さて、土台が固まればいよいよ和音に入ります。
和音の代表はギターか、キーボード(シンセ)ですが、ここではギターから解説します。
ギターもあなたが好きな音に調整することからスタートです。
イコライザーは必須で、コンプのほか、リバーブ、ディレイ、コーラス等の空間系はあなたが作りたいサウンドイメージで選択しましょう。
和音からは曲の印象に大きく作用します。
好きな音が固まったら、やはり、ベースとの抜けの調整です。
まず、ドラムの時に確定したベースが抜ける周波数(事例では100ヘルツだったもの)と同じ周波数を、適量カットします。
大切なのは、(その周波数で合っているという前提で)ドラムの時と同じ周波数にするということです。
(Qとdbは、ギターとベースの関係で最適なものを見つけましょう)
ベースが抜ける周波数は、どの楽器から見ても変わりません。
それがそのベースが持つ固有音だからです。
全ての楽器が、ベースが通る花道を開けてあげるのです。
ベースのためだけではありません。
楽器の一つでも抜けが悪いと、ミックスダウン全体をこもらせます。
次にギターの重低音にも着目しましょう。
ギターは本来重低音は鳴りませんが、歪みエフェクトやアンプのセッティングなどで重低音が出ている場合があります。
これもバスドラとベースの調整と同じように、双方が分離するようにします。
それが終われば次に、ギターとドラムだけを鳴らします。
ギターがしっかり抜けていれば問題ありませんが、抜けていない場合は、ドラムのイコライザーで440ヘルツ周辺の音を適量だけカットします。(ドラムの方をカットです)
この440ヘルツ付近は、たった一箇所でエレキギターの全ての音の抜けがよくなる魔法の周波数です。
イコライザーはかければかけるほど音から生気がなくなります。
だから一箇所で全てが抜けるポイントを探すことが最重要です。
なお、ギターがアコースティックギターだった場合は、抜けるポイントは260ヘルツ付近になります。
ここで普遍的で大切なことを伝えます。
全ての楽器は低音の抜けを調整することで、高音が聴こえるようになります。
最も大きな波は低音で、高音はそれに付随した小さな波だからです。
これを理解せずに、高音が聴こえないからと、高音を持ち上げるミックスをしだすとモグラ叩きゲームのようになってミックスが失敗します。
次に、歌とギターだけを鳴らして、ギターの高音を調整します。
ギターには高音も必要ですが、歌を潰さないギリギリで止めるべきです。
高音だけでは歌が立たない場合は、
ギターの2500ヘルツ付近をわずかだけカットしましょう。
2500ヘルツ付近は歌を立たせる魔法の周波数です。
次にギターからはPAN(左右位置)の設定が生じます。
左側に据えるか、右側に据えるかは自由ですが60%よりも大きい数字にしておくと良いでしょう。
PANの設定は、ギター、ドラム、ベース、ボーカルだけが鳴っている状態で、ギターのPANを動かして行きます。
ギターが良く抜けるポイントがいくつか出てくるはずですから、そのどかで決めましょう。
PANでも音の抜けが変わります。
(むしろ、PANの意味はそこにあります)
ちなみに、ハードロックやパンク系では、歪みギターのバッキングを2本入れて厚みを出すことが多いです。
この場合、2本のギターは左右にPAN100%で振り切ってしまいましょう。
これがセオリーです。
なぜなら、音が似すぎているからです。
また、このようにギターを2本入れる場合は、メインにしたいギターと違う方のギターの440ヘルツ付近(ドラムとの対比で決めたポイントと同じヘルツ)を適量カットしましょう。
(花道を開けるのはベースに限らず、全ての音で同じということです)
カットされたギターは音が悪くなるように思えるかも知れませんが、むしろ逆です。
これをやることで両方のギターが生き生きとします。
特にギター同士は似た周波数なので、この調整は大事です。
さて、ここまでやれば、お決まりの歌との最適な音量設定をしてギターは終了です。
chuma@WDRS