ドラムは、パソコンのソフト音源を使う場合と、スタジオで録った生音の場合があると思います。

ここでは「ソフト音源」で説明しますが、考え方はどちらも同じです。


ソフト音源なら最初からある程度まとまりのある音が出ているはずです。

まず最初にやるべきは、ドラムの各パートの音色設定です。

ベースとドラムだけを鳴らし、まずはベースが最も聴こえるバスドラの種類を探します。

各音色をベースに対する抜けで選択↓

同じように、スネア、タム類、ハイハット、ライド等、すべてベースの通りが良くなるものを選びます。

こういった音色変更は、ソフト音源だけが出来る特権です。

生音は、録ってしまった以降は、抜けの調整はイコライジングでしか出来ません。


次にエフェクトです。

ソフト音源なら、ドラムの2ミックス(ステレオ状態)全体に対してかけるだけでも良いでしょう。

スネアと、バスドラなどを別トラックに出して個別にエフェクトすればなお良いですが、ここでは2ミックスに対するエフェクトを説明します。
(パラレルの生録の場合も、やることは以下、すべて同じです。1パートずつやって行くだけです)

かけるエフェクトは、イコライザー→コンプレッサー→リバーブです。



かける順番はこれですが、設定はコンプレッサーとリバーブを先にやります。

まずは自分がカッコいいと思う音を作り、その後で抜けの調整をするためです。

コンプとリバーブはカッコ良ければいいので説明は省きます。


イコライザーは、低音の調整からです。

触るべきポイントは2箇所あります。

まず、ベースとのぶつかり解消。
次に重低音です。

ベースとのぶつかり解消は、このあとも全ての楽器に共通するポイントです。

イコライザーの90〜110辺りのどこかを適量を削ります。

100ヘルツをQ2.0で1.2dbカットしている例↓

ベースとドラムを鳴らしながらカットしたヘルツを動かして行くと、ベースがすごく抜けるポイントが一つだけあるはずです。

たとえば100ヘルツだっり、102ヘルツだったりします。

ヘルツが決まれば、次はカットする量です。

ベースが前に出て、ドラムが音痩せしないポイントが一つだけあるのでそこで確定させましょう。


次に重低音です。

100ヘルツより下のどこかを、ベースが前に出てくるまで削ります(カットオフ)。

60ヘルツ以下を2.4dbカットしている例↓

これは何をやっているのかというと、ベースとバスドラムの抜けを調整しています。

双方の重低音がぶつかっていると、この後のミックスをどれだけ頑張っても良くなりません。

それほどに重要な調整です。



低音が終われば、次は高音です。

これはボーカルとドラムだけを鳴らした状態で行います。

ボーカルが前に出てくるように、ドラムの高音部分をカットオフで削ります。

9985ヘルツより上を、4.0dbカットしている例↓

ドラムの金物はキラキラして綺麗なのでそのまま聴いていたくなりますが、
ドラムの高音は、平気で歌を上から潰してしまいます。

10キロヘルツ周辺より上で、最も良い周波数を探しましょう。

最も良いとは、ボーカルが抜けて、ドラムがこもっていないポイントです。


最後に、ドラムは中音を削ると良いケースが多いです。

700から1100辺りのどこかを適量を削ると、ドラムがタイトになります。

748ヘルツをQ2.0で、0.9dbカットしている例↓バスドラとスネアのタイト感が増す(ヘルツはドラムセットによりまちまち)

これはドラムがカッコよく聴こえるか、という観点だけで調整すれば問題ありません。


ここまでやれば、ボーカルとドラムだけで再生して、ボーカルが浮く最良ポイントに音量を調整します。(ベースでやったことと同じです)

ドラムがパラレルで録音されている場合は、ボーカルとスネア、ボーカルとバスドラ、というように1パートずつやって行きます。

ボーカルに対してそれぞれがベストな音量であれば、ドラム全体としてもベストなセッティングになります。


同じく、ベースとドラムだけでも聴いてみましょう。

ベースがドラムに埋もれていれば、ドラムの音量を下げます。(あるいはイコライジングを見直す必要があるかも知れません)


さて、ここまでやれば、
ボーカル、ベース、ドラム、の3点だけで曲を聴いてみましょう。

これがタイトでカッコ良ければ、あなたのミックスはもう成功したも同然です。

土台がしっかり確定したからです。

この後、上モノで失敗しても、そこだけを直せば済むのです。

chuma@WDRS