奏者、ラリー・グラハムが開発したいわゆるベースを叩くスタイルの「チョッパー・ベース(スラップ・ベース)」を一挙に広めることになった。

その後もコンスタントにアルバムをだし、4作目のアルバム『ライト・アップ・ザ・ナイト』(1980年)から日本では「ストンプ」がディスコを中心に大ヒット。ダンス・クラシックとなった。

追悼文が多数寄せられている。

育ての親、クインシー・ジョーンズ
Boot- I simply cannot believe the news. Devastated. I love you so much. We did so much together and had such great times.
2:32 - 2015年5月23日

‏レニー・クラヴィッツ
Thank you for blessing me and the world with your original #funk. RIP #LouisJohnson "Thunder Thumbs" #brothersjohnson
21:23 - 2015年5月22日

ブッツィー・コリンズ
Another Brick in our music foundation has left the building. Mr."Louis Johnson" (April 13, 1955 - May 21, 2015)...
http://fb.me/45DRMNOUC
11:09 PM - 22 5月 2015

ルイスは自分がスタジオに呼ばれるときは、楽譜も渡されず、ただそのトラックを聞かされ、「好きに弾いてくれ」と言われることがほとんだったという。

またマイケル・ジャクソンの「ビリー・ジーン」のレコーディングのときには、10本のベースを持って行き、マイケルにどれがいいか選ばせたそうだ。マイケルは全部の音を聴き、一本ゼブラ柄の木でできたものを選んだ。それはルイスが改造したもので、独特の音がするものだった。

訃報。
Louis Johnson of Brothers Johnson, Michael Jackson bassist, dies at 60

By Daniel Kreps, Rolling Stone Updated 2232 GMT (0532 HKT) May 22, 2015 (日本時間23日06時32分)
http://edition.cnn.com/2015/05/22/entertainment/feat-obit-louis-johnson-brothers-johnson-rs/

R.I.P.- Louis Johnson Of The Brothers Johnson Has Died
http://www.iloveoldschoolmusic.com/r-i-p-louis-johnson-of-the-brothers-johnson-has-died/

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評伝。

1955年4月13日ロスアンジェルス生まれ。

兄弟グループ、ブラザース・ジョンソンの弟、ベース奏者。クインシー・ジョーンズに認められ、クインシーのアルバム、ツアーで兄とともに抜擢され、1975年4月、クインシー・ジョーンズ・オーケストラの一員として兄と初来日。またその頃レコーディングしていたクインシーの『メロー・マッドネス』(1975年8月全米リリース)に兄弟で大抜擢された。

さらに彼らはブラザース・ジョンソンとなり、クインシーの大々的なプロデュースで1976年『ルック・アウト・フォー・ナンバー・ワン』でデビュー。ここからは「アイル・ビー・グッド・トゥ・ユー」「ゲット・ザ・ファンク」「トゥモロー」などがヒット。この「トゥモロー」はのちにクインシーがてがける少年シンガー、テヴィン・キャンベルでリメイクされ大ヒットする。ブラザース・ジョンソンとなってからは、洗練されたファンクでヒットを多数出した。ブラザース・ジョンソンとしての来日3回のほか、セッション・ベース奏者としても来日している。

クインシー・ジョーンズに大変気に入られたことから、クインシーのレコーディング・セッションには必ず呼ばれるようになる。中でも、マイケル・ジャクソンの『オフ・ザ・ウォール』、『スリラー』での活躍ぶりは特筆もの。

マイケル・ジャクソン「ゲット・オン・ザ・フロア」『オフ・ザ・ウォール』から https://goo.gl/LqSAnn


マイケルがこれのデモ・テープを気に入り、アルバムに収録された。ルイスの名前もクレジットされている。

日本では1980年の「ストンプ」がディスコを中心に大ヒット。クインシー・ジョーンズ・プロデュースの他のパティー・オースティン、ジェームス・イングラム作品にも多数参加。

Strawberry Letter 23 - Brothers Johnson
https://www.youtube.com/watch?v=L07nHyDedAU



The Brothers Johnson - Stomp!
https://www.youtube.com/watch?v=gFl9i9crU20



1981年、ブラザース・ジョンソンとして5枚目の『ウィナーズ』リリース後、自身のバンド、パッセージをA&Mレコードからリリース。

その後、1985年、キャピトル・レコードからルイス・ジョンソン名義のソロ・アルバム『エヴリューション』を出す予定だったが、サンプル盤まで作られたが、発売中止になった。ただし、これがヨーロッパのみでリリースされた。

