来年で入社から10年目を迎えるのだけど、最近よく就職活動の時に言っていた「10年後にこうありたい」と言ったことをよく思い出す。ほとんどの人は就職活動の時に自分が何を言ったのかなんて忘れてしまっているのかもしれないけど、私は今でも鮮明に覚えているし、折に触れてこれを確認するようにしている。就職活動をしていたのは今からちょうど10年前のことだから、「10年後にこうありたい」というものをある程度達成してなければならないはずだ。10年前私は次の3つのことを考えていた。

①「しんどい疲れ方」ではなく「心地よい疲れ方」をする。
②誰に対しても自分の仕事に誇りを持って熱く語れるようにする。
③会社や部署が自分の修飾語になるのではなく、自分自身が会社や部署の修飾語になるようにする。


入社してからの8年間を振り返って、①と②については実現できた時期もあったし、実現できなかった時期もある。③については残念ながら未だに実現できていないと思う。

入社してからの8年間は本当に色々なことがあったと思う。現在勤務しているサウジアラビアに来るまでは必ずしも希望の部署や希望の仕事をできたわけではない。(今のプロジェクトに参加した昨年の11月までは何一つ希望がかなったことはなかった)。ただ、希望しなかった部署・仕事でくさったこともあれば、楽しんで仕事をできたこともあった。常に希望の部署に配属されるわけでもないし、楽しんで仕事ができるわけでもない。

OB訪問を受けるたびに話していることだけど、仕事とパフォーマンスの関係は大きく次の4つに分けられると思っている。

①やりたい仕事で結果を出せる。
②やりたい仕事で結果を出せない。
③やりたくない仕事で結果を出せる。
④やりたくない仕事で結果を出せない。


最も理想的なのは①であるのは想像に難くない。では、最悪なのはどれだろうか?一見④と思いがちだが、私は②であると思う。「やりたくない仕事で結果を出せない」のは当たり前であると思う。だから、正直言ってしまうと「諦め」がつく。だが、「やりたい仕事で結果を出せない」ということほどつらいものはないだろう。やることなすことが全て空回りに終わり、会社にも同僚にも迷惑だけをかけ続けるという状況である。この状況に陥ってしまった人は、やがて会社を去らねばならなくなるだろう。

私自身、幸運だったのはこの8年間で②以外の状況を全て経験できたことかもしれない。順番としては④→③→①という順番である。段々良くなっていっているというあたりに運の良さと、ある種の「成長」を見ることができるのかもしれない。④と③の状況にあった時、鬱に近い状態になったり、不眠症に陥ったりもした。成功よりもはるかに多くの失敗の方が多かったと思う。それでも就職活動の時からの「志」である「サウジアラビアでのプロジェクト参画」を絶対にあきらめなかった。

2007年に当時内閣官房に勤務されていた鈴木英敬さん(現三重県知事)とお話をする機会に恵まれた。その時に彼が言っていた「志のメンテナンス」という話を覚えている。

「自らの志を大事に。しかし、あせらず。でも絶対にあきらめず。長く、ゆっくり、丁寧に、そしてやさしく。必ず見てくれている人はいます」

この言葉の通り、志を大切にしてきたし、あせることもなかったし、何よりも絶対にあきらめなかった。長く、ゆっくりと時間をかけた。丁寧で、やさしくあったかどうかはわからないけど、たぶん見てくれていた人がいたのだと思う。

ようやく入社前からの希望がかなってサウジアラビアの地に来た。希望していた仕事だけれども、当然楽しいことばかりではない。プロジェクトの特殊性ゆえに様々な問題が山積している状況だけど、もがき苦しみながらも色々な人に支えられて少しずつではあるけどプロジェクトは前に進み、その末端を担えていると思う。このプロジェクトが何年で終わるかはわからないけど、できることならば最後の最後までいたいと思う。そのためには色々なことで苦悩しなければならないと思うけど、人生でひとつくらい「これをやり遂げた!」というものを持ちたい。