昨日は22時頃まで図書館で仕事をしていたのだけど、強烈な睡魔に襲われて帰宅後は電気をつけることなく別途に轟沈した。深夜2時半に目が覚めてしまい、そこからずっと仕事のことを考えていた。色々と考えていたらアイデアが湧いてきたので、早速形に変えてみることにした。

結局、8時過ぎに買い物にスーパーに行った後はずっと仕事に没頭した。午前中は家で仕事して、午後から図書館で仕事。図書館に来るマネジャーさんたちから「ほどほどにね」と声をかけられるのはありがたいのだけど、赴任者のみなさんが安心して赴任するためにもこの仕事は手を抜けない…。「やらなきゃいけない仕事というよりは、「やっておいた方がよい仕事」だから、別に休日の今日やらなくてもよかったのかもしれない。それでも、アイデアが頭に浮かんできたから早く形にしておきたかった。今回浮かんだアイデアは、赴任者が申請しなければならない公的書類を一元管理するためのシートである。

サウジアラビアはという国はとにかく公的書類が非常に多い。私の場合は就労ビザで赴任をしたのだが、実は就労ビザの期限というのはたったの90日しかなく、期限後もサウジ国内で働くためには内務省が発行する居住許可証(IQAMA)が必要となる。そしてIQAMAだけではサウジ国外に出国し再入国ができなくなるので、Exit Re-entry Visaというものが必要となる。就労ビザ、IQAMA、Exit Re-entry Visaを取得するためにはスポンサーが必要で、このスポンサーの手続を行うのが現在の主要業務と言ってよい。

このスポンサーの手続というのが実に煩雑である。就労ビザを取得するためには、まず人材登用のためのリクエストを作成し、CEOの決裁をもらわなくてはならない。次に雇用契約書と在日サウジ大使館への招聘状に承認をもらい、商工会議所で公印請求する。これが完了するまでに少なくとも1カ月程度を要する。ちなみに雇用契約書と招聘状はアラビア語であり、しばしばこの文書に不備がある。私が最近巻き込まれたトラブルはこの文書の不備であった。ここまでがIK(In Kingdom)の仕事で、これ以降がOK(Out of Kingdom)の仕事となる。

日本に書類を送付し、ビザセンターを通じて在日サウジアラビア王国大使館領事部に就労ビザを申請する。(この際、健康診断書、犯罪経歴証明書、卒業証明書、会社推薦状なども提出する)。順調だと大体1週間程度でビザが発行される。もっとも、IKの作業もOKの作業も色々なトラブルがつきもので就労ビザを取得するまでには非常に長い時間がかかる。(私の場合、社内の事情もあり結果的に4か月半ほどを要した)。

サウジに入国した後、IQAMAとExit Re-entry Visaの申請に移る。まずは健康診断を受診し伝染病に罹患していないかを調べられる。その後、医療保険と社会保険の手続を経て、順調にいけば入国から1か月程度でIQAMAとExit Re-entry Visaを取得できる。もっとも「エンジニア」のタイトルでサウジ国内で働く場合はさらに別の手続が必要となる。(エンジニアの場合はSaudi Council of Engineersに登録しなければならないため、この手続きで1~2週間程度要する)。ちなみに私の場合、"Marketing Specialist"というタイトルで就労ビザを発行されており、この仕事以外でサウジに滞在することは不可能である。

不思議なのはExit Re-entry Visaと呼ばれるもので、IQAMA取得後にサウジ国外に出る場合は必ずこのビザが必要となる。通常ビザというものは入国のための書類と考える人がほとんどであると思うが、サウジでは入国のためにも出国のためにもビザが必要である。加えて、このビザの有効期限は90日間(シングルタイプの場合)であり、この期間内に出国をしない場合はキャンセル手続を行わねばならない。(キャンセルを怠った場合は罰金が発生する)。ちなみにそれなりの立場でないと、マルチプルタイプ(有効期間内の入出国制限なし)のExit Re-entry Visaを取得することは難しい。

他の湾岸諸国と比べてもサウジアラビアの就労ビザ取得要件は非常に厳しい。その背景には国内の失業問題(失業率は12~13%、20~40歳の失業率は30%)と不法就労問題(外国人労働者800万人のうち500万人が不法就労者と言われる)があるのだろう。外資による経済開発が重要としつつも、厳格な入国政策を採用しなければ自立的な経済を維持できないというジレンマを垣間見ることができる。