人は本能的に骨髄や脳を好む 1920年代に行われた食に関する実験 | ニートは正社員より強し

ニートは正社員より強し

拙者、無職侍。自分に嘘ついて労働する者を成敗いたす!
法律を守らないブラック企業と戦うブログ 絶対にブラック企業を許さない!

1920年代、ある小児科医が少し変わった「孤児院」を経営していた。その目的はただ一つ、詳細かつ長期間に渡り、赤ちゃんに食べたいものを好きなだけ食べてもらうという奇妙な実験だ。

 その結果、最も好まれる食材は動物の骨髄や脳であり、野菜は不人気であることがわかった。また、好き嫌いをしていても皆健康に成長したこともわかった。


米イリノイ州シカゴで、カナダ人小児科医クララ・デイビスが運営していた孤児院は給食プログラム実験も兼ねられていた。

 今日でも議論の対象となる実験だが、当時貧しかった夫婦や未亡人は子供に十分食事を与えることができず、愛する子供にどうにか食事を与えようと、この施設に子供を預けたのだ。このプログラムは、離乳直後で、それまで食事をしたことのない赤ちゃんのみを対象としていた。子供たち施設内で厳格に管理されており、きちんと面倒をみてもらえた。唯一変わっていたのが食事である。


食事の時間になると、子供たちは椅子に座った保育士が待つ部屋に連れて行かれた。子供たちには34品の食事が供された。食事は各々皿に盛り付けられ、1対の牛乳といくつかのスプーンも用意される。子供たちは幼すぎて何も分かっておらず、どれが食べられるのか理解する前に、スプーンや皿を齧ることもあった。

 食事は水、新鮮なミルク、酸乳、オレンジジュース、野菜はビート、エンドウマメ、人参、ほうれん草など、炭水化物は大麦粉、コーンミール、ライ麦パン、たんぱく源として内臓肉、鶏肉、牛肉、骨髄、脳、魚などが与えられた。子供たちは食べたいものを好きに選んで食べることができる。子供たちが食べたものや残したもの、こぼしたものが保育士によって記録された。

一番人気のあった食材は動物の骨髄と脳

 この実験には15人の子供が参加していた。その結果子供たちに一番人気があったのは、骨髄で、脳もかなり人気があったという。だが、野菜やパイナップルは不人気だった。好き嫌いの自由が効くため、栄養に偏りがあるかと思われたが、子供たちは実験中、健康に成長したという。

 当時、”理想の子育て”という凝り固まった観念があり、様々な医師たちが献立に関する本を執筆していた。レシピには1オンス(約30g)の4分の1まで記載されており、穀物や野菜が中心だった。

 だが、当時センセーショナルだったデイビスの研究により、本能的に求める食材さえ与えれば、子供はそれぞれの好みに従っていても、きちんと成長することを証明してしまったのだ。

 そして特に人が栄養源として本能的に求めるものは、動物の骨髄や脳であるということをも証明してしまったことにもなる。


彼女の実験は未だに専門書および一般書において議論されている。収集された実験データの量にはばらつきがあり、また当時栄養について理解がほとんど進んでいなかった(ビタミンの幾つかは発見すらされていなかった)という問題もある。だが現在は人権の問題もあり、人間の赤ちゃんを対象とした同様の実験をすることは不可能だ。

 それでも、本能的に求める食材を好きなだけ食べることで子供が健やかに成長しており、かつ食べすぎることもないことを、デイビスの実験は確かに実証しているのだ。