文字通り、医者に「命を預ける」です。

 

患者さんのために僕らは寝る時間も食事の時間もプライベートも、何もかも捨てて目の前の治療にあたってきてます。

 

開業医になった今は診療時間ってのが決まってますが、それでも時間外やプライベートで何らかの病人に遭遇したら、体が勝手に動いてしまう、それが僕ら医者という人種だし誇りとやりがいのある部分でもあります。

 

これは、僕らは若手のころにそういった「医師のありかた」ってのを徹底的に叩き込まれたからに他なりません。

 

「寝る時間を削って仕事、遊ぶ時間を削って勉強」

当たり前のように教えられたし、その上司たちも皆そういうスタンスでした。

 

患者のために文字通り僕らも命を張ってます。

 

 

ところが現在は、僕らくらいの医師が若手に「こういった」指導をすることはご法度です。

 

間違っても「命を張れ」とは言えません。

 

「そういう指導はダメ」と国が明確化してしまったからです。


働き方改革、じつにステキな制度だ。

 

 

ゆえに今後は、患者のために命を張って心血を注ぐ、こういうスタンスの医者は消えていくでしょう。

 

「命を預かる」という自覚のない医者、それはその医者が悪いわけじゃないの、そういう育てられ方・教育方針になっちゃってるから仕方ないことなんです。

 

 

でも、じゃあ果たして自分が病気になった時を考えちゃう。

「あなたの治療のために僕は心血を注ぎますから、どうか命を預けてくれ」という医者がいなくなったら、この人なら命を預けてもいいと思える医者がいなくなったら、、、うかうか病気になってられない気持ちになるのは僕だけでしょうか。

 

 

なんにせよ「根性論はもう古い」で育ってしまった若手医師は、心血注いで患者の命を救ったときの医師として極上の満足感とやりがい感が味わえないわけで、それを知ってる僕らからすれば可哀想だなとも思うよ。