イギリスは、わたしが20代半ばに過ごした国で、色々と思い入れのある国です。

 

労働党政権下での企業国有化の影響で経済的競争力を失った(同時に「ゆりかごから墓場まで」の福祉国家になった)後の、保守党サッチャー政権下の時代でした(年齢計算禁止!)。

 

いま思えば、IRAの爆弾事件、人頭税騒動、湾岸戦争なんかで街はザワザワしていたけれど、それでも良い意味での個人主義が浸透した暮らしやすい社会だったと思います。

 

個人的にも、素敵な思い出がたくさんあります。

 

そんなイギリスに対して、ちょっと「あれ?」と言う違和感を感じ始めたのは、町中に大々的に監視カメラが設置されたニュースでした。

 

 

 

思えば、大好きだったイギリスでもわたしがいた当時からゆっくりと、でも確実に変化は始まっていたんだと思います。イギリスで街頭カメラが設置され始めたのは、わたしが滞在していた時代でした。

 

今では、EU離脱や何やかやと、社会全体が大きく保守化・右傾化した印象があります。

ブレグジット解説記事

 

外野から見ていると、社会の分断もあるけれど、社会全体のセンターが右に寄ったところで分断されている感じを受けます。

 

 

 

そんな中、先週公開されたのがイギリスの高級紙「The Guardian」のトランスフォビア扇動記事でした(英文)。

ガーディアン(英)のトランスフォビア記事

(簡単に説明すると、トランスジェンダーの権利を認めることは女性の人権・安全を侵害するという主張の記事)

 

イギリスの新聞は、タブロイド判の大衆紙(労働者・中産階級向け)と、新聞サイズの高級紙(上流階級・知識階級向け)に分かれています。

 

その中でも「The Guardian」は左派の高級紙の代名詞的な存在です。

 

イギリスは、現在世界で進行中のトランスフォビア扇動の中心地でもあるので、とうとうこうなったかと言う感じですが、さすがにガーディアンでもこういう記事が出ているのはやっぱりショックでした。

 

イギリスでは左派の知識人の間でも「トランスジェンダーを権利を認めるべきか議論」することが正当化されつつあると言う事ですから。

 

上の記事だけだと、あまりにも救いが無いのでこちらも(英文)。

ガーディアンのスタッフ有志の抗議文

 

 

 

そんな事を眺めつつ日本の現状を振り返って、社会がゆっくりとおかしな方向に変化している時に、この程度は…と軽視してはいけないんだと、改めて思いました。

 

個人はすべての問題に常に声をあげられるとは限らないけれど、出来る時には声を上げる必要がある。後になって悔やまないためにも。

 

そんな事を思いました。