再エネは供給が不安定で 「ベース電源には不向き」と、原子力ムラに肩入れする政・官・財の関係者は口を揃えるが・・

日本には、原発27基分もの発電(蓄電)能力を有する巨大蓄電池=揚水発電所が存在している。
しかし何故か?、電力各社は殆ど利用していない。

数年前に起きた、北海道でのブラックアウト後の電力不足でも、揚水発電がクローズアップされています。
北海道、綱渡りの電力供給=節電長期化も、揚水発電という切り札が・・

北海道大停電 もし 泊原発が稼働中だったら、震度7が苫東厚真ではなく泊原発だったら・・
【稼働中の原子炉には超高温の核燃料が・・
果たして、全電源喪失に直面した泊原発は、無事に冷温停止できただろうか?

震度7の揺れに、泊原発は耐えられただろうか? 
配管は、冷却装置は、非常用電源設備は、無事でいられただろうか?】


 PRESIDENT Online
今のままでは宝の持ち腐れ…「電力会社が原発27基分の発電能力を死蔵している」という不都合な真実
再エネの欠点を補完する"揚水蓄電"という切り札


【なぜ日本では再生可能エネルギーの活用が進まないのか。東京大学の丸川知雄教授は「再生可能エネルギーの活用には、出力の不安定性と高い蓄電コストというネックがあるが、日本にはこの2つの課題を解決する揚水発電所が原発27基分もある。揚水発電のインセンティブを設計しなおすべきだ」という――。

中国にも後れを取っている日本の再エネ
日本政府は、わが国の二酸化炭素の排出量を2030年には2013年の半分近くに削減し、2050年には実質ゼロにすることを国際的に約束した。だが、その約束の実現に向けての足どりはきわめて心もとない。経済を落ち込ませないという前提の下で排出削減を実現するには、二酸化炭素を排出しない太陽光、風力といった再生可能エネルギーや原子力発電への切り替えを進めるしかない。

しかし、原発に関しては福島第一原発の事故によってその安全性に大きな不安が生じたため、今後の新設は難しく、既存の原発の再稼働や置き換えを進めるのがせいぜいであろう。となると頼みは再生可能エネルギーということになるが、日本は再エネへの転換において諸外国に後れを取っている。

2021年時点で日本の発電源に占める風力や太陽光など再エネの割合は12.8%で、イギリス(37.7%)やドイツ(37.2%)などヨーロッパの先進国に大きく水をあけられているだけでなく、トランプ政権時代には温暖化対策に消極的だったアメリカ(14.2%)や、温暖化対策に日本ほど踏み込んだ約束をしていない中国(13.5%)よりも低いのである。

発電量が不安定かつ蓄電コストも高い
再エネは自然の風や日照を頼りとするため、人間の都合で発電量を増やしたり減らしたりできない点が難点である。私の家の屋根でも太陽光発電をしているが、春、夏、秋は太陽光発電で家に必要な電気はすべて賄ったうえでもなお電気の余剰がある。ところが冬になると、わが家では暖房に電気を用いているうえ、熱が逃げやすい構造をしているので、屋根からの電気では到底間に合わず、大量の電気を購入せざるをえない。

こうした再エネ固有の難点は蓄電ができれば克服できる。蓄電というとまず蓄電池を思い浮かべる人が多いだろうが、蓄電池は高価なのが難点である。実はわが家でも大枚はたいて蓄電池を据え付けたのだが、天気のいい日ならば昼間ためた電気を夜使うことでほぼ一日中電気を買わずに済むものの、天気のいい日の余剰分を雨降りの日までためておくことはできないし、まして秋までの余剰分を冬使うこともできない。

巨大で融通の利く、優れた蓄電池
実は再エネの難点を克服できるすばらしい蓄電設備が日本には膨大に存在する。それは揚水発電所である。

その原理は水力発電と同じで、ダムによって作られた貯水池に水をためておき、電気が必要なときに放水してタービンを回して発電する。普通の水力発電所と違うのは、ダムの下流にもう一つの貯水池があり、電気を使ってその下流の貯水池の水を上流の貯水池に汲み上げることができるようになっていることである。

つまり、電気が余っているときに余剰電力を使って水を上流の貯水池に汲み上げておけば、電気が足りないときに貯水池の水を流して発電できる。水はある程度は蒸発するとはいえ、かなり長期間ためておくこともできるので、揚水発電所は巨大でかつ融通の利く優れた蓄電池だということができる。

原発27基分の揚水発電所があるのに…
この優れた蓄電施設を日本は現在2754万kW分も持っている。原発は1基100万kWなので原発27基分に相当する。日本の一般の水力発電所は全部で2216万kW分存在するので、一般の水力発電所より揚水発電所の能力の方が大きいのである。

揚水発電所は北海道から九州まで全部で42カ所あり、全国の9電力のうち北陸電力を除く8つの電力会社、および電源開発と神奈川県が保有している。

これだけの能力があれば、風力や太陽光の発電所が発電しすぎて電気が余っているときには揚水発電所で水を汲み上げてためておき、風力や太陽光の電気が少ないときには放水して発電することによって、再エネ固有の難点を克服することができるはずである。

ところがこの優れた施設がさっぱり活用されていないのである。図表1は揚水発電所と一般の水力発電所の稼働率を示している。なお、ここでいう「稼働率」とは、それぞれの発電所の最大出力で1年365日24時間稼働し続けた場合に生み出される電力量と、実際に生み出された電力量とを比べたものである。

一般の水力発電所もダムに貯水できる水の量によって発電できる電力量は制約されるため、稼働率100%ということはありえず、ここに示した40%前後という数字がほぼフル稼働の状態に近いとみられる。

揚水発電所の場合も、水を汲み上げている時間帯は当然発電しないから、稼働率はどんなに高くても5割を超えることはないだろう。それにしても、揚水発電所の稼働率は2016年には3.2%、2020年には4.6%と極めて低く、宝の持ち腐れ状態にある。】一部抜粋