最近様々な事件や事故が起こりすぎているからか、わずか1ヶ月前の出来事であってもかなり昔のことのように錯覚してしまう。備忘録的に2016年7月~9月までに中東地域で起きた事件、事故のヘッドラインをまとめてみた。いずれも私が利用しているセキュリティ会社から自動配信されているものであり、もちろん中東地域すべての事件、事故を網羅しているものではなく、あくまで主要なものに限られる。(たとえば7/4にサウジアラビアのジェッダ、カティーフ、メディナで起こった小規模なテロは扱われていない)。速報ベースであるため、実際の死傷者数についてはここで記載されているよりも多くなっている点に留意されたい。

以下、ヘッドラインを羅列するだけでそれぞれの事件、事故についての価値判断は一切行わない。この一覧を見て、読者は何を感じ、何を考えるだろうか?なお、全ての情報は日本語で、時事通信から配信されていることを強調しておきたい。つまり、決してここで羅列する情報が日本国内で伝えられていないというわけではないのである。

 

2016年7月

7/3 自爆テロで75人死亡=バグダッド首都

7/3 空爆で43人死亡=シリア首都郊外

7/6 自爆テロで16人死亡=シリア

7/6 自動車爆弾で兵士7人死亡=過激派が基地司令部占拠-イエメン

7/8 シーア派施設襲撃、20人死亡=イラク

7/8 空爆で民間人15人死亡=シリア

7/8 反体制派砲撃で25人死亡=政権側も空爆、停戦無視-シリア

7/13 空爆で民間人31人死亡=シリア

7/16 クーデター失敗=軍反乱部隊が決起、死者100人以上-政府、鎮圧へ全力・トルコ

7/21 非常事態宣言を発令=トルコ大統領

7/22 地下から爆破、38人死亡=反体制派、アレッポで反撃-シリア

7/23 自爆テロ、61人死亡=ISが犯行声明-アフガン首都

7/24 自爆テロで15人死亡=シーア派標的か、ISが犯行声明-イラク首都

7/25 ロケット弾で8人死亡=反体制派が攻撃-シリア首都

7/27 爆発で44人死亡=シリア北東部

7/28 攻撃で市民16人死亡=シリア北部のアレッポ

7/29 IS、民間人24人殺害=シリア

 

2016年8月

8/2 反体制派が砲撃、民間人28人死亡=内戦続くシリア・アレッポ

8/3 着陸後、旅客機から煙=UAE

8/9 首都空爆再開、14人死亡=和平交渉中断-イエメン

8/10 病院火災で新生児12人死亡=電気系統の故障原因か-イラク

8/11 爆弾テロで8人死亡=クルド武装組織の犯行か-トルコ南東部

8/12 IS、2000人拉致か=シリア

8/14 空爆で子供10人死亡=イエメン

8/16 ISが反体制派50人殺害か=シリア

8/16 病院に空爆、11人死亡=イエメン

8/17 2日連続でイランから出撃=シリアのIS拠点空爆-ロシア軍機

8/18 PKKの自動車爆弾爆発、3人死亡=トルコ

8/18 警察前でまた爆発、3人死亡=クルド勢力の犯行か-トルコ

8/18 爆発相次ぎ警官ら10人死亡=クルド勢力の犯行か-トルコ東部

8/19 クルド人居住区に空爆、数十人死亡=シリア

8/21 爆発で8人死亡=トルコ

8/24 首都で大学襲撃=爆発後に銃撃戦か-アフガン

8/25 IS支配シリアの町制圧=作戦開始から14時間-トルコ軍主導

8/26 自動車爆弾で警官8人死亡=クルド勢力の犯行か-トルコ南東部

8/28 トルコ攻勢、市民35人死亡か=クルド勢力と衝突激化も-シリア北部

8/29 自爆攻撃で60人死亡=イエメン

 

2016年9月

9/5 爆発相次ぎ18人死亡=同時テロの恐れ-シリア

9/5 連続自爆テロで24人死亡=タリバン、国防省標的-アフガン

9/11 イドリブ空爆の死者、50人以上=シリア

9/12 自動車爆弾で48人負傷=トルコ東部

9/16 政権側空爆で3人死亡=停戦発効後初の死者-シリア

9/17 空爆で83人死亡か=シリア

9/20 シリア停戦「終了」=空爆で32人死亡、支援車両被弾

9/21 診療所空爆、医師4人死亡=国際医療組織が非難声明-シリア

9/22 空爆で民間人20人死亡=イエメン

9/23 空爆激化で70人死亡=政権、ロシア軍が攻撃-シリア北部

9/27 トルコ南部ホテルにテロ脅威=米領事館

9/27 シリア軍、地上作戦本格化=アレッポ中心部で進撃

9/28 自爆テロで計17人死亡=イラク

 

冒頭でも書いたとおり、7/4にサウジアラビアのジェッダ、カティーフ、メディナで起きたテロは比較的小規模のものであったことから速報では扱われなかった。過去にテロが起きたことのあるジェッダとカティーフはともかく、メッカと並ぶ聖地であるメディナでテロが起きたことは衝撃であった。メディナにはちょうど同僚のサウジ人の実家があり、彼に聞いた話では、現場は彼の叔父さんの家のすぐ近く であり、叔父さんの家にも警察が訪れたとのことである。

 

また、9/25にはヨルダンのアンマン市内でキリスト教徒の漫画家が裁判所の前で狙撃され、死亡している。私はこの日ちょうどヨルダンからサウジに帰るところでクイーン・アリラ空港でチェックインを待っている時にアル・ジャジーラの速報で事件を知った。すぐに事件現場をGoogle Mapで確認したところ、滞在していたホテルから車から5分ほどの場所であった。中東では「テロ」というものが確実に「日常」に浸透してしまっているのが現実である。

 

最後になったが、私のサウジアラビア赴任は終わりを告げ、来週には日本に帰国することになった。今後も日本から中東を考えることを続けてゆきたいと思う。