音楽の歴史を振り返っていると、とてつもない功績に気付く時がある。


それは「◯◯を初めてやった人はこの人だったんだ」という気付きだ。



ブログタイトルのポール・アンカといえば日本でも大人気で、自分がオールディーズを好きになった中学生の頃から、当たり前のようにお店にはレコードがあった。



日本で人気のオールディーズアーティストというと、

・エルヴィス・プレスリー

・コニー・フランシス

・ポール・アンカ

・ニール・セダカで、

この4人だけは頭一つ抜けた知名度だった。

(逆にエヴァリー・ブラザーズなどはアメリカでヒット曲を連発していても日本ではほぼ無名だ)


だから、ポール・アンカというのは、オールディーズでは初めからそこにいる当たり前のアーティストで、当たり前すぎて深く考えることをしていなかったように思う。



それに、僕のように後から聴く人間はオールディーズのコンピレーションなどで1955年から1963年までの音楽をまぜこぜで聴くわけで、

年代を並べて音楽の歴史を追うような聴き方はしない。


だから、この人が最初ということは、ほぼ分からない。



さて、本題。


これは以前も書いたが、ポール・アンカとはポップス史上、最初のシンガーソングライターだ。


それまでソロシンガーで自分で曲を書いて歌うというアーティストはいなかった。


ルックスからするとアイドルに見えるが、完全にアーティストだ。


この美形と歌声と、しかも16歳というだけで素晴らしい。

それだけでも充分スターになるだけのものがある。






なのに、ほぼ全ての大ヒット曲を自分で作っている。


神は一体何物を与えたのか、、、と思う。



オールディーズ時代の1957年から1963年だけで、Top40に22曲を送り込み、そうのち16曲が彼の作曲


トップ10ヒットは8曲で、この全てが彼の作曲。

うち1位が2曲、

2位が2曲。


ヒットメーカーといってよい作曲家だ。



ここまでは前から気づいていたが、一昨日、1955年からの曲をヒットした順に聴いていてもう一つ気付いた、、



彼は、ポップスで初めて「サビ」という概念を導入したアーティストということを。

(私より詳しい方で、違ったいたら教えてください)



その曲とは1957年の「ダイアナ」だ。


★Diana / 1957年 全米1位

作詞、作曲 : Paul Anka



これ自体、聴いたことがない人がいないほど有名だし、時代を並べずに聴けばその偉業は分からない。


いや、厳密には「ヤング・ラブ」という同じく1957年の曲にはサビがある。


ただし、Aメロとサビがあるだけ。


それに対して「ダイアナ」にはAメロ、Bメロ、サビがある。

そしてCメロまである。


完全にその後のポップスの形になっている。


それまでの曲というのは(今では考えられないが)サビはない。


Aメロが特徴的なメロディーで始まって、謂わばそれがサビ。


それをふた回しして、今で言うCメロが入って、という形しかなかった。



それに対して「ダイアナ」は、サビが最高に際立つように曲が盛り上がって行く。



こんなスタイルはこのダイアナが初めてであることに気づいて震えた


聴き飽きるほど聴いたダイアナが実はサビの始まりだったなんて。



初めてのソングライターというだけではない。


それまでの常識を打ち破り、後世に「サビ」の概念を示した最初のソングライターだった。


しかもわずか16歳で。



最後にそんな彼の曲で僕が最も好きな曲を紹介します。


★Dance On Little Girl / 1961年 全米10位
作詞、作曲 : Paul Anka



人気があるのは当然で、


でもその人気の意味を今まで考えたことがなかった。



ポールアンカはまだご存命で、現在82歳。


彼の残した功績に心から敬意を表したい。


chuma@WDRS