愛着理論の専門家各氏の提案する親子間の愛着形成の仕方(子供への愛情の注ぎ方)に共通する点は主に次の事柄でした。
スキンシップを図る
子供を見る
子供に微笑む
子供の話をうなずきながら聞く(共感する)
子供に穏やかな口調で話しかける
小さなことから褒める
⑦以上の中でやると決めたものは、気分でやったりやらなかったりしない

 なお、愛着を形成するためのこれら7つの方法を「安心7支援」と命名しておきたいと思います。この支援の詳細については「【愛情の基本】 〜子どもとの愛着を形成する“母性”の働き『安心7支援』(https://ameblo.jp/stc408tokubetusien/entry-12365150177.html)」をご参照ください。

   前回紹介した記事のケースのように、小学校や中学校になってから愛着形成をやり直す、つまり「育て直し」をするということは、乳児期に行った方法と同じ愛着形成の方法をもう一度やり直すということです。ただし、①については、「育て直し」の場合は、「子どもを見守る」と考えた方がいいでしょう。
   気をつけなければならないのは、スキンシップに関わることです。③から⑦の方法は、思春期になっても乳児期と同じようにできますが、ことスキンシップについては、少し認識の転換が必要です。いわゆる「赤ちゃん返り」と言う言葉もありますが、10歳を過ぎた子供でも、まるで幼児のようにベタベタと抱きついたり、抱っこをせがんできたりする場合があります。この時に「もう赤ちゃんじゃないんだから…」と、子供からのスキンシップを断わると、子供は「自分は拒絶された」と意識してしまい、“育て直し”が失敗することがよくあるそうです。子供がどんな甘え方をしてこようとも、その気持ちを受け止めてあげる必要があります。
   ちなみに、前々回、「“口うるさい親”に対して子どもが抱いた殺意」という記事(http://s.ameblo.jp/stc408tokubetusien/entry-12180110548.html)を投稿しましたが、③〜⑤はそんな親にならないための支援です。③と④は、子どもが反発する親からの余計な“刺激”を軽減しますは、親から子どもに指示する量よりも、子どもからの話を聴く量の方が多くなるように努めます。親が子どもの話を聞いてあげることで子どもとの“絆”が深まります。
   以上の方法を日常的に意識すれば、仕事を辞めてまで子供の世話に当たる必要はないと思います。たとえ短い時間でも、子供と接する時に常に上記の方法を意識して接すれば、問題は緩和していくと思います。
   もしも仕事を辞めて子供にいつも寄り添う生活になると、思春期の子供は帰ってうっとうしく思う時もあるのではないでしょうか。精神科医の岡田氏は、「子育ては“量より質”なのです」と主張しています