ブラザース・ジョンソンとしては、ほかに、1984年、『アウト・オブ・コントロール』(リオン・シルヴァーズ・プロデュース)、1988年『キッキン』を出した。

1970年代後半から、クインシー・ジョーンズのセッションのほか、グローヴァー・ワシントン・ジュニア、ジョージ・デューク、ジェフリー・オズボーン、アール・クルーなどの作品にも参加。セッション・ベース奏者としても多数のレコーディングに参加している。

Earl Klugh - Twinkle (feat. Louis Johnson)
https://www.youtube.com/watch?v=LLQtm5rotn0


ベース奏者として、ラリー・グラハム、スタンリー・クラークなどの次の世代として大活躍した。この後にマーカス・ミラー、ヴィクター・ウーテンなどがでてくる。一時期、大阪に住んでいたこともある。ちょうど先月還暦を迎えたばかりだった。

ブラザース・ジョンソンは、1975年4月のクインシー・ジョーンズ・コンサートで初来日。まだデビュー前だったが注目を集めた。デビュー後、1978年5月、ブラザース・ジョンソンとして初来日。以後、1979年5月、1981年5月と来日した。


来日時のプログラム。昔は、来日コンサートに必ずプログラムが作られた。

1983年11月、ジョージ・デュークの来日公演ではルイス・ジョンソンが帯同。激しいベース・プレイを見せ観客をわかせた。

また日本の松任谷由実、角松敏生らの作品でもベース・プレイを聞かせている。

一時期、日本人のガールフレンドがいて大阪に住んでいたこともある。

ジョージ・デューク・バンド・ライヴ・イン東京 1983年11月

https://www.youtube.com/watch?v=UVrgCPDDG1A



角松敏生「スペース・スクレイパー」
https://www.youtube.com/watch?t=75&v=TUu1-OkeYt0



ルイスのソロ。
https://goo.gl/Ux4nKW  


日本での最大のヒット「ストンプ」
https://goo.gl/srX6zo  


これもルイスだった。これはのちにウォーレンG・フィーチャリング・ネイト・ドッグの「レギュレート」でサンプリングされる
Michael McDonald- I Keep Forgettin
https://www.youtube.com/watch?v=cjqOsYRQI0o


そして、マイケルの「ビリー・ジーン」。
https://youtu.be/Zi_XLOBDo_Y



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同世代。

本当に訃報が多くて落ち込む。ルイスは完全に同世代で、初来日から見ているので、勝手にものすごく身近な感じがしている。1981年5月、インタヴューもした。なんといっても、目の前であのスラップ・ベースをやられると圧巻だ。

たぶん、ルイスのちゃんとした訃報は日本で一番最初に出したと思うが、出すなり、友人から電話がかかってきたり、リツイートが多数されたりと、反響がすごかった。それだけ、リアル・タイム、リアルに同世代のヒーローだったのだろう。

ご冥福をお祈りします。

(この項、改めて追悼記事を書こうかと思います)

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ブラザース・ジョンソン最初の5枚のアルバム。

1作目『ルック・アウト・フォー・ナンバー・ワン』
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2作目『ライド・オン・タイム』

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3作目『ブラム』

ブラム!
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4作目『ライト・アップ・ザ・ナイト』「ストンプ」収録。最大のヒット。(1980年)

Light Up the Night
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Brothers Johnson
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5枚目『ウィナーズ』(1981年)、これからクインシーが離れ、ビッグセールスにならなくなった
Winners
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6枚目『アウト・オブ・コントロール』 (1984年)

Out of Control
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ほかに7枚目『キッキン』、アマゾンにない模様。


マイケル・ジャクソン『オフ・ザ・ウォール』(1979年) 「ゲット・オン・ザ・フロア」はルイスが作曲にも加わってる

Off the Wall
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Michael Jackson
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クインシー・ジョーンズ『愛のコリーダ(The Dude)』(1981年)「愛のコリーダ」のベースもルイス・ジョンソン

The Dude
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OBITUARY>Johnson, Louis (April 13, 1955 – May 21, 2015, 60 year old)