全く学んだことが無い、フェミニズムの本を読みたいと思った理由から書きますね。
子供のころから肌感覚で「こうであるべき」と思っていたことがあります。例えば
・結婚して女性だけ姓が変わったり生家を離れなければいけないのは間違っている
・結婚したら女性だけ仕事を止めるのが普通って間違っている
・性教育と、避妊や妊娠中絶へのアクセスが容易い事は重要
…
法的には一見平等でも、社会の“常識”としてそうなっていない事。そもそも女性の権利を軽視しているので法整備が遅れている事。
“男の子らしい”視点として問題だと思っていたのは。
・正規労働者の異常な長時間労働
・母・妻など“専業主婦”がサポートしないと生活できない働き方
…
女性や子供や家庭に負担を押し付ける、仕事が家庭の搾取を前提にしている仕組みに自ら参加する事への抵抗感は、わたしがフルタイムでの仕事がなかなかできなかった大きな理由でした。
こういった諸々の問題。日本ではわたしが子供のころと比べて、ほんの少ししか前進していません。驚くほど少ししか。変えられなかった世代の責任として、今更ながら少しフェミニズムを学んでみたかった。
それに、去年から来年にかけては、日本の女性にとってすごく重要な時期なんだと思う。例えば、MeTooは日本では低調だったけれど、不備だらけの強制性交等罪への反発からフラワーデモが継続的に行われていたり(その強制性交等罪の見直しの予定は来年の予定)。
去年からは、個人的に日本のフェミニズムに幻滅してしまっています。だからこそ、このタイミングでフェミニズムの古典的良書を読んでみるべきかなぁと思って手にしたのがこの本でした。
フックスの定義によると「フェミニズムは性差別と、性差別的な搾取や抑圧を終わらせるための運動」です。
性差別が敵、なので必ずしも男性が敵ではないし、逆に性差別的・構造的な抑圧を維持しようとするならば女性でも性差別者だとフックスは言います。
そして、黒人女性と言う立場から、アメリカのフェミニズムが当初内包していた人種差別や、社会階級差別などを厳しく批判しています。
その上でフェミニズムの価値や社会への働きかけを提唱しているのですが、とってもコンパクトな本だけど、読みやすくて勉強になります。早く日本語版の新翻訳と再販がされると良いと思います。
わたしの感想。アメリカのフェミニズムの力強さはある意味で社会の多様性に支えられているんだなって事でした。
もうちょっと色々な本を読んでみたい。とりあえず次はジュディス・バトラーの「ジェンダートラブル」かな。
本当は、わたしは共感できなそうなマッキノンとかもそのうち読んだ方が良いんだろうけど、今はまだ無理。
最後に、わたし自身はフェミニズムの思想には共感する部分が非常に多いけれど、それって「フェミニズム」と銘打つべきものなのかって言う子供のころからの違和感は拭えませんでした。
女性が立ち上がって社会の問題点を可視化した時の運動の呼称としては分かりやすいと思います。でも、上手く言えないんですけど、思想的に共感できるはずの多くの男性に当事者意識を持たせにくい呼称な気がするんですよね。
女性を中心とした思想の柱と、社会改革を目指す個々の運動の名称は別、って言う事なのかなぁ。