東電元会長らは、御前会議で示された巨大津波襲来への警鐘を無視し、何らの事故回避策も取らず、結果として福島第一原発事故を起こした責任は重い。

しかし、一審に続き二審でも、国策無罪の高い壁を切り崩すことは出来なかった。

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御前会議に於いて、巨大津波襲来で過酷事故が起きる可能性を指摘されながら、何らの対策も講じなかった東電元会長らの不作為は、未必の故意と認定できると思うのだが・・

未必の故意
読み方:みひつのこい
【未必の故意は法律用語であり、「行為者が自らの行為から罪となる結果が発生することを望んいるわけではないが、もしそのような結果が発生した場合それならそれで構わないとする心理状態」を意味する概念である。「未必的故意」ともいう。

あえて大雑把に「未必の故意」を分かりやすく言うとすれば、「もしかしたら、これで誰かが死ぬことになるかもしれない、でも、まあ別にいいや」という心境が、未必の故意である。】

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原発事故 巨大津波の予測困難?東電の“未必の故意”認定せず不起訴??


 時事通信ニュース 2023-01-18 19:40
東電元会長ら、二審も無罪=巨大津波、予見性認めず―原発事故巡り強制起訴・東京高裁
【東京電力福島第1原発事故を巡り、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電元会長勝俣恒久被告(82)、原子力部門トップを務めた元副社長武黒一郎(76)と同武藤栄(72)両被告の控訴審判決が18日、東京高裁であった。細田啓介裁判長は「地震前に津波が襲来する現実的な可能性の認識があったとは認められない」と判断。いずれも無罪(求刑禁錮5年)とした一審東京地裁判決を支持し、検察官役指定弁護士の控訴を棄却した。
 争点が共通した株主代表訴訟では昨年7月、東京地裁が勝俣被告ら3人を含む旧経営陣4人の過失と事故との因果関係を認めて13兆円余りの損害賠償を命じており、民事裁判と判断が分かれた。
 指定弁護士は、勝俣被告らが2008~09年、津波地震を予測した政府機関の「長期評価」を根拠に試算した「最大15.7メートル」の津波が襲来するなどと報告を受けながら、対策を先送りし事故を招いたと主張した。
 細田裁判長は冒頭、一審が「原発の運転停止措置を講じるべき津波の予見可能性は認められない」とした点について「不合理なところはなく、相当だ」と述べた。 
 その上で、津波試算の根拠となった「長期評価」の信頼性について検討。津波地震の発生確率が「やや低い」と記載され、規制当局の旧原子力安全・保安院や一般防災にも取り入れられていなかったことなどから「10メートルの敷地高を超える津波が襲来するとの現実的な可能性を認識させるような性質を備えた情報だとは認められない」と指摘した。
 原発の運転停止は「事故回避策として重い選択であり、高い予見可能性が求められる。電力事業者は漠然とした理由では止められない立場だ」と言及。防潮堤の設置、主要建屋に浸水対策を施す水密化などで防げたとする指定弁護士の訴えは「試算と実際とでは津波高、浸入方向などが大きく異なり、対策を講じても奏功したとの証明がない」として退けた。
 勝俣被告らは11年3月、事故により双葉病院や施設の入院患者ら44人に避難を強いて死亡させるなどしたとして強制起訴されていた。

 
 ◇東電強制起訴を巡る動き
2002年7月 地震調査研究推進本部がM8級の津波地震を予測した「長期評価」公表
 08年 3月 東京電力側が長期評価に基づく津波高を「最大15.7m」と試算
     6月 原子力・立地本部副本部長の武藤栄氏に土木グループが試算報告
     8月 同本部長の武黒一郎氏に武藤氏らが試算報告
 09年 2月 勝俣恒久会長出席の会議で「14m」と幹部発言
 11年 3月 M9.0の東日本大震災。福島第1原発事故発生
 12年 6月 告訴団が勝俣氏を含む東電幹部ら33人を刑事告訴
 13年 9月 東京地検が全員を不起訴
 14年 7月 検察審査会が勝俣、武黒、武藤3氏を「起訴相当」
 15年 1月 地検が再び不起訴
     7月 検審が2回目の起訴議決
 16年 2月 指定弁護士が勝俣氏ら3人を強制起訴
 17年 6月 東京地裁で初公判。3人が無罪主張
 19年 9月 地裁が3人に無罪判決
 21年11月 東京高裁で控訴審始まる
 22年 6月 控訴審第3回公判で結審
     7月 株主代表訴訟で東京地裁が勝俣氏ら4人に13兆円余りの賠償命じる
 23年 1月 東京高裁で再び無罪】