ベースの次は、人がもっとも聴く「ボーカル」です。
これもまずはあなたが心地よいと思う音を作りましょう。
イコライザー→コンプレッサー→リバーブは必須です。
ちなみに、コンプレッサー→リバーブの順だと音が綺麗になります。
(リバーブが潰れずに綺麗にかかるので)
リバーブ→コンプレッサーだと、古い録音のような味が出ます。(エコーのかかったスタジオで、高い音圧で収録したような音になる)
これは曲との相性や、好みで決めてください。
この他に、場合によってはディレイ、エンハンサー、ボコーダーなども登場するでしょうが、それはあなたが好きな音にするという意味で、自由に組み合わせれば良いと思います。
みんな歌を聴きますから。
それが心地よいのは最重要です。
まず、イコライザーで最も意識するべきは低音です。
ある程度好きな音に整えたら、ボーカルとベースだけを鳴らして、調和を見ます。
先述(第一回)の通り、ベースの音質はもう触りません。
ボーカルの低音域のカットだけで抜けを調整します。
何ヘルツからカットするのが良いか、
どれくらい(何デシベル)カットするのが良いか。
それぞれにベストポイントが一つだけあるはずです。
ベストポイントとは、ベースがくっきり聴こえて、ボーカルも音痩せしていない、というポイントです。
ボーカルがどの程度低音を収録しているかで変わりますが、調整範囲(低音カットの開始位置)は40ヘルツ〜200ヘルツまでのどこかになるはずです。
このボーカルの低音カットを怠ると、ミックスはいつまでやっても良くなりません。
歌が、背後の演奏のすべてをずっと打ち消してしまうからです。
ボーカルのイコライザーでもう一つ秘訣をお伝えします。
2500ヘルツを、広いQ(2.0など)でほんの僅か(0.1dbなど)だけ持ち上げてください。
歌がどの楽器よりも前に出るようになります。
(この調整はミックスの最後の最後にやるのが理想です。これをやらずに歌が抜けている状態をまず作って、最後にもう一段、歌を前に出す効果が生まれるからです)
ボーカルのコンプレッサーは、どこをコンプレッサーのかかるポイントにするか(スレッショルド)が最も大事です。
歌のピークメーターが上下する真ん中辺りに据えるのが理想で、あとは0.1刻みでベストポイントを探すと良いでしょう。
コンプレッサーがかからないと歌が素人っぽく聴こえますし、かけ過ぎると歪んで艶(ツヤ)がなくなります。(これは歌に限らず、どのパートでもいえることです)
リバーブに関しては最初は適度にかけておけばオッケーです。
ミックスの最終段階で、演奏と歌が最も馴染むリバーブ量が一箇所だけあります。
それまでは適当で結構です。
ボーカルの音を決めたら、これ以降のミックスで毎回出てくる大事な調整をします。
楽器のボーカルに対する音量調整です。
最初はベースを少し大きめにして、再生しながら少しずつ下げて行きます。
ボーカルがベースに埋もれず前に出るデシベルが一箇所だけあるはずです。
0.1上げるとボーカルが詰まって聴こえる。
0.1下げるとボーカルが低音までグッと前に出てくる、というポイントです。
このボーカルに対する楽器の音量調整はこれ以降、ずっとこの形でやって行きます。
chuma@WDRS